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岡田斗司夫ゼミ #542 秋の読書特集
岡田斗司夫ゼミで語られた無料部分の内容をピックアップしました。有料会員のみ視聴可能な限定とプレミアムで取り上げられた本は、紹介のみです。
無料
「デジタル生存競争ー誰が生き残るのかー」
ダグラス・ラシュコフ著
電子書籍は990円で販売されています。単行本は、現在増刷中で9月20日以降に2,200円で手に入ります。
デジタル経済学の第一人者であるダグラス・ラシュコフ(Douglas Rushkoff)が、2022年に出版した "Survival of the Richest"(富める者のサバイバル)の日本語訳です。
巨大資本主義は、デジタル経済によってより非人間的になり道徳性を失うという姿を描き出します。
現代は、デジタルの力で便利で快適なものを提供すると同時に、それについてこれない人たちをどんどん見殺しにするどころか破滅させていくような世界になってきています。デジタル経済とは、完ぺきとは言えない、十分に幸せと言えないかもしれないけど、そこそこ満足して過ごしやすい我々の世界を破壊しながら進むゲームなのです。
何かをデジタル化すると、例えば品物の購入が通信販売だけになってしまったり、タクシーが配車アプリだけになってしまったり、お店にネットで申し込んで予約者だけ入れるようになってしまう。もしくはディズニーランドのように高い追加料金を払った人たちだけは楽しむという風になっていき、社会環境が破壊され、スラム化していくというのは明らかです。
タクシーの運転手から誇りを奪い、宅配の運転手を搾取し、早くたくさん運べるように強制することで仕事の生きがいを奪い、地元の商店街がすべてシャッター街になってしまったとしたら、そんな社会になったら誰も得しない。大金持ちですら得しない。デジタル企業しか得しない世界になってしまいます。
じゃあどうするのか。
20世紀型の支配者、いわゆる政治家とか財閥トップとか大企業の社長やこれあまでの金持ちの権力者と比べ、21世紀の支配者、IT企業の社長やヘッジファンドのオーナーたちは根本的に価値観、いわゆるマインドセット(無意識の思考パターン)の違いがあります。
現代の征服者たちは、自分たちの行動によって世界が人の住めない場所になりつつあることが分かっています。IT系の起業家同士は競争し、まるで軍事拡張競争のように世界を住みにくくしていく。そのうえで自分たちが巨大な利益を得るという、人類が経験したことのない競争の段階に20~30年前から入っています。
僕らはそれが見えなくて、相変わらず世界の支配者たちは20世紀型の支配者だと思っている。
世界を住みにくくして自分たちが利益を得る競争によって、世界はどんどん住みにくくなって、いずれ事件が起きてゲームが終わる。その事件が起こるとわずかな人しか生き残ることができない。だから逃げ出さなきゃいけない。ゲームは最終ステージに向かっていて、自分たちだけ生き残れるかどうかになっている。これが現代の大金持ちというか超大金持ちの発想です。
じゃあ、どうやって逃げるのか。
IT企業やヘッジファンドのトップたち全員に共通しているのは、誰も信じなかった可能性に賭けて勝った人たちであるということです。こんなビジネスが成功するはずはない、こんなことができるはずがない、PayPalみたいなものってそんな無理だよねとか、ネットワークで動画配信、そんなの無理だよとか、140文字しかやり取りできないようなSNS、そんなの意味があるのという風に全部周りがだめだだめだだめだと言ってるのに夢に賭けて成功した人たちばっかりなのです。世間的に無理と言われるもの、違うと言われるもの、可能性がない夢みたいだ、そんなことは起こりえないということに関して賭けたことで成功した人ばっかりだからです。だから、彼らは誰もまだ信じていない破滅にお金をかけ始めてるってわけなんですよね。
また、21世紀型の国家や財閥を超える本物の支配者たちは社会性を必要としていません。彼らは大体独身か、結婚していても家族のサイズが恐ろしく小さく、巨大な一族はいない。なので、彼らは一度こういう風にしようと決意したら、気を遣う家族も一族も同僚もほとんどいません。一族とか社会性をあまり持たない人たちっていうのが巨大な権力を持てばどうなるのか、人類の歴史上かつてない社会実験が始まっているのです。
資産1兆ドルを超える大金持ち(トリリオネア)は既に核戦争、バイオテロ、テロリズム、無政府状態、電磁パルス、太陽フレア、ポールシフト(地軸変動)、惑星衝突、メガ津波、惑星Xの出現などの地球規模の災害の備えているのです。
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「Fallout」の世界をリアルに作り出そうとしている。このようなお金持ちのムリゲーに付き合わされた世界は破滅する。そのようなムリゲーを止めなけらばならないが、以下のような彼らの信念を変えるのは、不可能かもしれない。
みんなが信じてない夢を信じ続けることが大事だ
限定
「ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する」
ジョナサン・ゴットシャル (著)
陰謀論とフェイクが溢れる世界で生き抜く「武器としての思考法」。
「ストーリーで世界を変えるにはどうしたらいいか」という問いかけをやめ、「ストーリーから世界を救うにはどうしたらいいか」と問いかける書。
「死者は嘘をつかない」
スティーヴン キング (著)
「死人の霊が見える」少年の成長物語
プレミアム
「月をマーケティングする アポロ計画と史上最大の広報作戦」
デイヴィッド ミーアマン スコット;リチャード ジュレック (著)
新聞、雑誌、ディズニーのテレビ番組、映画『2001年宇宙の旅』などを通じて、NASAは月面開発を売り込んだ。日本人も驚いたアポロ11号の月着陸テレビ中継や、大阪万博アメリカ館の「月の石」は、こうしたマーケティングの一環だったのだ。
「月を盗んだ男 (NASA史上最大の盗難事件)」
ベン・メズリック (著)
2002年、NASAから“月の石"を盗み出した学生、サド。ジョンソン宇宙センターの優秀な研修生がなぜそんな犯罪を引き起こしたのか。真相に迫る傑作ノンフィクション!
「ビリー・サマーズ 上・下」
スティーヴン・キング (著)
狙いは決して外さない凄腕の殺し屋、ビリー・サマーズ。真の顔はエミール・ゾラを愛読する思慮深い人間であり、標的が悪人である殺ししか請け負わない。引退を決意して「最後の仕事」を受けた。狙撃地点となる街に小説家となって潜伏する。だが、この仕事は何かがおかしい……。
準備中
「ハリウッド映画の終焉」
宇野維正 (著)
ハリウッド映画は、ヒーローもののような人気シリーズ作品への依存度をますます高め、オリジナル脚本や監督主導の作品は足場を失いつつある。最後の抵抗を試みる監督たちの姿と、更に新たな境地を模索し続ける作品群。今、映画界で何が起こっているかを詳らかにしていく。
「198Xのファミコン狂騒曲」
塩崎 剛三 (著)
ビデオゲーム黎明期からファミコンの爆発的な人気に歩を合わせ、
『ログイン』の一コーナーだった「ファミコン通信」を
ゲーム雑誌ナンバー1にするまでの歴史的記録!!
「偉人画報 三峰徹」全20巻
稀見理都 (著)
「気がつくと、いつもそこにキミがいた…」
日本のエロ雑誌の片隅に君臨し続けるハガキ職人・三峯徹。
自筆イラスト投稿で、『キャンディータイム』1989年5月号以後ほぼブランクなく活動。2019年10月には投稿30周年トークイベントを開催した。
「DD(どっちもどっち)論 「解決できない問題」には理由がある」
橘玲 (著)
ものごとを瞬時に判断すれば、膨大なエネルギーを消費する脳を活動させるコストは最小限で済む。ヒトは進化の過程で、面倒な思考を「不快」と感じ、直感的な思考に「快感」を覚えるようになった。すべての対立を善悪二元論に還元することは、いわばヒトの“デフォルト”だ。ところが現代社会で対処を迫られるのは、対立する当事者がいずれも「善」を主張し、第三者には単純に判断できないような【DD】的な問題なのだ。