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『カボチャの潜水艦』#トキメキハロウィン

「夜中の0時になるとカボチャの潜水艦がやってくるんだって」

それを言うならカボチャの馬車だろ。唇まで出かけた言葉を飲み込んで、ツッコみたくなる気持ちを抑えた。潜水艦からは魔法使いも王子様も出てくるイメージがないぞ。

「普通はカボチャの馬車かもしれないけれど」

それ、それだよ!心の中ではすでにツッコミ済み。早とちりしてしまったか。

「周りが海に囲まれた小さな島だから仕方ないよね」

いやいや、仕方なくはない。島国とは言え馬車すら通れない道はないだろう。海に囲まれているからお迎えにくるのは潜水艦にキマり。納得できるか。

「ちょっといい?」

「うん。いいよ」

「心の中で一通りツッコミ終えたんだけど、やっぱりカボチャの潜水艦に納得できなくて」

モヤモヤを解消したくなって訊ねてしまった。

「わかる。わかるよ。魔法使いも王子様も現れそうにないよね。髭を蓄えた渋めのおじさんがやってきそうなイメージだよね」

「そう!ほんとにそう!あごひげおじさんが出てくるイメージしかない!」

「実際に見たことがないから分からないけどさ。もしかしたら魔法使いくらいは出てくるかもしれないよ」

「だったらワクワクしそうだけど。そういえば、夜中の0時にくるってなんで知ってるの?」

「ウチのおばあちゃんが言ってた。10月31日の0時にカボチャの潜水艦がやってくるって」

「10月31日、今日じゃん!おばあちゃんはどこから情報を得たのかも気になるけれど」

「あー、聞き忘れちゃったな。本当かどうか分からないけれど、ちょっと気にならない?」

「気になりまくり」

「夜、海岸に行ってみようよ!」

「だね!この目で確かめてやるんだ!夜にまた集まろう!」

カボチャの潜水艦伝説は本当なのか。二人で真相を確認することにした。


***


「やっほー!いよいよだね」

「いよいよだ。未だに信じていないけれど、現れるなら観てやりたい」

約束の時間通りに二人で海岸に集まった。夜の海は静かで暗い。周りに灯りが一切ないだけに、手持ちの懐中電灯だけが頼りだ。

「本当に来るのかな?」

「あとちょっと待てば分かるよ!穏やかな波の音しかしないけどね」

「ゴゴゴゴゴとか鳴っちゃったりして」

「鳴っちゃうかも!あ!」

「う、うわ!」

「ゴゴゴゴゴ鳴ってるよ!」

地響きと共に、波が大きくうねり出した。辺りが急に騒がしくなる。

「待って、待って。来ちゃってるよコレ」

「まさか本当にカボチャの潜水艦が来る」

「見て!あれ!」

視線の先に目を向けると、海の中から何か現れ始めていた。

「ちょっと、ちょっと!潜水艦の頭部分みたいなのが見えてるじゃん!」

「ほ、ほんものだー!」

「しかも暗くてよく見えないけど、オレンジっぽくない?」

「あ、ほんとだ!カボチャ仕様かも!」

「うわ、波すご!気をつけよう!」

「うん!」

うねり、迫ってくる波を避けながら、みるみる姿が大きくなる潜水艦を目で追っていた。目と鼻の先まで近づいたところで、潜水艦は停止した。

「止まった」

「めちゃめちゃオレンジの潜水艦」

「あ!船の上部が開いた!」

「ハッチだ!誰か出てくるんじゃない!?」

「髭のおじさんか、魔法使いか、はたまた王子様か。ちょっと怖い」

ハッチに人影が現れた。暗くてよく見えない。二人で手元の懐中電灯をハッチに向けた。

「あれは、もしかして魔女?」

頭にカボチャの被り物を召した女性らしき人が現れた。

「いや、ごめん。この人知ってる」

「誰?」

謎の人影が声をあげた。

「孫よ、これがカボチャの潜水艦よ!」

「孫!?」

「そう、知っている人。おばあちゃんだった!」


遊び心満点すぎる、元気なおばあちゃんプレゼンツ、手の凝ったハロウィン。


*完*


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