望郷の宇久島讃歌(5)
第1章 望郷の宇久島
●宇久島を離るる歌
私の人生にはいくつかの運命の岐路があった。最初の岐路は神浦中学校を卒業する時だった。私の進む道は四案あった。一つ目は、家業の百姓を継ぐ案。二つ目は、島外の集団就職すること。三つ目は学費が無料の陸上自衛隊の少年工科学校に進むこと。四つ目は長崎市にある三菱造船所の養成工に入り工員の教育を受けながら夜間高校に通う案。五つ目が高校に進学する案だった。高校進学も二案あり、一つは宇久島の宇久高校、もう一つは島外の高校――佐世保市にある佐世保北高