和田浦に行ってきた
2020年7月25日の朝五時半、僕は房総半島の南端にある、千葉県南房総市和田町という場所にいた。ここは、今でも鯨を捕獲している場所で、トップの写真のような設備で解体作業を行うために、その過程を見物することができる数少ない場所。先日手に入れた写真集を見ていて、以前から「一度はこの眼で見なければ」と思っていた気持ちに火がついて、新型コロナ禍でホームにステイな雰囲気(Go Toなんちゃらな話もありますけど、再びマクドナルドで飲食できない様になってしまったので、やはり全体的にはStayHomeなんでしょう)な中で、夕方に愛知県の一宮(まあ西の端ですよ)を出発して、20年ぶりにアクアラインを通過して、夜中に現地につきました。
着いたときは夜中ですが当然あたりは真っ暗で、しかも土砂降り。
道の駅WAOの近所のコンビニに無理を言って朝まで車を止めさせてもらったのですが、仮眠を取ろうにもポンコツな車のエンジン音や(エアコンなしではムシムシして辛抱できず)雨の音がうるさくて仮眠が取れず、結局朝まで起きていて、解体が始まる頃にはかなりボロボロな体調で…。
でも、白々と夜が明けていく頃になって、あたりの景色が見えていく頃には色々とスイッチが入って、その光景を見逃すまいと、写真を取りつつ、解体の見物をさせていただきました。
新型コロナ禍の影響で、見物はやや離れた場所からとなってしまいましたが、それでも鯨の大きさを実感できることができました。自分のブログにも書いたし写真を掲載したのですが、人と比較するとはるかに大きな生き物が鯨なのです。最初に浜辺に流れ着いたこの生き物を糧としようとした人を思わず尊敬してしまいます。ただ、以前はもっと大きな鯨を捕獲して解体していて、「クジラ解体」という写真集ではマッコウクジラの解体の写真があり、その大きさが捌くだけでも命に関わりそうなサイズ感なのです。薙刀のような「大包丁」で、繊細な作業をしなくてはならない作業員たちが、ちょっと手元が狂えば大怪我をしてしまうだろうし、転倒してしまえば何百キロとある肉の塊が上からかもしれない。
そんな命がけの作業を経て、巨大な生き物が細かく切り分けられて、やがて食べ物になっていく光景は、関係者でもなければほとんど見ることができないものですし、場合によっては環境保護団体の抗議活動などを警戒して、見られることを拒む傾向がある中で、この場所だけはそれを拒むことなく日常的に見物することができる貴重な場所でもあります。僕も以前は「少しは警戒するべきなのではないか」と余計なお世話な意見を自分のブログにも書いていたのですが…、
そもそも和田浦での鯨の解体作業は見世物(ショー)ではないし、施設自体も見学者の存在を前提としていません。でも昔から解体作業を見物する人々はいたし、当社としては見物して貰っても構わない。まあ(死体ではあるが)鯨という巨大な生き物の現物を見たいとする感覚は、極めて自然な人間の欲求であろう。そう考えています。
外房捕鯨のブログにもこのようなことが書かれており、確かに実際にその姿を、その光景を見物できてよかったなと思いました。このあたりの考え方は、やはり余所者と地元の人では違うものなのだと、改めて実感しました。
本当は、解体の写真を結構な枚数撮ったので、掲載したいところなのですが、多くの人に是非見ていただきたいと思うので、掲載は控えようと思います。実際に気になった方には、限られた時期のことで予定が入れづらく、なおかつ早朝から始まるので、実際に見物するにはハードルは高そうですが、写真や動画でみるよりも、実際に足を運んでその光景を体験してほしいと思います。
結局、体調が色々限界で、解体の見物のあとですぐに帰途につくことになり、いろいろとやり残したこともあって、後悔も多々ありますが、次に来るためにやり残しておいたと、無理やり自分を納得させているところです。