インタビュー調査の方法~「ふくしま探究の種」を例に~
1.インタビュー調査とは
探究活動で自分が立てた問いに対する答えを導いたり、仮説を検証したりするためには、その根拠となる情報を収集する必要があります。情報収集の1つの方法が「インタビュー調査」です。
インタビュー調査とは、専門家や研究者などに直接話を聞き、情報を収集する調査方法です。情報を収集する方法には、文献調査、実験、観察、フィールドワーク、アンケート、インタビューなどほかにもさまざまありますが、インタビュー調査を行うことで、最新の、具体的な情報を得ることができます。
この、「ふくしま探究の種」でも多くの人に「インタビュー」を行っていますが、それも県内で活躍する方々にインタビューを行うことで、その方々の生の言葉を通して、高校生が地域の課題や魅力に気づいてほしいという思いを込めています。
この投稿では、みなさんが読んでいる「ふくしま探究の種」を1つの事例にしながら、「インタビュー調査の方法」をご紹介して行きます。
2.インタビュー調査の流れ
①目的の整理
まず初めに、インタビューのテーマや目的を確認します。「自分は何を知りたいのか、どのような情報を得たいのか」を明確にすることで、誰にインタビュー調査を行うのかが見えてきます。例えば、自治体の地域活性化について調査したい場合は市役所や町役場の方にお話を聞くことになります。
次に、依頼、事前準備、実施、まとめという流れで、インタビュー調査の具体的な進め方について解説をしていきます。
②インタビューの依頼
相手が決まったら、インタビューの依頼を行います。依頼は電話またはメールで行います。あらかじめ自分たちで決めていた「目的」をしっかりと伝えるとともに、どのようなことを聞きたいのか。また、インタビューした内容がどのように利用されるのかは必ず伝えておきましょう。(学校内で利用されるのか、学校外にも公開される予定があるのか)。
インタビューを引き受けていただいた場合は日程調整を行い、日付と場所を決めていきます。依頼の仕方については先生に相談しましょう。
この「ふくしま探究の種」でも、数多くの方々に依頼をしてきましたが、意識していたのは2点あります。1点目はなるべく福島全県の方を取り上げられるようにしたこと。浜通り・中通り・会津各地域で活躍されている方やその地域出身の学生を取り上げてきました。
もう1つは、なるべく多様なテーマを取り上げること。高校生が探究活動でよく調査するテーマをなるべく取り上げるようにインタビュー調査を行いました。「廃校の利活用」、「地域医療」、「防災」などのキーワード解説や、福島の地域のことがわかるデータや参考になるWEBサイトの情報を入れました。
③事前準備
実施前に取材相手についての下調べを行います。調べられる範囲で構いませんので、情報収集することで当日の取材がスムーズに進みます。インターネット等を活用しましょう。
・企業の方であれば、事業内容、事業を始めたきっかけ、実績、仕事に対する思いなどを、
・研究者であれば、研究内容、発表論文や著書(大学ホームページが参考になります)などを、
・行政機関の方であれば、取り組み内容、地域の課題などを、
調べます。次に、調査内容をもとに、聞きたいことを整理して、質問項目を考えます。また、取材をスムーズに進めるために、質問項目を事前に送っておくとよいでしょう。
④当日の準備物の用意
また、当日の準備物についても準備を進めておきましょう。撮影や録音に一人一台端末やスマートフォンを使うことが多いと思いますが、電源が切れた時に備えて予備用の機材やモバイルバッテリーを用意しておくといいでしょう。また、現地までの交通手段なども確認をしておきましょう。
「ふくしま探究の種」のインタビューでも、録音用のスマートフォン、カメラ、ペン、ノートに加え、カメラの予備バッテリーとスマートフォン充電用のモバイルバッテリーを持ち込みインタビューを行っていました。
⑤インタビュー当日の進め方
当日は遅くとも5分前には取材場所に到着するようにしたいです。取材相手とは初対面の場合も多いかと思います。緊張しますが、気持ちの良い挨拶から始めましょう。お忙しい業務の合間を縫って対応してくださる方もいらっしゃいます。終了の時間を確認し、時間を超えることがないよう、取材を進めます。また、下記のような質問をしてみると、相手の話を効果的に引き出すことができます。
録音・録画をする場合でも、メモを残しておきましょう。手を動かすことで記憶が鮮明に残ります。グループで取材する場合は、質問をする人、メモを取る人、録音・撮影する人のように役割分担をしておくとよいでしょう。
⑥インタビューのまとめ方
取材が終わったら、メモやインタビューシート、録音をもとに、メンバーで取材の様子を思い起こしながら、文章にまとめましょう。記憶が新しいうちにまとめておくことが効果的です。
もしインタビューを長い文章にまとめる場合は、まず大まかな文章の構成を考えることがおすすめです。「ふくしま探究の種」の「目次」を参照してください。「ふくしま探究の種」の取材では、おおむね「取り組みのきっかけ」→「具体的などんな取り組み」→「今後どんなことを行いたいか」という過去→現在→未来の順番で記事を作っています。質問項目についてもあらかじめ最後の文章構成を想定しながら決めておきます。
また、取材後には、相手にお礼のメール(あるいはお礼状)を送ります。生徒自身が送る場合、先生が送る場合、先生・生徒の連名で送る場合などがありますので担当の先生に確認しておきましょう。学校の外にも公開する場合は特に、内容に誤りがないかどうか取材先に確認してもらいましょう。
インタビュー調査では、みなさんだからこそインタビュー相手から受け取れる「ことば」に出会うことができます。この「ふくしま探究の種」でのインタビューでもご協力をいただいた方々からたくさんの「ことば」を受け取ってきました。みなさんだからこそ受け取れる「ことば」に出会いに地域に飛び出してみませんか。