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未来のスーパー「盒馬鮮生(フーマー)」から見える世界の変化


今回のnoteでは、先日中国に行った際に「これはやばかったな」という体験をサービスの簡単な概要と一緒に、自分自身への課題としてにこのnoteにて紹介してみようと思います。

筆者自体、人生初めての中国でしたが日本の先端技術が可愛く見えるくらいテクノロジーが机上の空論ではなく実社会に溶け込んだ中国を目にしました。そんな中国のリアルをより多くの人に伝え、日本でもよりテクノロジーの進んだ生活ができるようになればいいなと思っています。

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冒頭にて、このnoteで伝えることを箇条書きでまとめておきますのでこの話題は興味があるという方は、読み進めてください!

また---✂︎---からは、フーマー含めた中国のテクノロジーから読み取れる世界の変化を書いていくので、フーマーだけを知りたい方は飛ばしてもらって構いません。


このnoteで伝えたいこと

・中国テクノロジー普及の実態
・盒馬鮮生(フーマー)のビジネスモデルの特徴
 ■スーパーマーケット、生鮮EC、食品倉庫、フードコートの両立施設
 ■オフラインを重視した仕組み
 ■データを活用した拡大戦略
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・ユーザー体験が、今後リッチに便利に変化する
・中国テクノロジーは、目に見えなかったデータを取得し最適解を得る
・オンラインだけでなく、オフラインのレベルアップは必須

中国テクノロジー普及の実態

さて、中国のテクノロジーがどれだけ実生活に浸透しているかということですがまずは決済の話から。

日本でも、PayPayなどで一気に注目度をあげたQR決済ですが、簡単にいうと「日本で誰でもコンビニという存在を知っている」という感覚に近いくらい利用されていました。

筆者も現金とQR決済(帯同者のもの)を利用する気でいましたが、現金を利用したのは空港でお土産を買った時くらい。地元のおじいちゃんやおばあちゃんが使うようなお店でもQR決済は普及しており、現金で払う中国人を今回の旅行で目にすることはありませんでした。

日本で利用している人たちはテクノロジーに興味がある人など、まだニッチな状況を知っていると中国の決済事情とは、天地の差だということが分かります。日本で、中国と同じくらい普及するのは難しいなと感じました。

「盒馬鮮生(フーマー)」のビジネスモデルの特徴

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盒馬鮮生(以下フーマー)は、アリババの新形態のスーパーです。生鮮食品を一括で購入できる理念を消費者に伝える為、店舗から3km以内の距離であれば30分以内に配達を行っています。また「オンライン+オフライン店舗」として、伝統的な小売業態を構築しています。

簡単にいうと①スーパーマーケット、②生鮮EC、③食品倉庫、④フードコートが一緒になったようなスーパーです。

■スーパーマーケット、生鮮EC、食品倉庫、フードコートの両立施設

スーパーだけでなく倉庫も併設していることで、一等地に莫大な敷地面積を持っていてもビジネスとして成り立たせることが可能になります

また店内では、日本のスーパーマーケットと同様に生鮮食品・お菓子・日用品など様々な商品が並び、欧米のお菓子や日本でも見られるお菓子なども見られたことから商品のバリュエーションも豊富にしておくことで利用する理由を提供してくれています

実際に訪れた際にも、イケスなどが実店舗で体験できることからエンタメの要素も含むことができています。

そして、そのイケスから採った食材はすぐ近くにあるフードコートで調理してもらうことができ、買うから食べるまでのキャッシュポイントが導線として無駄なく配置されています

4つの要素(スーパーマーケット、生鮮EC、食品倉庫、フードコート)を、1つの店舗に持たせることで互いに欠点を補い合うことができるようになり、結果的にはプラマイゼロではなく互いにもつシナジーで、より大幅なプラスを生んでいます。


■オフラインを重視した仕組み

オフラインの体験として日本の報道で注目されるているのは、天井に張り巡られたレールの話です。生鮮EC配達をする際に利用されるバックが天井を移動しています。

荷物移動の頻度は、そこまで高くなくまだまだ生鮮ECだけで売り上げを立てるのは難しそうな印象です。

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近隣の住民の場合、実際に店舗に訪れる必要はなくスマホのアプリ上で店舗にある商品を注文することができます。注文された商品は、フーマーの店員が店内を巡回し注文された商品をピックアップします。

その商品が、地下に配置されたバイクで注文された住所に届けるという仕組みになっています。できた料理を配達するデリバリーサービスは、中国でも日本でも多く存在しますが、生鮮を届けてくれるサービスはあまりない印象を持っています。アメリカでは、AmazonやGoogleなどのIT企業、日本でもクラシルを運営するdelyでも検討されている業態です。

また現地人のニーズとしては、便利さだけではなくアリババ運営のスーパーということで生鮮の鮮度の質が信頼できるということが挙げられます。値段が、安いという単純な競合優位性ではなく、便利さや信頼といったアリババの付加価値が成り立たせているビジネスモデルと言えます。

そして日本にあまりない体験型の設備としては、イケスの魚を網ですくって購入する仕組みがあります。日本でもお馴染みの鯛やアナゴから、川魚のコイ、カニ・エビなどの甲殻類まで豊富に販売されています。

純粋に、水族館の様な楽しい感覚と食材を生きているところから感じることができるのは、大人ながらに子供の時の感覚を思い出す様で楽しい体験でした。

その釣り上げた魚はフードコートに持っていき、自分の好きな様に調理してもらうことも可能です。今さっきまで生きていた魚やエビなどをその場で調理し、食べられる体験はかなり楽しいいいとかなり気持ちも上がります。

※シャコエビを実際に食べて見ました!かなり美味!

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そして、決済はもちろんQRでできます。レジの大部分が無人で清算出来るものになっており無駄な時間や待ち時間はほぼ皆無といった感じです。画面も大きなディスプレイになっており、精算時以外にも広告が流れたり商品のおすすめ動画が流れたりしており小さいところでも収入源を作っているアリババのしたたかさを感じました。

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3)データを活用した拡大戦略

アリババの強みとして、データという力は莫大です。

フーマーの立地を見ていると、ほとんどの店舗が日本のスーパーなどが出店している住宅地近辺ではなく、都市に出店しています。

一見無謀な出店のように感じますが、実は裏側ではアリババの他サービス(タオバオ、Tmall)から集められた出店地区の購買情報やユーザー情報から緻密に練られた戦略によって出店されています

また、フーマーを利用するユーザーは全員会員登録をしており、何度もフーマーを使うことで一人一人の購買行動や購買情報などのデータが蓄積される仕組みになっています。この地域の、この性別の、この年齢のユーザーの好む商品や購買する時間など今まで全く集積できていなかったデータを集めることが可能になりました。

つまり、出店の裏付けとしてアリババ他サービスのデータを利用し、出店した後も利用者のデータを蓄積させていくことでスーパー業界の鍵ともいうべき、ユーザーの詳細な購買行動や傾向が読み取れるようになるという訳です。

フーマーに入った瞬間に、この商品とこの商品がおすすめとリコメンドされるような将来も近いかもしれません。

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ユーザー体験の今後

フーマー含めデジタル化が進んでいる中国で、目にしたものは”オフラインへの原点回帰”でした。デバイス上での会話や決済はもちろんですが、その進化もどんどんリアル店舗やリアル購買にも広がっている印象を受けました。

デバイス上のユーザー体験の向上だけでなく、今まで当たり前とされてきた手間や無駄をテクノロジーを駆使し一気に解決し、一度体験するとその手軽さと便利さに手放すことができなくなるユーザーも多そうです。

「luckin coffee」の例

デリバリーコーヒーの市場を席巻しているluckin coffeeも、テクノロジーを駆使してリアルな体験を充実させているサービスの1つです。

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アプリをダウンロードしなければ利用できないという一手間を挟みながらも、一度利用すると後には戻れなくなるユーザー体験を提供してくれます。待ち時間は、アプリからの注文で短縮でき店舗に行くと商品を受け取り、QRで決済。

昼間の休み時間の少し前にアプリから注文したり、店舗の近くにきたらアプリで注文しておくことで待ち時間0でコーヒーを飲むことができ、全くストレスのないサービス体験をすることができます。

中国ユニコーン「Luckin Coffee」は何がすごいのかを見るとより詳しくluckin coffeeを知れます。

「Starbucks Reserve Roastery Shanghai」の例

luckin coffeeの戦略とは、また違った戦略を展開するのが世界的にも有名なスターバックスの高級コンセプト店舗「Starbucks Reserve Roastery Shanghai」

競合他社が、デバイス上での注文が出来る仕組みを発表したりする中でスタバは、リッチな体験ができるStarbucks Reserve Roastery を提供しています。

焙煎工程をむき出しにし焙煎された豆が天井を行き交う光景などアミューズメント化やエンタメを盛り込んだ店内ではおしゃれな音楽と共に、世界各国の人々が行き交う雰囲気を構築しています。

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また、イタリアのベーカリーのベーカリー・チェーン「プリンチ」と提携し店内で美味しいベーカリーを焼いていたり、ARを使った仕掛けを店内にいくつも設置していたりと遊び心満載の店内になっています。

そして、オリジナルのタンブラやーアパレルといったグッズ類も豊富でカフェだけではなく様々な体験をできるハブの様な役割も孕んでいます。

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普通のスタバやコーヒショップを凌駕したリッチな体験を提供しています。

この2つの事例やフーマーの事例からも分かるように、これからは中国だけではなく世界的にもオフラインを重視する動きは生まれて来ることは確実です。またオフラインの変化としては、体験のリッチさの重視か利便の向上のどちらかが最重要とされていくと考えています

中国テクノロジーが巻き起こすこれからの変化

最後に、中国テクノロジーから見える今後の社会の変化についても言及してみたいと思います。まずフーマーやスタバ、luckin coffeeから考えられる変化ですが、まさにテクノロジーのリアルへの進出が大きい波になるのではと考えています

デバイスやPC、スマホでの体験の充実はもちろんのこと、それに付随してリアルな体験でも質や便利さは求められる様になり、ネット上でどれだけ便利で、ユーザー体験がしっかりしていてもリアルな場でのユーザー体験がよくなければそのサービスはどんどん淘汰されていきます

そう考えると、まだまだ日本ではリアルな場へのユーザー体験向上のコテ入れ進んでおらず改善の余地は大きくあると言えると思います。

そして、リアル体験によりテクノロジーが浸透し、今までも価値があったがデータとして集めるのが技術的に困難だった領域もデータ化できる様になります

感覚で値付けをしたり個数を考えたりする時代は終わりを迎え、データによって管理された最適解を常に求めながら多くの経済活動が回っていく様になることが予想しています。その結果、データを大量に蓄積でき改善のスピードをあげ最適解を自社で生み出せるテック企業は、今後もより進化していくでしょう。

まとめ

■フーマーの凄さは、ビジネスモデルとデータ応用にある
■リアルな場にも、ユーザー体験の向上とデータが浸透してきている
■オンラインだけでなく、オフラインにも質の高いユーザー体験を提供できる企業が勝つ
■中国の企業成功は、未来の世界をイメージすることに繋がる


一緒に中国に行ったメンバーが情報を発信していますので一緒にご一読ください、まとめ方も秀逸です🙃


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