フルチ流血夫

ああ、映画が好きってだけで飯が食えねえかなあ。

フルチ流血夫

ああ、映画が好きってだけで飯が食えねえかなあ。

最近の記事

不安不安ファーマシィー

どこかおかしい。距離感がおかしい。色彩がおかしい。時の流れ方がおかしい。この風景そのものがおかしい。よく目を凝らすといつもの現実と何ら変わりはないのに、全体として見ると何かが違っている。 それが映画だと最近気付いた。 スクリーンには僕達が知らないモノは映らない。たとえそこに君が知らないモノがあっても、誰かがかわりに知っている。遥か遠くの地の景色なら地球の裏側の人間が知っている。何世紀も昔に起きたことなら歴史が知っている。厳密に言うと、人間は人間の知っているモノしか見えないし

    • 橙色のエレジーだった!

      昨日見つけた動画。又吉直樹のエッセイが原作の映画、『僕の好きな女の子』の舞台挨拶の一幕。動画のタイトルに惹かれてついつい見てしまったのだけど、これがマズかった。 https://youtu.be/ljeBNXtBu_Y 「これ、俺じゃねえか!!」 興奮のあまり思わずスマートフォンを窓の外に放るところだった。ワインドアップから振りかぶったところで何とか堪え、もう一回その動画を観た。 「僕の好きな人は僕のことを絶対好きにならないっていう、その状態が好きっていう...」 二

      • やっぱこれだね、やっぱここだね

        僕は今年の3月に大学を卒業して、現在はある地方で公務員として働いている新社会人だ。「新社会人」と言うと、何だか「ピカピカの一年生」みたいな、前途洋々希望に満ち溢れた感じがするけども、僕の場合は全然そんなんじゃない。 4月に働き始めるずっと前から、僕は就職することに対してただの一度もワクワクすることがなかった。それは4か月経った今も変わらず、給料日は楽しみで仕方ないけれど、残業代が出ようがボーナスが出ようが、だから頑張ろうなんて前向きな気持ちには1ミリもなれないのだ。もし働か

        • 砂場から見たゼロ年代

          ✳︎記事後半である映画についてネタバレ全開で触れているので、気になる人はその段飛ばして読んでください。 ケータイ、ハリポタ、オレンジレンジ。 フレンドパーク、プラズマTV。 LISMO、ミニモニ。、ほしのあき。 ヤンクミ、嬢王、911。 97年生の僕にとってゼロ年代とは、あらゆる原初体験の詰まった期間だった。また僕にとっては、自発的に音楽や本に触れる前の、垂れ流しのTVCMが唯一流行との接点だった頃でもある。 時々、いやかなり頻繁に、この時代のことを、ゼロ年代のカルチャ