はじめてのモヤモヤ|林加津葉|2023-24 essay 06【田中ゼミ】
モヤモヤの幕開け
1月に行われたキックオフキャンプ。私はすごく、モヤモヤしていた。
講義や対話をするうちに、「効率的に回るように管理された思考」から外れることの大切さや、わたしに刷り込まれていたいろいろなバイアスに気付かされた。
今までなら、なにかを進めるときは逆算して、「こうしてこう進めよう」とすぐに答えを出すようにしていたが、ふくしデザインゼミではその進め方は求められていなかった。
その状況に戸惑い、どんなふうに話を広げればいいのかわからず、モヤモヤしていた。
福祉ってなんやろ? 答えを出さないミーティングってなに…?
そんなふうに感じているのはわたしだけではないようだった。ゼミのメンバーも疲れが出ていたり、自分の意見をなかなか発することができていなかったり。
正直いってキックオフの段階では、ほかのゼミと比べても1番、ゼミ生どうしの距離があったと思うし、重い空気が流れていたと思う。
モヤモヤ、モヤモヤ…。
解消されないモヤモヤ
その1週間後。キックオフの余韻を残しながら、再びオンラインで集まり、テーマ「福祉拠点をまちにひらく」について話し合った。
メンバー同士の距離感を掴めないまま、オンラインで話すのはとても難しかった。沈黙の時間も多く、話している人は限られていた。
わたしはどうしても時間を効率的に使いたくて、なるべく質問や会話をつなぐようにしていたが、あまり議論は進まず、その日のゼミは終了した。
もう少しゼミ生同士の距離を縮めるため、アシスタントの瀬川くんと協力して、少人数でざっくばらんに話す「個別で話そう会」することになった。最大4人くらいのグループで、ゼミ参加の経緯とかふだんどんなことをしてるのか共有しあった。でもなんかまだ、お互いに緊張してる感じがあった。
ちょっと動き出した気がする2週間目
「今日何話します?」からスタートした2回目のミーティング。
テーマのことやフィールドワークの予定など決めることはたくさんあるけど、どこから手をつければいいのか、そもそもどんなコミュニケーションをとればいいのかわからず、わたしはやっぱり戸惑っていたままだった。
この日のミーティングでは田中さんのアイデアで、「福祉拠点をまちにひらく」ための「レシピ集」を作ることが決まった。レシピ集という形にすることで「ひらく」を具体的に考えやすくなる。
「さすが、ナイスアイデア!」と思ったと同時に、「そもそもひらく方向でいいの?ひらくってなんだっけ?」またモヤモヤが始まった。
動き出した、田中ゼミ
そんな時、ゼミ生メンバーの1人が、レシピ集づくりを一緒にやろうと、LINEのグループ通話を始めた。この、ちょっとしたきっかけで、ゼミ生同士の距離がぐっと近くなることに。
わたしがやっていた「個別で話そう会」はまだ緊張感があった。今思えばわたしも緊張していたし、どこか「ちゃんとやらなきゃ」みたいに思っていた。でも、今回のグループ通話はいい意味で肩の力が抜けていて、話しやすい雰囲気だった。
それはきっと、発起人の子自身が「ひらいていた」状態だったからだと思う。ポジティブもネガティブも自分の意見も、飾らずにさらけ出す。そんなあり方が、みんながリラックスして話せる雰囲気につながっていたのかな。
このグループ通話のおかげで、今まではモヤモヤを自分ひとりでコネコネしていたけど、今はみんなでコネコネしてるかんじ。ちょっとちぎってみたり、投げてみたり、丸めてみたり。なんか楽しい。
まるで冬眠から覚めたように動き出した田中ゼミは、いよいよフィールドワークを迎える。
何ごとにも前のめりなメンバーから、どんなものが生まれ、どんな化学反応が起こるのか、楽しみだ。
あまり気を張らずに、ただただ漂ってみようと思う。
|このエッセイを書いたのは|
お知らせ ~公開プレゼンを開催します!~
3月3日(日)には、正解のない世界を漂流した2ヶ月のプロセス、そしてアウトプットを共有し、みなさんとともに思考と対話を深める、公開プレゼンテーション〈「ふくしをひらく」をひらく〉を開催します!
エッセイを綴るゼミ生たちがみなさんをお待ちしています。ぜひご参加ください!