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ヨーロッパ寝台列車の旅 SJナイトトレイン【スウェーデン】
日本ではサンライズ出雲・瀬戸以外廃止されてしまった寝台列車ですが*、ヨーロッパでは年々数を減らしながらも、まだまだ現役で活躍中です。
2019年4月、北欧のスウェーデンでも寝台列車はSJナイトトレインという名称で活躍していました。
寝台列車が大好きな私は、またとない機会だと思い、興奮冷めやらぬ気持ちで乗車しました。
このnoteが今後スウェーデンを含む北欧観光を考えてられる方の参考になればと思います。
(SJとは Statens järnvägar aktiebolag、スウェーデン国鉄のことです)
1.そもそも寝台列車に乗った理由
2019年4月末から5月上旬にかけて、日本は10連休を迎えていました。
運よく10連休を謳歌できることになった私は、この機会に行きたいところ・行けるところ全部行ってしまおう!と、大変無茶な計画を立てました。
旅行好きな人は、実際に行くよりも計画を立てることの方が楽しいのではないでしょうか?
少なくとも私はそうです。
そして私は、当日の体力のことなんか考えずに「ヨーロッパに行ける♪」とハイになって計画を立てるのです。
こうして出来上がったのがこちらの行程です。
たった10日間で5カ国9都市を巡る旅です。
…そうです。
ホテルでゆっくり寝てる暇なんてないのです。
寝ている間も移動できる寝台列車に乗るしかないのです。
観光する時間を削るという発想はありません。
観光しに来たのに、観光する時間を削ってまで眠るなど考えられません。
ではどうするか?
寝台列車に乗るしかないのです。
当初私はこの機会に「寝台列車に乗りまくりたい!」と思って計画を立ててたかもしれません。
しかし、蓋を開けてみると、寝台列車に乗らないと満足な観光はできないし、日本にも帰れなくなるかもしれない旅程が出来上がるという酷い有様でした。
いつの間にか目的と手段が逆転していました。
こうしてスウェーデン・ストックホルムからデンマーク・コペンハーゲン間の移動は寝台列車で移動することになりました。
2.乗車体験記
夜10時過ぎ、私はストックホルム中央駅にいました。
昼間ストックホルム市内を歩き回ったせいで膝が悲鳴を上げており、一刻も早く休みたかったです。
(この前のことはこちらのnoteに書いております)
深夜に近づくにつれ、人の数もまばらになってきました。
奥のマクドナルドのロゴの上に見えるのがSJ(ストックホルム国鉄)のラウンジです。空港のラウンジのようなもので軽食や飲み物が無料で提供されています。
私は夜行列車の個室を予約していたので利用する権利はあったのですが、既に列車がホームに入線していたので、利用はしませんでした。
23:09発のSJ Nattag が私の乗る夜行列車です。
先頭の機関車は日本のEF64系、EF65系などによく似ていました。
さて客車に入ってみましょう。
廊下は他の夜行列車と同じ作りですね。折りたたみ式の椅子もあります。
部屋に入ります。
ふたりまで使える部屋をひとりで利用しますので上段のベットが収納されています。
他の部屋も覗いてみました。
私が利用する部屋とは線対称になっています。
買ってきた飲み物をテーブルに置きました。
スウェーデンのスーパーで売られているビールはアルコール度数が3.5%かそれ以下、と日本のビール(5%)よりも低です。
スウェーデンでは、アルコール度数が3.5%を超えるお酒は国営のお店(Systembolaget) でしか購入できません。
帰国後に知りました。
二人用の部屋だったので、枕も2個ありました。
しかし掛け布団(毛布)はありませんでした。
ビールと暖房があるので平気です。
枕元には読書灯があります。でもコンセントがありません。
…どこだろうと思ったら、ありました。
壁の、高いところに。
こんな高いところにあると不便を感じるのは私だけでしょうか?
もしかしたら、2段ベッドの上の人も使いやすいようにという配慮なのかもしれません。
ただ、それならばせめて枕元に欲しかったです。
奥に見えるのがシャワー、洗面台そしてトイレです。
個室にはシャワーと洗面台とトイレが付いており、もちろんタオルもあります。
お手洗い。ゴミ箱もありますね。
緑色のパック容器に入っているのは真水です。
4本とも持って帰り、あとで紅茶を淹れる時に使いました。
1本はまだ残っています。
SJのロゴ入りです。
最後に、一応説明しておきますと、夜行列車は同性同士の相部屋利用が基本です。
それが嫌なら通常の寝台料金に加え、個室料金を払わなければなりません。
出会いを求めて相部屋を利用するのもよし、プライバシー最優先で少し多めにお金を払って個室を手配するもよし、それは予算と旅の目的次第です。
私は一人でシャワーを浴びて、自堕落にお酒を飲みながら自分だけの世界に浸りたかったので個室を選びました。
ちなみに料金は返金不可条件で1,612SEK、日本円にして約18,500円でした。
ストックホルムやコペンハーゲンのホテルはシングル1泊1万円以上は当たり前ですし、そもそもストックホルム〜コペンハーゲン間の電車移動も1万円以上しますから、そう考えればお得かもしれません。
夜行列車で食べる赤いきつねは美味しかったです。
(外は真っ暗で何も見えませんでした)
3.SJナイトトレインで移動する際に注意すべきこと 3つ
これは私の実体験に基づいています。
その1 寝台列車の終着駅はコペンハーゲンではなくその手前のマルメーまで
その2 路線工事などで始発駅が頻繁に変わる
その3 定刻より遅れるどころか、早く着くことがある
順に説明していきます。
その1 寝台列車の終点はコペンハーゲンではなくその手前の都市まで
SJナイトトレインの切符はネットで購入できます。
私はスウェーデン語はもちろんできませんし、英会話の実力も怪しいので事前にネットで購入しました。
購入にはクレジットカードとメールアドレスが必要です。
決済後にQRコード、氏名、列車番号や座席番号が記載されたPDFが送られてきますので、それを印刷するか、SJのアプリ(Google Play/Apple Store)に保存しておきましょう。
ネットで夜行列車の切符を購入するには、まずSJの公式サイトにアクセスし、出発駅名と到着駅名を入力し、乗る日付と年齢を選択します。
ストックホルム中央駅の場合は Stockholm Central です。
コペンハーゲン中央駅の場合は Köbenhavn H です。
年齢は大概の人はadultになるでしょう。
Night trainと書いてあるのが夜行列車のSJナイトトレインです。
2 changes と書いてありますね。
これは2回乗り継ぎするということです。
実はストックホルムからデンマークのコペンハーゲン行きという寝台列車はなく、スウェーデン最南端の都市マルメー(Malmö)が夜行列車の終点なのです。
そのため必ず1回は乗り換えがあります。
マルメーはエーレスンド海峡を挟んでコペンハーゲンの対岸に位置するスウェーデン第3の都市です。
マルメー駅からはコペンハーゲン中央駅方面きの電車に乗り換え、約30〜40分で着きます。
私が切符を買った時は、コペンハーゲン行きの切符を検索したらルンド(Lund)という、コペンハーゲンから一つ手前のマルメーのまた一つ手前の駅までのルートが表示され、それをそのまま購入してしまいました。
今考えればルンドではなく、マルメーまでの切符にしておいたほうが、ゆっくりできたのではないかという気がします。
皆さんはコペンハーゲンまで行く時はきっちりマルメー(夜行列車の終点)までの切符を手配しましょう。
その2 路線工事などで始発駅がよく変わる
スウェーデン国鉄は路線工事やら何やらでしょっちゅう出発駅やダイヤが変わります。
今回の例で調べても、ストックホルム中央駅が夜行列車の始発駅ではなく、フレミングスベルクという、ストックホルムから約20分行った駅から出発します。
夜行列車は必ずしもストックホルム中央駅から出発するわけではないことを覚えておいてください。
なお、公式サイトで切符を探すと、通常と異なる運用(路線工事など)がある場合には必ず⬆️の青い案内文のような警告が出てきますので、私は切符を事前に公式サイトで購入することをお勧めします。
その3 定刻より遅れるどころか早く着くことがある
朝、車内放送で目が覚めました。
腕時計を見ると、降車予定のルンド駅に着くまであと1時間弱ありました。
しかし車内放送は寝起きでよく聞き取れないながらも「ルンド」を連呼しているように聞こえました。
嫌な予感がしたので、念の為Google Mapで自分が今どのあたりにいるのか確認しました。
30分もしないうちにルンド駅に着きそうな位置にいました。
目が覚め、聞き取れるようになった車内放送は「間も無くルンドに到着するから遅れないようにね」と言っているようでした。
頭が混乱しましたが、慌てて身支度をして列車を駆け下りました。
ヨーロッパの列車は遅延して当たり前という先入観があったため、油断していました。
まさか予定よりも30分も早く到着するとは…!!
辛うじてルンド駅で下車した私は、その後向かいのホームに到着した列車に乗り換え、無事コペンハーゲンに到着したのでした。
コペンハーゲンにあるニューハウン
4.最後に
「夜、鉄道に乗り、朝起きたら見知らぬ土地にいる」というのは旅行という非日常体験の中でも、より感動の大きい部類に入るのではないでしょうか。
それがさらに海外旅行中の出来事なのですから、感動もより一層高まると思います。
日本では滅多に味わえない夜行列車の旅をぜひお楽しみください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
*観光用の夜行列車や寝台のない夜行列車は現存しています(2019年7月現在)