ハイドパークの動物たちと、刺激120%のロンドンサイクリング【イギリス旅行記】
6月26日(水)
時刻は6時半。ロンドンでむかえる初めての朝。
カーテンを開けると気持ちよく晴れていたので公園で朝ご飯を食べようと思う。
朝ごはんはハイドパークで
Googleマップでみるとハイドパークまで歩いて8分くらいだ。ハイドパークは2.5平方キロメートルもある大きな王立公園だ。
ホテルにおいてあったペットボトルの水と昨日買ったりんごをリュックに入れて外に出ると、半袖だと少し涼しいくらいだ。
歩いていると周囲にはなんとも可愛い街並みが続く。白やパステルカラーの壁に植木鉢のグリーンが映えている。
そして、ハイドパークまでの道沿いには、小さな公園がいくつもあり、街路樹は大きく伸びていて、緑うるわしい。
それぞれの公園には小さなベンチがあり、バラなどが植えられている。これだけ都会にいながら、すぐそばに貧弱ではない緑の空間があるというのは、とてもうらやましい。
ハイドパークの入り口に到着すると、目の前をびゅんびゅんと自転車が通っていく。自転車専用レーンを使って通勤する人たちのようだ。うかつに渡れば事故になるほどの交通量だ。
警備員の誘導に従って用心深くわたると、あとはゆったりとした空間が広がっている。人も少ない。
気持ちがいいー!
見渡すかぎり公園の敷地で、散歩道はどこに繋がっているのかわからないけど、とりあえず歩いてみよう。
ここで印象的だったのは、動物たちの姿。
2匹のリスが木の根っこの周りを走りまわっていた。
そして、乗馬をしている人たちがいて、馬の蹄の音が聞こえてくる。パッカパッカという馬のリズムは、たまらなく耳にも心地よいことを始めて知った。
そして犬たち。
飼い主からリードをはずしてもらって水辺に駆けていき水に入って遊ぶ様子からは、体中から楽しい気持ちがあふれてすぎて、周りにこぼれていた。見ているだけで嬉しい気持ちが伝染してくる。
さて、そろそろお腹が空いたな。
地図で確認したカフェマークを目指して、池の反対岸までぐるっと回って行くと、橋の下に白い建物がみえた。近づいてみると、池のほとりにテラス席がある。
ここで朝ごはんにしようと決め入店すると、手前にパンコーナーがありおいしそうなパンが並んでいたので、アーモンドとホワイトチョコがかかった大きなクロワッサンを選ぶ。
それからコーヒー。そして「ベーコン◯◯」と書いてあった一品を頼む。
出てきたのはベーコンバーガーだった。
Burgarって書いてあったかな。読めなかったのかな。中身はシンプルにベーコンのみ。他のものは入っていない。
そして、こちらのパンは中にクリームが入っていて甘い、そして、でかい。
気持ちよく食べていたら、日本の雀よりも一回り大きく、くちばしが長いが一見よく似た鳥が、前のカップルの間をチョンチョンしていた。
私のところにもやってきたので、落ちていたパンかすを集めてあげたら、調子にのってしまって、しまいにはパンを食べようとする口元を狙ってくちばしを突き出してくる。
ぎゃー、それはやめて。あっちいけ。
でも、味をしめたようで何度も狙ってくる。
「お前は人間より下の下の下なんじゃ」と心の中で言って強めに追い払う。「あっちいけ」。
しぶとい鳥はまだチャンスを狙う。
一瞬パクッと食べたらまた袋にしまって机の下に隠す、という攻防戦を展開。
「あっちいけ」と手で追い払う。
まだまだ、とチャンスを伺う鳥。
こうして、忘れられないたわむれの時間が続いた。。。
野鳥に安易に餌をあげてはいけないことを学ぶ。
さて背中にあたる日差しが熱い。そろそろ大英博物館へ向おう。食べたものはそのまま机に置いておいて大丈夫なようだ。
急足でめぐる大英博物館
大英博物館は無料だが予約が必要である。列が混んでいて20分くらい並んでから入場。
ここでは2時間しか時間が取れないので、インストールした博物館のアプリから90分で回れるコースを選ぶ。日本語での解説が聞ける。
このアプリは「大英博物館の10大遺物」というタイトルで、ロゼッタストーンやギリシャの彫刻、モアイ像にミイラなど、世界中の有名な遺物を10個選んでいる。
博物館は地域ごとに整理して展示されているから、つまり、世界各国の品となると一つ一つが違うコーナーにあって場所が離れているというわけ。
例えば、1階の展示室4から展示室10a、次は2階の展示室25、30に33、次は3階といった具合に・・・。
こうなると移動が大変。もう迷路みたいなの。どこかで上の階につながっていているのだけど、行き止まりもあって、行き方を間違えるとすごい遠回りになる。
だから、世界各国の彫刻や工芸品のあいだをすりぬけるように急足で歩いていたのが一番の思い出。ここでかくれんぼや脱出ゲームをやったらすごい楽しいはず。
すいませーん、通りまーす、って心の中で言いながら、エジプトのライオンの形をした彫刻や中国の縦に長い壺を横目で見ながら、人の間をすり抜ける。
一番好きだったのはモアイ像。こういうプリミティブなものに心がつかまれるのだ。
そして、展示品の中に時々アートが置いてあるのも面白かった。モアイの奥には、人間が一生のうちに摂取する薬を薄い布で織り込んだ作品が飾られていた。
遺跡は「歴史遺跡」として見てしまうけど、作られた当時はアート作品だったかも知れないし、両者の境界線を揺さぶられて新鮮だった。
こうやって2時間きっかりで外にでる。
暑い。暑い。イタリア系のカフェでアイスコーヒーを買って、朝に食べきれなかったパンをかじって昼食を済ませた。
ロンドンの観光名所をサイクリング
次は今日のハイライト。待ち合わせ場所まで地下鉄で向かう。日本のSuicaに似たOystercardを取得して地下鉄の入り口でピッ。結構慣れてきた。
参加したのは、最初に自転車をつくったというメーカーのレトロな自転車に乗ってロンドンの観光地を巡るツアー。Tally Ho Londonという名前で、「地球の歩き方」を熟読していて見つけた。
でかした、私。これが本当に良かったのだ。
旅行先で自転車を使うのが好きなのだけど、海外で乗るのははじめて。
絶好のサイクリング日和の中、自転車の速度で、全く初めての土地の観光地を次々と巡るというのは本当に刺激的で最高だった。
徒歩と地下鉄と組み合わせて数日かけていくような数々の観光スポットを、たった3時間で回れる。その中から気になった場所は別途じっくりいけばよいから、これを実質初日に計画して正解だった。
色々な地区を自転車で走っていると、全然雰囲気が違う地区がこれだけ地続きに密集してあることがなんともファンタスティックで、都市の魅力そのものだなと思う。
例えば、テムズ川のロマンティックな雰囲気。そして政治関係や寺院が多い、おごそかなウエストミンスター地区から、広告いっぱいで賑やかな雰囲気のコベントガーデン、そして威風堂々としたバッキンガム宮殿周辺。
ぜんぜーん、雰囲気が違うのだ。それが一つの街の中でグラデーションになっている。都市って人間の発明だよ。
一番のお気に入りがバッキンガム宮殿までの広い道。ちょうど日本の天皇陛下がイギリスに来ている時期だったので、両側に大きなイギリスの国旗と日本国旗が交互に掲げられていた。
ここを走るとまるで私を歓迎しているみたいでしょ。誇らしい気分。
各所でガイドのケイティーさんが解説をしてくれる。人数も8人くらいで話も聞きやすい。
歴史の話だけでなくおいしいお店の話もある。英語は1/4もわからなかったけど、大事な部分は伝わってくる。
写真の広場は、先日チャールズ国王の誕生日の式典が行われたという会場。
目下、片付けの最中だったけれど、そこで知ったのはチャールズ国王の誕生日は年に2回あること。
本当は11月14日なのだけど、一年で一番天気のよい6月に誕生日を祝う式典が行われるそうだ。
「今週は一年で一番天気がよいと言われている1週間なのよ」と言われて、何も知らずに来た私は本当にラッキーだったと思う。
そして、ツアーの最後にさらに驚きがあった。
パブで一休みしたあと、ストリートアートで埋め尽くされた、圧巻の場所へ。元地下鉄の駅だったかな。ここで一人一人にスプレー缶が渡される。粋なはからいだ。
やってみると、人の作品の上から描くのではなくて、それをつぶさずに活かすようにアレンジするのがかっこいいみたいだ。
終始つまらなそうな顔をしてお母さんについてきていたアメリカ人のティーンネイジャーの兄弟も、この時だけは楽しそうに最後までスプレー缶を吹かせていた。
ちなみにテイラー・スイフトのロンドン公演を見にきたそうだ。
この体験は55ポンドなので本当におすすめ。
「私たち、まだ3人くらいでやっている小さな会社だからグーグルで口コミを書いて応援してね」と言われて、応援しますともー!という感じ。
ロンドン愛をすごく感じるの。
自転車も怖くないし色々な人におすすめしたい。ガイドのケイティーさんにお礼をいってお別れした。
パブは安心空間
帰りは、近くのパブに寄ってみた。お酒が弱いと伝えたら、ジン系のノンアルコールドリンクを勧めてくれたのでそれと、サラダを頼む。
サラダは前菜のつもりだったけれど、大きなプレートで出てきたので、このサラダだけでお腹いっぱいになってしまった。
一人だと、人とシェアして色々試すことができないのが終始残念なところだった。
サラダはいうと、じゃがいも・ツナ・オリーブ・ゆで卵・アスパラ・レタス、ドライトマトが一番上に。オーソドックスだけれどおいしい。特に甘いドライトマトがアクセントになっている。
あとで調べてみらたら、このレシピには「サラダ・ニソワーズ」「ニース風サラダ」という名前がついていた。
パブでは、みんな楽しそうにしているな。
行く前にイギリス人と話したら
「路上にいるよりパブにいたほうが安全だからね。パブではルールを守って楽しむ文化があるし、変なやつがいたらマネージャーが見ているから。メニューでわからないことがあれば、その人に相談しなよ。」と言われていた。
たしかに、その通りだった。
そして、私が思ったのは、パブのレジカウンターに立つ若い店員さんたちはとても印象がよい。
こういうものが飲みたい、とか、会計を急いでいるの、とか要望を伝えれば、嫌な顔せずすぐに答えてくれたし、「ちょっと上司に聞いて参ります」といった対応も全くなくて、とても若かったけれど、機転の効いた接客をしていた。
ということでパブで休憩を済ませたので地下鉄でホテルに戻る。
盛り沢山で終始、刺激的だった1日。
太陽を浴びた体と同じくらい、心もほてっている。
3日目に続く。