加速するアナクロニズム──2021年日本現代美術回顧
「警察じゃけぇ、なにをしてもええんじゃ」。映画「孤狼の血」(白石和彌監督、2018年)で役所広司が演じた大上の名台詞である。その続編「孤狼の血level.2」(同監督、2021年)で大上の跡を継いだ、松坂桃李による日岡も「全員ブタ箱叩き込んじゃる!」と啖呵を切るが、大上の恐るべき脅し文句に比べると、いかにも弱い。この迫力の差は、役者の演技や体格というより、物語の時代設定に由来していたように思われる。前者の物語が昭和63年だったのにたいし、後者のそれはそれから3年後。つまり、前