憲法草案〜第3章 国民の権利〜教育を受ける権利
現行憲法の教育を受ける権利
第二十六条
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
第二十六条2
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
2項は、国民の三大義務の一つ「教育の義務」です。
学校に行かせないで、家事や仕事をさせる親が多くいた時代があったので、このような書き方になったと理解しています。
しかしながら、憲法は権力(公務員)を縛るものであると言うことが本来のものですよね?
自民党(2012年)草案の教育を受ける権利
第二十六条(教育に関する権利及び義務等)
全て国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。
第二十六条2
全て国民は、法律の定めるところにより、その保護する子に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、無償とする。
第二十六条3
国は、教育が国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に努めなければならない。
1項〜2項は、特に変わっていません。
3項が問題です。
「教育が国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものであることを鑑み、」とありますが、どんな未来でしょうか?
未来の形を決めるのは、国民(の総意)です。
特に「国の未来を切り拓く」とは、どこかの政党ポスターを思い起こします。
独自草案の教育を受ける権利
第二十六条
何人も、法律の定めるところにより、その能力に応じて、平等に教育を受ける権利を有する。
これは、人種、信条、性別、身体的個性、社会的身分、経済的状況、門地または国籍により侵されない。
第二十六条2
何人も、教育を受ける権利を有する。
国会および内閣は、何人も、その保護する子女に普通教育を受けることができる社会をつくる義務を負う。普通教育(幼稚園、保育園、小学校、中学校、高等学校等18歳まで)は、これを無償とする。
第二十六条3
普通教育の教材および給食、行事等は無償とする。
また、必要な衣服(屋内靴、体操着等)は無償とする。
第二十六条4
教育は、本憲法に則り、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造を目指すものでなければならない。
1項は、平等であること及び合理的配慮を求めるものにしました。
2019年英語入試の民間化問題があり、実施延期になりました。
こんのような、拙速な発想、施策を許してはならないと思います。
2項は、義務から権利へ変更しました。
義務を負うのは「国会と内閣」です。(「国」にするか迷いました。)
「普通教育」と表現していますが、いわゆる「普通科」のことでは有りません。
当然「工業科」や「商業科」等も含まれます。
(適当な言葉が思い浮かびませんでした。)
3項は、無償の範囲を示しています。
私学をどのように扱うかということがありますが、私に知見がなく、思い浮かびませんでした。
4項は、ご覧になったことがあるかもしれない文章です。
現行教育基本法(平成18年(2006年))の改正前、旧教育基本法(昭和22年(1947年)制定)の前文を引用しました。
現行教育基本法前文の最大の問題点は「公共の精神を尊び」にあると思います。
これは、明らかに「自民党(2012年)草案」に繋がるものであり、憲法改正に向けた教育が始まっていると考えられます。