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散歩のつもりがアート鑑賞 公園のSerpentine Galleryがかっこいい【ロンドン旅行記】
この夏、イギリスとスペイン旅行に一人旅に行った時の日記です。
6月27日(木)
ロンドンで2度目の朝。今日もよい天気。
しかし、うー、今日は体が疲れている。昨日走り回ったせいだ。
事前の計画では、今日はマーロー(Marlow)という、ロンドンから片道1時間の街に遊びに行く予定だった。静かで眺望のきれいなテムズ川沿いの街は、林望さんの『イギリスはおいしい』という本にでてきて、憧れだった。
この街でゆっくりアフタヌーンティーを飲みながら過ごしてみたい、と思っていたのだが・・・・
今日は遠出は無理そうね。また別の日に。
そこで、体が楽なプランを考える。
今日は午前中はもう一度、歩いてハイドパークに行って、午後はロンドン市内のウエストミンスター寺院をじっくり見に行こう。昨日、前を自転車で通って、中を見てみたいと興味がわいたから。
「ウエストミンスター寺院」で検索してみると、チケットは予約制で14時からの入場券が空いているのでまず予約する。値段は29ポンド!およそ6000円。
予定も決まって安心して身支度をする。今日も半袖でちょうどよい。気分を変えて下はスカートを履く。
2度目のハイドパーク
2日前の夕食のチキンがまだ残っていて、ちょっとつまんでから捨てる。そして、りんご、シリアル付きのヨーグルト、水をカバンに入れて、いざ出発。
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もう毎日来たいくらいに気に入ってしまった、ハイドパークと地続きにあるケンジントンガーデン。
ロンドン市内に240haの空間。明治神宮が73ha、新宿御苑が58haだそうなので、どれだけ広いか伝わるだろうか。
芝生の上でぼおっと座ったり、ベンチで朝ごはんを食べたり。動物もいっぱいいるし、緑は生き生きとしているし。まさに都会のオアシスだ。
通いたいけど、私がロンドンにいる期間はたったの5日間なのであと何回これるだろう。
途中でカフェでアイスコーヒーをテイクアウトしながら水辺のほうへお散歩をする。
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公園でアートに触れる
橋のたもとに小さな建物がある。昨日も見かけたので近づいてみたら、美術館で、Judy Chicagoというアーティストの旗が掲げられている。
Free ・No drinksとあるから、手元のアイスコーヒーをカバンに押し込んで入る。
パステルカラーのデジタルの作品が並んでいるが、よくみると、女性の子宮や卵管のかたちがモチーフになっている。陰部の、あそこの花びらのかたちをした作品もあった。
色々な国の女性の写真が飾ってあって、メッセージが寄せられている。
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あとで調べたら、Judy Cicagoは1970年代からアートでフェミニスト運動を牽引してきたシカゴの有名な女性作家だそうだ。
からだの特徴を切り取って、これが女性のパワーだ、と言われても、私自身は全くふるい立たない。
けれども、男性が女性の裸をえがくことが多かった美術史において、女性自身が女性のからだを切り取って、しかも生殖にかかわる臓器をモチーフにして、「見て、ちゃんと見て」という風に表現してみせたことは、社会のタブーを刺激して大きなインパクトがあっただろうなと想像がつく。
「根強い家父長制のなかで、なかったことにされた女性の歴史を知ってほしい。
女性の疎外という根強い慣習があることを。」
Judy さんの言葉をここに貼っておこう。
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この美術館で、とても個性的な、少しパンクっぽい格好をした若い女の子二人とすれ違う。二人はカップルかもしれない。
どんな気持ちで展示をみたのだろう。
ちなみに、ロンドンは意外とみな普通の格好をしていて拍子抜けである。飾り気がないか、H&Mで売っていそうなサマードレスを着ている。華やかだけれど別に工夫はない。
そんななかで、尖った格好をした数少ない人をみると、ロンドンに期待するイメージと合致して嬉しくなる。
夏の風物詩のパビリオン
美術館をでて橋を渡って左折すると、広場に小さな建物があった。
おや、ここもまた美術館ではないか。
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あとでわかったことだが、この美術館はSERPENTINEといって、先ほど見たのはNorth Gallry、今の前にあるのが South Gallryだそうだ。
入り口にはアート本の本屋があり、私の後方には幼稚園児たちと彼らを必死に並ばせている引率の先生がいる。
中に入ると、チャーチルの銅像をカラフルな模様で塗りつぶした作品や、アフリカの布で包んだ本の背表紙1つ1つに戦争の名前がつけられた本棚があった。
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植民地化をテーマにしているとのこと。
天井が高い空間に作品が映える。
無料の美術館だけれども、企画展をやっていて、しかもきちんとキュレーションもされているので、贅沢な気分になった。
さらに、美術館を出ると、広場があって、遊具で子供が遊んでいたり、本を交換するコーナーがあったり、コーヒースタンドがあったりする。
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中でも印象にのこったのは、不思議な音がなる作品。
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ここを通ると、通った人にしか聞こえないほどの音量で、悲しいような切ないような旋律の音楽がかかる。
インストゥルメンタルで、静かだけれど、心にひっかかる旋律。
私はそれが気に入って、10回くらい、行ったり来たりして音をならしていた。
この広場に黒服のスタッフが3人ほど立っていて見張りをしていたので、不思議に感じていたところ、あとで調べたら「Serpentine Gallery Pavilion」といって、毎年有名な建築家が選ばれて設計し、社交のパーティーなどが開かれ、1シーズンで姿を消す夏の風物詩、なのだそうだ。
これまで手がけた建築家のリストをみると、例えば、国立競技場のキャンセルで話題になったザハ・ハディドさんや、妹島和世と西沢立衛さんのユニットなど、知った名前があった。
この一夏のパビリオンは19年間続いている行事なのだそうだ。
今年はチョ・ミンスクさんという韓国の建築家さんが作ったという。
ああ、それで3人も見張りのスタッフが立っていたのかと、あとからいろいろと合点がいった。
これはまた別の年にロンドンに行って、ほかの人のパビリオンも見てみたいものだ。
偶然出会ったSerpentine Gallayはかなりイケてると思う。
公園の中に溶け込んでいるばかりか、公園の中にアートが入っていって、境界線があいまいなのがいい。公園で散歩していたらいつの間にかアートに触れていた、という状況を文字通りつくりだせている。
Serpentine は、ハイドパークの池の名前でもあり、蛇のように曲がりくねった道という意味らしい。
それも全てがカッコよく感じられる。
散歩がてら、たくさんのアートをみたおかげで、正味2時間だったけれど、もっと長くいたような気がする。意識が遠くまで出かけて、脳に新しい空間ができたような、新鮮で穏やかな気持ちだ。
そしてハイドパークのまた昨日とは違う楽しみ方を知ってしまい、ますます好きになった。
さて、ホテルまで帰るまでの公道を馬に乗って移動している人たちがいる。
その先に厩舎を見つける。公園で乗馬している人たちはここから馬を出してくるのね。
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道に多くのふんが落ちている。馬の糞は犬の4倍くらい大きい。
これは誰がいつ片付けるのだろうか。
(つづく。)