増えている行旅死亡人。引き取り手のない「無縁遺骨」はどうなる?
高齢化社会の中で行旅死亡人が増加傾向に。
「行旅死亡人」という言葉をご存じでしょうか。
もともとは旅行中に亡くなり、引き取り手が存在しない死者を指す言葉ですが、旅行中だけでなく、本籍地・住所などが判明せず、かつ遺体の引き取り手が存在しない方、また住居不定の方だけでなく、自宅でご遺体として発見された方も含まれます。
つまり身寄りのない一人暮らしの高齢者も「行旅死亡人」に該当するケースがあり、孤独死が年間3万人をこえる「無縁社会」の今、その数は年々増加傾向にあります。
「私には家族がいるから」という人も、不慮の事故死や認知症の高齢者の行方不明事案なども増えており、だれでも行旅死亡人になる可能性があるのです。
年間当たりの行旅死亡人数
年間当たりの行旅死亡人数の統計は発表されていませんが、ここ数年で『官報』(国の広報誌)に公告された行旅死亡人の数は年間600件から700件で推移しています。
行旅死亡人のご遺骨をどうするのかは法の規定がない
行旅死亡人のご遺骨については、遺骨を行政が一時的に保管し、引き取り手を捜します。それでも見つからない場合は無縁仏として合祀墓などに埋葬されます
しかし、行先死亡人は亡くなった状況などにより「行旅法」「墓埋法」「生活保護法」など法律の規定が異なり、ご遺骨の保管についても一定の規定がないのが現状です。
各市区町村によって遺骨の保管を行うか、行わないかで分かれていますが、
保管している市町村が増加傾向にあり、その保管先としては公営施設、行政施設、宗教施設、民間の4つの大別されます。
主な保管先
◉市町村営の墓地、納骨堂、斎場
◉寺院などの宗教施設に保管依頼
◉執務室内のキャビネットや倉庫
◉遺品整理業者の倉庫や老人ホームの無縁墓
現代を生きる人々が、行旅死亡人にならないために。
高齢化が進む中、孤独死は今後さらに増えることが考えられます。孤独死の原因は、病死が6割ともっとも多く、また自殺者が通常の死に比べて7倍以上多いことが分かりました。
こうした寂しい無縁社会の中で、行旅死亡人にならないためにはどうするべきでしょうか。
やはり普段から周囲とのつながりを大切にしておくことが必要でしょう。
家族や親族がいない方は友人や知人、それが難しい場合はお寺に相談に行くのも一計でしょう。
そのほかにも
「遺書やエンディングノートの活用」という方法があります。
遺書やエンディングノートに自分の財産や親族の連絡先などを記しておくほか、死後どのように弔われたいかなどの意志を残しておきましょう。
他にも「死後事務委任契約制度」を活用する方法もあります。
死後事務委任契約とは自分の死後、様々な事務手続きを第三者に委任できる制度で、家族がいない場合も、知人や弁護士、司法書士などに依頼することもできます。
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