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『人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか スペイン サン・セバスチャンの奇跡』高城剛著 【食の本紹介】 

7月にスペインに行くにあたり、楽しみにしていることの一つが、サン・セバスチャン旧市街のバルでタパスやピンチョスを食べること。

ちなみにタパスを串に刺しているとピンチョスというらしい。

テーブルに寄りかかりながら、肉やししとうがのっかったタパスを一口でがぶり。ワインをぐいっと一口。カウンターには目にも美しいタパスが並んでいる。店内は心地よい活気が満ちていて、あちこちで笑顔がこぼれている。そんな想像をして、にんまりしている。

前からまちおこしの成功例として名前は聞いていたサン・セバスチャン。
実際に行くことになりもっと知りたいと思って手にとったのが、高城剛さんの『人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか スペイン サン・セバスチャンの奇跡』という本である。

著書の高城さんを白無垢姿の沢尻えりかの隣にいた日に焼けたおじさん、ぐらいにしか認識していなかったのだが、見方が変わった。とても明快で読みやすい。しかも本は2012年に出版されており、サン・セバスチャンにみなが注目しはじめるきっかけをつくった人物ではないかと思う。

この本から学んだのは、まず、サン・セバスチャンのあるバスク地方は郷土意識が強いこと。しかし70年代まで続いたフランコ政権は中央集権的な国家で地方が抑圧されていたこと。

将軍が没してから地方分権が進み、はじめて輸入文化が入ってきて、その中で新しい料理を追求する「ヌエバ・コッシーナ」というムーブメントが起き、天才シェフにより科学的な調理法が生まれた。それをシェフ同士がおしえあう環境があったことが全体のレベルをアップさせた。

地図を広げてみると、サン・セバスチャンは山と海があり、良質な食材が手に入る。そして美食の国フランスに接している。ここは食を大切にする文化がもともとあり、気の合う男同士が集まってキッチンにたつ「美食倶楽部」という場所が100以上もあるそうだ。

そういう土壌に若手が新しい料理法を持ち込んで、郷土料理が斬新な形で表現されていった。ミシュラン店が生まれ、同時に、気軽につまめるバルの料理も競うようにレベルアップした。

今も盛んにコンクールや学会が開かれ、料理が知的な財産として扱われ、シェフという職業はとても尊敬されているという。

さあ、私は何軒いけるのだろう。どんなタパスが食べれらるのだろうか。バル街は外国人観光客むけの工夫はされているのだろうか。現地で雰囲気を感じてみたい。ワクワクが加速している。


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