ビリー・アキレオス
イギリス人のアーティスト、ビリー・アキレオスが、ルイ・ヴィトンのバッグやベルトでつくった小動物のオブジェを、ルイ・ヴィトンの店内で見せた。
2010年、アーティストの岡本光博による《バッタもん》に一方的にクレームをつけて展覧会から撤去させながら、外国人アーティストにほぼ同じような作品を制作させたところに、ラグジュアリー・ブランドならではの図太い神経が見え隠れするが、それはともかく、問題の焦点は作品が優れているかどうかの一点に尽きる。
展示されたのは、熊やカメレオン、アルマジロなど。そのなかで、まさしくバッタをモチーフにした作品が、エントランス脇のもっとも目立つ場所に展示されていた。岡本の《バッタもん》と比較してみると、甲乙つけがたいというより、その質的な差が歴然としていることは誰の眼にも明らかだ。
《バッタもん》が最低限のパーツによってひじょうに合理的に造形化されていたのにたいし、アキレオスのバッタは無駄なパーツが多すぎるため、フォルムの美しさに欠けるばかりか、機械的というか、文字どおり不細工な造形である。クリエイションの根底において、前者の重心がバッタにある反面、後者はバッグを重視していると言ってもいい。
余計なお世話だろうが、もう少し審美眼を磨いたらどうだろうか、と言っておきたい。
初出:「artscape」2012年01月15日号
ビリー・アキレオス
会期:2011年11月23日~2011年12月14日
会場:ルイ・ヴィトン表参道店
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