カルフル 5号~7号+臨時号
帆を数へたり薔薇園の塔の上
草笛や雲近ければ迅くあり
側転は青芝を裁ちゆくやうに
アフリカの織物けばき裸かな
夕景へ窓ひらきたり金魚鉢
球場のひかり聳ゆる出水あと
垢やたら螢見て来し身体より
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棚経や風ほんのりと藻の臭気
仏像が部屋の半分西瓜食ふ
港行きバスさし抜くる秋日かな
しら波へ鳥の整列牧水忌
台風や加薬ふくらむ麺のうへ
絵一枚照らされ秋冷のロビー
常連の口ぐちに月見えぬこと
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抱きあへば帰兵のごとし小春凪
手にインコ眠る水始めて氷る
書けば名の自壊しさうよ