永原トミヒロ展 2010
人影のない街並みを青白く描いた平面作品。
三叉路や電柱などモチーフは日常的なものだけれど、場所が特定できないばかりか、朝もやなのか夕暮れなのか、時間も定かではない、不思議な絵だ。
おのずと死の光景を連想させるが、たとえば正木隆と似て非なるのは、正木隆の絵には重力から解き放たれたかのような浮遊感があるのにたいし、永原の絵にはむしろ地面がしっかりと描かれ、その重力の圏内で水平的に見た死の光景だからこそ、とてつもないリアリティを感じるのかもしれない。
初出:「artscape」2010年05月01日号
永原トミヒロ
会期:2010年3月29日~4月10日
会場:コバヤシ画廊