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カルフル 5号~7号+臨時号

帆を数へたり薔薇園の塔の上 草笛や雲近ければ迅くあり 側転は青芝を裁ちゆくやうに アフリカの織物けばき裸かな 夕景へ窓ひらきたり金魚鉢 球場のひかり聳ゆる出水あと 垢やたら螢見て来し身体より *** 棚経や風ほんのりと藻の臭気 仏像が部屋の半分西瓜食ふ 港行きバスさし抜くる秋日かな しら波へ鳥の整列牧水忌 台風や加薬ふくらむ麺のうへ 絵一枚照らされ秋冷のロビー 常連の口ぐちに月見えぬこと *** 抱きあへば帰兵のごとし小春凪 手にインコ眠る水始めて氷る 書けば名の自壊しさうよ

    • 来てみれば

      『来てみれば』 譲る本捨つる本春遠からじ 愛の日や切り花に水吸ふちから 薬まだ脳にとゞまり雪柳 春時雨くれなゐを足し絵の果実 目つむりて跳ぶ春昼のせゝらぎよ さへづりを来てみれば閉館日らし 桜貝握りし方の手を当てよ 角川『俳句』2023年3月号・俳人スポットライトに掲載

      • カルフル1号~4号

        土井探花さん、このはる紗耶さんとネプリ「カルフル」を季節ごとに発行しております! 第5号が近日発行予定ですので、是非よろしくお願いします! コンビニのネットプリント、または無料ダウンロードサービスから入手可能です。詳細は探花さん・紗耶さんのツイートをお待ちください。 第1号発行から1年経ったということで、私の作品分はまとめてこちらのnoteに掲載しておこうと思います。お読みいただけるとととても嬉しいです! (一部表記を修正しております) パイナップル夜は痛覚を取り戻す 蝙

        • 土井探花「こころの孤島」(第40回兜太現代俳句新人賞受賞作)感想

          土井探花さんが令和4年度第40回兜太現代俳句新人賞を受賞されました! 探花さんは私が俳句を始めるきっかけにもなった方で、始めてからずっとネット句会を中心に一緒に句会をしたり、お世話になっている方なので、とても嬉しいです! 探花さん本当におめでとうございます! せっかくなので、好きな句に感想を書いていこうと思います。 受賞作はこちらから ハンカチは畳める砂漠なのだらう 比喩の鮮度と納得感と飛躍が素晴らしい。夏の季語としての「ハンカチ」は汗をぬぐうもの。じりじりと照りつける

        カルフル 5号~7号+臨時号

          『大学』15句

          大学 水差しの影にも水位昼寝覚 さくらんぼ暫し噛まずにゐたりけり 母をらぬ部屋はあかるし髪洗ふ 実験棟から門までの夕立かな 水槽に水平線のなき晩夏 桃の皮ずるりと剥けて夜の汽笛 秋黴雨ひとりにひとつ椅子と窓 消火器の函に錆吹く蜻蛉かな 木は鳥の鳥は木の名を秋の暮 初雪やからからせんべい割れば毬 歌は火の熾るに似たりクリスマス 搭乗を待つまどろみや冬帽子 パブの灯の途切れたるより吹雪の野 焼きそばの焦げかうばしき初詣 大学や焔のごとき冬木の芽 全国俳誌協会第4回新人賞・正賞

          『大学』15句