2023年12月3日(日)に福祉を膨らませるためのイベント第2弾!「ふくフク映画祭」を開催しました!
文:東大嵩(ひがし・だいしゅう)
2023年12月3日(日)に草加市松原児童青少年交流センターmiraton(ミラトン)にて、「ふくフク映画祭」を開催しました。今回初開催の「ふくフク映画祭」とは、福祉にまつわる映画を見たり、障がいがあってもなくても気軽に楽しんだりできる映画祭です。『37セカンズ』、『コーダあいのうた』に加え、ほか数本の映画や映像作品を上映。また、体験型コンテンツとしてワークショップを行い、大人も子どもも、障がいがあってもなくても、誰でも楽しめる映画祭を目指して開催しました。
今回の会場となったmiraton(ミラトン)は、普段から草加市松原地区の子どもたちにとっての居場所や交流拠点として親しまれています。当日は映画上映エリア、ワークショップエリアともに多くの方に参加していただきました。
座ったり、寝転がったり、自由に楽しむ映画鑑賞
今回の映画祭の目玉である映画上映エリアでは、福祉にまつわる映画や映像作品を上映。ラインナップは『コーダあいのうた』『パンダコパンダ』『こどもの形而上学』『SHUWACHAN BARRIER CRASH』『ざんねんないきもの辞典』『37セカンズ』。この映画祭では、上映中に入退室をしても、声を出したり、走り回ったりしても問題なく、みなさん思い思いに普段の映画館よりも自由に楽しんでいただきました。会場には椅子だけでなくソファーやマットが設置され、そこで座ったり、寝転がったりする子どもたちの姿が印象的でした。
『37セカンズ』主演の佳山明さんによるトークショー
最後に上映した映画『37セカンズ』の上映後には、主人公・ユマを演じた佳山明(かやま・めい)さんによるトークショーも開催しました。俳優を目指すようになったきっかけや撮影の裏話など、映画をよりいっそう楽しめるようなお話を伺うことができました。『37セカンズ』は生まれた時に、たった37秒間息をしていなかったことで身体に障がいを抱えてしまった女性の自立への奮闘を描いた作品です。自身も主人公と同じ障がいを持つ佳山さんは「ユマは自分と重なり、共感する部分がある」と振り返りました。参加者の方から「いま関心のあること」について聞かれると「今後、もっと映画や作品に自然体で出演したいです。それがインクルーシブ(誰も排除しない社会)に繋がっていくと思うので。そして車椅子や外国籍の方、聴覚障がいの方など、いろんな方が作品に出演することで観た人にエネルギーを与えていきたいです。まだまだいろんな制約があるため、気負うことは難しいが切り開いていきたいです」と答え、今後の俳優活動への想いをお伺いすることができました。
また、その場にいる人たちで映画についての感想を語り合いました。「主人公の葛藤は自分の経験とも重なり、1人の女性として共感できます」などと、お互いの感想や経験を映画を通して共有できたことが印象的でした。
自由に楽しくモノづくり
ワークショップエリアでは廃材や木くず、革などを活用する体験型コンテンツとして、3つのワークショップを開催しました。それぞれ「木のおもちゃづくりワークショップ」、「クリスマスオーナメントづくりワークショップ」、「ロゴづくりワークショップ」。参加者には各ワークショップに1回ずつ参加していただき、自由に楽しくモノづくりを体験していただきました。
「木のおもちゃづくりのワークショップ」は、廃材や木くずを好きなように積んだり、くっつけたりして、自由に好きな形をつくるワークショップ。お家や車、お正月の門松など、みんなそれぞれ好きなイメージで自由に工作をしていました。
「クリスマスオーナメントづくりワークショップ」は、靴下や星型にカットされた革でクリスマスツリーの飾りをつくるワークショップ。自分の好きな色で模様をつけたり、絵を描いたり。文字を書いて絵馬のようなものをつくる子どももいて、さまざまな発想が生まれ、その面白さを楽しんでいました。
そして、「ロゴづくりワークショップ」は、ふくフク研究所が進める「福祉プラスのまちづくり」のロゴをつくるワークショップ。就労継続支援B型と生活介護の多機能事業所「cafe&farm Lento」および「あある」の利用者さんたちにカッティングしていただいたクリアファイルや布を組み合わせて、文字をつくっていきました。様々な形や大きさのパーツを組み合わせるのはパズルみたいに難しそうでしたが、みなさん感じるままそれぞれの「福祉+(プラス)」を作成。また、車やまち、雪だるまなど、ユニークな発想を活かして好きなかたちをつくるお子さんもいました。
3つのワークショップに共通して大人も子どもも、障がいのある人も障がいのない人も、みんなで一緒に助け合って作業をしている姿が印象的でした!
偶然生まれた温かくゆるやかなつながり
映画上映エリアの外やワークショップエリアでは、運営スタッフの長野僚(ながの・りょう)さんが電動車椅子の後ろに子どもたちや大人を乗せて走る場面も。子どもたちは「乗っていいの〜?」と、不思議がりながらも楽しそうに「車椅子タクシー」に乗車していました。そこには計画や予期していないなかに、人と人が温かくゆるやかにつながる場が生まれていたように感じます。
ふくフク映画祭は、単に子どもや障がいのある人のための「福祉イベント」ではなく、福祉というイメージを広げ、膨らませ、福祉サービスと日常生活という壁が溶けて、お互いがゆるやかに混ざっていき、みんなの暮らしをつくっていくための存在になっていたと感じました。これからも、ふくらむフクシ研究所(ふくフク研)はトークショーや勉強会、ワークショップや地域での実験をしながら、「福」祉の世界に新しい価値を膨らませ、また「含」ませていくための研究・活動を行っていきます!ぜひご参加ください。
今後の予定
ワークショップやその他イベントの詳細については「ふくらむフクシ研究所」のFacebookをご覧ください。
▼「福祉プラスのまちづくり」コンセプトブック制作ワークショップ
第4回:1/21(日) 10:00-12:00
第5回:2/22(木) 19:00-21:00
第6回:3/27(水) 19:00-21:00
会場:草加市高砂コミュニティセンター
https://www.facebook.com/fukuramufukushikenkyuzyo
▼ふくフク商店街
フクシをテーマに、いつもとはちょっぴり違う商店街を味わえる企画です。声を出せないお店や指示通りに「なりきる」お店があったり、障がいのある方が職業体験しているお店があったり。一見いつもと変わらないけど、なんだかフクシに溢れた景色が広がります。
◉日時:2024年2月24日(土)11:00-15:00
◉場所:草加駅東口周辺エリア(旧道沿道エリア)
▼ふくフクフェス
◉日時:2024年3月20日(水・祝)11:00-16:00
◉場所:松原団地記念公園(草加市松原3丁目1-1638-6)
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