processing~記憶の部屋~#5「M」
槙野はただうずくまり頭を抱え込んだ。
その時の槙野の頭の中で何かが浮かび上がった。
・・・・・・・・・・・・・・・
槙野は走馬灯を見た
白い壁の部屋、白いカーテン、顕微鏡などが入った棚、たくさんの参考書などが入った本棚、中央には4人分のデスクの島がある。
「ここは研究施設か?・・・・」
槙野はあたりを見渡す。
そこに二人の男性が部屋に入ってきた。
槙野は逃げようとしたが動くことができない。
しかし、男性二人は槙野には気が付かない。
最初に入ってきた男性は黄色のストラップをつけている。
二人目は黒いストラップをつけている男性。
黒いストラップをつけている男性がしゃべり始めた。
『真鍋さん・・・この研究はいったいどういうことですか?』
「真鍋?・・・この人が真鍋部長・・・。」
『どうもこうもわかるだろ。近年起きているアルツハイマーの症状を起こしているウイルスの研究ではないか。何を言ってるんだ?』
「ウイルスの研究?・・・」
『違う!・・・この研究はそんな研究じゃない!・・・この研究は・・・Mは・・・・』
槙野の意識がもうろうとし始めた。
「う・・」
・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・ま・・・まか・・・・槙野先輩!・・・」
槙野は目を覚ました。
ソファーに横になっており、浅倉、桃山、奥田がのぞいていた。
「お、俺・・・夢を見ていたのか・・・。」
「槙野くん大丈夫?」
「あー・・大丈夫。」
「槙野先輩こんな時に悪いんですが。Mからお題が・・・」
槙野はモニターを見た。
そこには”データM”の文字が記載されていた。
「データMって・・・」
「槙野先輩なにか思い出したんですか?」
奥田は槙野に問いかける。
槙野は少し悩みながら
「・・・今、夢を見てたんだ・・・そこには真鍋という人ともう一人、男の人がいて。何か話してた。その内容に”M”という単語が出てきた。でも夢の話だから確証はないけど。」
「槙野先輩それだけですか?内容は。」
「覚えてるのはその真鍋という男は黄色のストラップをつけていて、もう一人は黒いストラップをつけている男の人だった。その時アルツハイマーがどうとか言っていた。それ以外はわからない・・・」
「真壁部長が、黄色のストラップ。」
「奥田、黄色のストラップってどこになるんだ?」
「僕の記憶ですが、黄色のストラップは”室長”です・・・籠山メディカル理化学研究所の全研究施設の長になります・・・。」
「室長・・・」
その時槙野の記憶がまたよぎった。
『この研究は・・・Mは・・・』
『国の・・・膨大な・・・予算・・・』
『ウイルス・・・巻き込んだのか!?・・・』
真鍋との会話、その会話する男の人・・・
『たっくん・・・絶対研究成功させてね・・・』
『・・・任せてくれ・・・もしこの研究が終わったら・・・』
『たっくん・・・これ・・・・わ・・・?』
『・・・真紀・・終わったら・・・んしてくれ・・・』
聞いたことのある声の女性と男の人の会話・・・
『槙野先輩!・・・・撮り・・・すよ!・・・』
『槙野先輩の隣がいい!・・・・』
『槙野くん・・・これからも・・しくね・・・』
『新しいチームの・・・き・・・つえいだ・・・』
浅倉、桃山、奥田・・・
『撮るよ!・・・たっくん・・つめ・・・はい!チー』
聞いたことのある声の女性が写真を撮る。
そしてまた真鍋と男の人との会話
『お前たちは本当のことを知った!』
『真鍋さん!そんなことしてはいけない!』
『もうわかってるよな!?どうなるか!?このことが世の中に知られればこの研究所は終わりだ!そうなる前に槙野!お前には最後に協力してもらう!』
『ふざけるな!こんなことして・・・』
槙野の記憶は走馬灯のように戻ってきた。
「まさか・・・。」
「みんな聞いてくれ!俺・・・・・」
槙野はあたりを見渡した。
すると
浅倉、桃山、奥田は3人は倒れていた。
#5 「M」 完
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槙野の記憶、走馬灯が起こした意味
そして倒れた三人の運命は・・・
次回 #6 「失われた未来」
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↓#6「失われた未来」へ
https://note.com/fukuonpro/n/n798e76e84e07
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