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声に出して読んだ「百万」(謡曲)
2月からご近所の謡曲サークルに参加することになった。
せっかくなので声に出して読んだ物語の感想、好きな節などをメモしたい。
あらすじは割愛。自分用の断片的なメモです。
「百万」
四番目物 作 観阿弥・改 世阿弥
<メモ>
・大好きな言葉「えいさらえいさ」出てきた。(説経節の小栗判官好きなので)
※えいさらえい=はやしたり、押したり引いたりする時に、掛け声として発する言葉
・奈良から嵐山・清涼寺に向かう道を語るところ、井手の玉水(現・井手町)出てくる。当時から名所なんだな
・南無阿弥陀仏、いっぱい出てきてなんかありがたい。祝福感は妙にある。
・実際に謡で聴くと、「これ程多き人の中に。などや我が子乃なきやらん。あら我が子恋しや我が子賜べなう」というセリフがすごく胸を打つ。思わず重なった風景は戦争や災害。例えば、シベリアからの引揚船(岸壁の母など)、引揚者の名前を読み上るラジオ放送。災害の後の避難所、遺体安置所。
・母・百万の悲しみが伝わる演目だから、前半早々に母だと気づくのに様子見をする子どもと僧にイラっとする……。最後に気づくのではなく最初に気づいている残酷な設定が、この話の肝なんだろうな。百万の切なさを倍増させる演出というか。
最後に「気の毒だから教えてあげましょう」みたいな感じで、僧が百万に名乗るシーンんも、再びイラッとする。百万がこれにたいして「心強や。とくにも名乗り給ふならば。かやうに恥をばさらさじものを。あら恨めし。とは思へども。」(なんて気の強い、早く名乗って下されば、このように恥さらしなことをしなくて済んだのに。恨めしい)と返す言葉に、物語の演出と分かりつつ「そうだそうだ!」と妙に感情移入してしまうけど、物語の中に入れるなら、僧を一発なぐりたい。(子どもはどうしよう……様子見しようといったのは彼なんだよね)
[単語メモ]
優曇華(うどんげ)
3000年に一度咲くと言われ仏教説話に出てくる伝説の花