ふくわうち きちこ 福内 吉子

エッセイスト 『やっぱり今でもカルチャーショック』 『家庭内カルチャーショック』 …

ふくわうち きちこ 福内 吉子

エッセイスト 『やっぱり今でもカルチャーショック』 『家庭内カルチャーショック』 『きっちゃんくっちゃんのスピリチュアルジャーニー』 などを題材にエッセイを書いています

最近の記事

自己紹介

おしゃべりエッセイ♬ きっちゃんとくっちゃん   ふくわうちきちこ (福内 吉子)     故郷とは 遥か彼方で 想うもの   日本を離れて初めて気がつく日本の良さ 日本では当たり前なのに、日本以外では全くそうではないことの数々   日常生活で感じるさまざまなカルチャーショックの出来事を エッセイにしています。   他にも、 家庭の中でのカルチャーショック、 長い薔薇のスピリチュアルジャーニーの道中を題材に、 心赴くままに文章にしています。   笑ってご一読頂ければ、幸いです

    • 【エッセイ】 「びっくりしたぁ」 〜家庭内カルチャーショック〜

       日本では驚いた時、皆が皆、 「びっくりしたぁ〜」 と、一様に言う。    「きゃあ〜」だの、「うおぉ〜」だのと奇声を発した後に、まるでパッケージセットになっているかのように、必ず「びっくりしたぁ〜」がついて来る。嬉しいびっくりだろうが、怖いびっくりだろうが、不意をつかれた時でも、何かや誰かに偶然出会った時でも、どんな状況下でも皆が口を揃えて「びっくりしたぁ〜」と言う。    家の中で私を驚かせることが大好きな夫は、勝手にひとりかくれんぼを始めて、私をおどかすことがある。その

      • 【エッセイ】 100円ショップと1ドルショップ 〜やっぱり今でもカルチャーショック〜

         日本の100円ショップの商品はとにかく気が利いている。  日常生活で、不便とまではいかないが、もう少し何とかしたいと思っているようなストレスの卵たちを取り除いてくれるアイディア商品に満ちている。  それらのどれもが別段なくたってどうってことはないのだが、日常の生活をより便利でよりスムーズにするためだけに、わざわざ商品化されているから驚く。痒いところに手が届くほど、実に良く、使う人の身になって考えられている。しかも、100円なのに100円には決して見えないほどの質の高さだ。見

        • 【エッセイ】 うんこの観察 〜スピリチュアルジャーニー 人生のレッスンはしつこい〜

           用を終えた後、私は観察を欠かさない。  まだ色気のあった若い頃は、うんこが出ると思った瞬間に流すレバーを下げるか流すボタンを押すかして、うんこが便器に着地する前に奔流によって流してもらうという技を使っていた。これにより、くさい匂いがトイレ中を立ち込めてしまうことと、汚れが便器に付着するのを阻止することができる。  しかし、いつからか、私は、匂いが立ち込めようが、便器が汚れようが、観察を第一優先とするようになった。  それは、うんこのカメレオンパワーに遭遇したことに始まる。

          【エッセイ】 あっちの方向 〜コメディショーみたいな夫婦の日常〜

           私が指を差して、 「ねぇ、あれ見て!」と言うと、 夫はほぼ100%の確率で、全くとんちんかんな方向を見上げながら、 「どれ?」「どこ?」「何?」と聞いてくる。   「ほら、あれ」 ボキャボラリー不足で、普段、「あれがどうした」「これがどうした」だのと、「あれ」「これ」で用を足して生きているために、とっさには気の利いた言葉が出てこない。    私の説明不足も大いなる原因のひとつではあるが、夫は相変わらず、とんちんかんな方向を向いたまま私の指す「あれ」を探している。   「何故

          【エッセイ】 あっちの方向 〜コメディショーみたいな夫婦の日常〜

          【エッセイ】 スーパーマーケットのデリバリー 〜やっぱり今でもカルチャーショック〜

           こちらでスーパーマーケットのオンラインデリバリーを頼むと、ほぼ100%の確率で、頼んだものが全部届かない。毎度毎度、届く前に予め心構えをしておくのだが、それでも伏線を張った私の想像を遥かに超えて、私を驚かせてくれる。私は未だに慣れることが出来ない。    日本では長年、おうちコープのお世話になっていた。おうちコープの分厚いチラシは良くできていて、見ているだけでワクワクする。小洒落たレシピも紹介しながら、夕食のアイディアをくれ、「今週は何を食べようか」を楽しみながら考えられる

          【エッセイ】 スーパーマーケットのデリバリー 〜やっぱり今でもカルチャーショック〜

          【エッセイ】 「くさい」で起きる 〜コメディショーみたいな夫婦の日常〜

           冬の間、半年以上もドカンと雪が降るくせに、びっくりするほど暑い夏のモントリオールでは、エアコンなしの夜は非常に寝苦しい。昔からあるアルコール温度計のあの赤い液体は、モントリオールに連れて来られてしまったために、一年を通してマイナス30度からプラス35度まで激しく上下に動き回らなくてはならない。きっとどこの大都市に置かれるよりも過重労働だ。  どちらかと言うと、寒さ厳しい真冬に備えて、防寒のための断熱に造られているモントリオールのアパートは、真夏の太陽の熱は内にこもったまま逃

          【エッセイ】 「くさい」で起きる 〜コメディショーみたいな夫婦の日常〜

          【エッセイ】 掃除の仕方, 日本の常識は世界の非常識, やっぱり日本人は狂ってる 〜家庭内カルチャーショック〜

           日本人ほど掃除のできる人種はこの世にはいないのではないかと本気で思うようになった。なぜなら、欧米の人たちは日本人のようにマメに掃除をしない。その上、掃除をしたところで、掃除の基本が全くなっていないからだ。    私は幼い頃、毎朝毎朝、掃除から始まる日本の習慣に「私たちは掃除をするために生まれて来たのか」と真剣に考えた。そして、大して汚れてもいないのに、昨日だってやったのに、「なぜ、そんなにまで掃除をしなくてはならないのか」を、幼心で真剣に悩んだことを憶えている。  母も祖母

          【エッセイ】 掃除の仕方, 日本の常識は世界の非常識, やっぱり日本人は狂ってる 〜家庭内カルチャーショック〜

          【エッセイ】 掃除とはこういうものだ、日本人は狂ってる 〜やっぱり今でもカルチャーショック〜

           無闇やたらに捨てられたゴミや周辺から舞ってきた枯葉が、家の敷地または家の前に溜まっていたとする。  日本でならきっと、家の人が出て来て箒を使ってゴミや枯葉を一箇所に集め出し、ちりとりできれいに回収する。そして、集めたものをゴミ袋に入れる、といった光景を目撃することだろう。しかも、ゴミはゴミ、枯葉は枯葉、空き缶は空き缶ときちんと分別し、自分のゴミでもないのに、それぞれの回収の日まで自分の敷地内で保管することだろう。    ところが、だ。  欧米社会ではそんな人間は希少価値だ。

          【エッセイ】 掃除とはこういうものだ、日本人は狂ってる 〜やっぱり今でもカルチャーショック〜

          【エッセイ】 「そぉっと置く」ことのできない可哀想な人たち 〜やっぱり今でもカルチャーショック〜 たかだかスーパーマーケットなのにカルチャーショック

           ハリウッド映画の中で、スーパーマーケットでの買い物シーンを観かけることがある。しかし、観る度に決まって、私に大きな違和感と不快感を与えてくれる。それらのシーンは、まさしく私の日常でもあり、実際、近所のスーパーマーケットで毎回見かける買い物客たちの行為と同じなのだが、私はどうにもこうにも好きになれない。買い物客が陳列棚から商品をひったくり、大きなショッピングカートへ「ボン」「バン」と、音を立てて叩き入れる行為だ。  どういうわけだか、欧米諸国のスーパーマーケット内で、実際に人

          【エッセイ】 「そぉっと置く」ことのできない可哀想な人たち 〜やっぱり今でもカルチャーショック〜 たかだかスーパーマーケットなのにカルチャーショック

          【エッセイ】 スーパーマーケットの袋詰め係 〜やっぱり今でもカルチャーショック

           日本全国どこのスーパーマーケットへ行っても、レジで会計を終えた後に袋詰めをするためだけの専用カウンターが設置されている。  そのカウンターには小さなビニール袋や包装用の新聞紙、輪ゴムやセロテープなどが備えつけられていたり、指が乾燥していてビニール袋が開けない人のために、親切にも、指を濡らすための小さな「指濡らし器」まで置いてあったりする。何とも気が利く心配りだ。そのため、会計が済んで、ゆっくり自分のペースで袋詰めすることができる。  しかし、こちらではそうはいかない。レジ係

          【エッセイ】 スーパーマーケットの袋詰め係 〜やっぱり今でもカルチャーショック

          【エッセイ】 懴悔 〜スピリチュアルジャーニー 人生のレッスンはしつこい〜

           私には謝りたい人や謝りたいことが山ほどある。そのひとつひとつを思い返し始めたら、次から次へとエンドレスのように出てくる後悔の数々に、いくつ命があっても死に切れないほどだ。  特に何か罪を犯したわけでも、肉体的に人を傷つけたわけでもない。軽罰と呼ばれるような犯罪だって、何ひとつ犯したことはない。ただ、後になって思い出す度に、「あぁ、あの時は本当に申し訳ないことをした」と、今すぐ駆けつけて土下座をしたいほど悔やまれる出来事が実にたくさんあるのだ。  もしかしたら、その相手の人た

          【エッセイ】 懴悔 〜スピリチュアルジャーニー 人生のレッスンはしつこい〜

          【エッセイ】 毛むくじゃら男 〜家庭の中でもカルチャーショック〜

           私の夫はけむくじゃら男だ。どこもかしこもとても毛深い。二の腕を除いて体中の至る所がジャングルだ。だから、蚊にだって刺されない。  そりゃあ、そうだ。蚊の気持ちになってみたら、こんなジャングルの中に飛び込んで、出られなくなったらえらいこっちゃだ。もがき出ようとしている間に、体の主に気がつかれ、ピシャリと叩き潰されてしまうのがオチだ。そんな危険を犯さなくたって、隣に「どこからでもどうぞ」と言わんばかりの毛のない細身の人間の体がある。こっちの方が血管だって簡単に探せるし、毛に絡ま

          【エッセイ】 毛むくじゃら男 〜家庭の中でもカルチャーショック〜

          【エッセイ】 外国の家には玄関がない 〜やっぱり今でもカルチャーショック〜

           外国の家には玄関がない。そもそも日本のような「玄関」という概念がなく、家に入るためのただの入り口、「エントランス」でしかない。私は、日本のお風呂と日本のトイレに並んで、日本の玄関を非常に誇らしく自慢に思っている。  日本の玄関は靴を脱ぐ三和土(たたき)の部分が一段低く作られている為、玄関と家の中とは明らかな境界線がある。一段、段差を上らなくては家の中に入れない為、ここまでが外、ここからが家の中だということが誰の目からも明確だ。  玄関は履いていた靴を脱ぎ、レインコートや厚

          【エッセイ】 外国の家には玄関がない 〜やっぱり今でもカルチャーショック〜

          【エッセイ】 スーパーマーケットでの心得   『お会計は食べてから』 〜やっぱり今でもカルチャーショック〜

          スーパーマーケットでの心得  〜 お会計は食べてから 〜    昔、仲良しだったアメリカ人の友人とスーパーマーケットへ買い物に行く度に、びっくりおどおどしたことを今でも時々懐かしく思い出す。  彼女は非常に気さくで親切で、誰にでも話しかけるとってもフレンドリーな女性だった。  彼女とスーパーマーケットへ行くと、彼女の好きな食べ物だけでなく、料理上手な彼女が料理の隠し味に使う秘密の食材や、一般には用いない方法で使う彼女秘策の変わったレシピなどをいろいろと教えてもらえるので、行

          【エッセイ】 スーパーマーケットでの心得   『お会計は食べてから』 〜やっぱり今でもカルチャーショック〜

          【エッセイ】 このオレに温かいのは便座だけ 〜やっぱり今でもカルチャーショック〜

           日本からカナダへ戻ると、最初に受けるカルチャーショックはいつも決まって同じものだ。 「冷たいっ!」  分かっちゃいるのに、忘れている。女性は出産の痛みを忘れるからまた妊娠できるのだと誰かが言っていたが、人間の忘れる力ときたら、大したもんだ。    トイレへ行く時は、「まぁ、暇だから、おしっこでもしようか」といった具合に、時間的にも精神的にも余裕があることは滅多にない。大抵の場合は切羽詰まった状態で駆け込む。だから、片手で便座の蓋を開けながら、もう片方の手は既に脱ぐ仕事に取り

          【エッセイ】 このオレに温かいのは便座だけ 〜やっぱり今でもカルチャーショック〜