見出し画像

processing~記憶の部屋~#8「メッセージ」(完結)

そして月日は3年がたった。。。

2023年・・・・・・ニュース

『・・・2021年における”感染型記憶消失ウイルス・M”の流行から2年たちました。・・・』


『・・・"M"の感染者は100万人、死者30万人と2021年は大変な年でした。・・・』


『2021年感染爆発が起こった日本は、籠山メディカル理化学研究所にワクチンの研究依頼をしました。そして2020年に厚生労働省に認可が下りたことにより、今回早期の対応ができたのでないかと思います。・・・』



・・・・・・・・・・・・・・

雲一つない天気、東京都心部


白衣を着た女性が外のベンチで携帯を扱う。

その女性に近づく男性。


女性はその男性に気づく。


「お久しぶりです。・・・俊さん。」

真紀は笑顔で俊を迎えた。

「真紀さん元気そうだね。はい、コーヒー」

「ありがとうございます。相変わらずですけどね。」


俊は真紀に二つ持っていたコーヒーの一つを渡した。


「はは、でもすごいじゃん。君が日本を救ったって感じだね。よくワクチンできたね~。さすが拓が認めた女性だ。」


「・・・私は何もしてないですよ。・・・」


「いやいや最終的には君が最後完成させたんだろ?」


「・・・いえ、あのワクチンは完成してました。」


真紀は少し下をうつむき話を続ける。


「たっくんはわかってたんです。自分が実験材料にされるんじゃないかって。それで完成したワクチンデータと一緒に私宛のメッセージが入ってたんです。メッセージの内容は私が俊さんからUSBをいただいた後の流れが書き込んでました。今回のウイルスは真鍋がつかまっても必ず世の中に出てくるって、そしたら籠山と提携している病院に患者が入る、そして研究所に摂取したウイルスが運ばれるからそこで研究中のワクチンを使用し、国に提出して認可をもらう手順とかも。」


真紀は空を眺めて少し黄昏た。


「この国の医療は遅すぎるくらい認可が通るのが難しいんです。成分の構成、動物実験、地検と1年はかかりました。もし他の国のようにすぐに認可が下りたら、30万人の死者を出さずにすんだかもしれません。救える命も救えない・・・それが日本なんです。」


「真紀さん・・・・」


「でも・・・たっくんや浅倉さん、桃ちゃんに奥田君がいなかったらできなかったワクチンだもの。もうこんな人工的なウイルスが作られても対応できるように私たちが頑張らないと。・・・」


「今後の日本の未来を守ったわけだしな。」

俊は笑顔で答えた。


「それはそうと・・・そろそろ俊さん教えてくれてもいいんじゃないですか?3年前監禁計画のこと。」

真紀は俊の顔を見て問いかけた。


「あ~そうだな。・・・・」

俊は深呼吸して話し始めた。


「拓から急に電話が入ったんだ、『直接会って相談したいことがある』って。会ったその日、真紀さんに渡したUSBを預かった。そしてウイルスと滝川、真鍋のたくらみの話と真鍋の確保と3年前した監禁の計画と立てた。・・・

俺は拓に2つの睡眠薬入りのGPSを二つ用意した。一つは真鍋に使用し、もう一つは拓が肌身離さず持つように指示した。この二つが離れたとき、真鍋を捕まえる合図とし24時間はっていたんだよ。」


「だから逮捕ができたのね。。。」

真紀はゆっくりコーヒーを飲む。


「そう、薬物取り扱い違反として現行犯逮捕するほうが手っ取り早いというわけだ。その後3人を研究所内の特別殺菌施設に入れ込んだ。それは拓の指示だったんだけど、まさかあんな部屋だとは思わなかったよ。そのあと真紀さんに連絡して来てもらったんだよね~いやーほんとちょうど帰国の日で助かったよ~。」


「そうねですね・・・私がアメリカに行ってる間にそんな話になってたんですね。。」


「・・・ただ、ウイルスを外に出てしまったのは事実。それまでに捕まえることができなかった。滝川さえ捕まえればと思うが、証拠もないし、引き続き手掛かりを追うよ。」


「そうなんですね・・・・俊さんって警察の人?」


「あれ?拓から聞いてないの?まー警察っていえば警察かな~家族には警察庁の内勤って言ってるけど~」


「ふ~ん。内勤の人がGPSだったり捜査権限なんてないですよね?もっとばれたちゃいけないとこね~例えば”公安”とか?」


「ま、それは想像に任せるよ~。」


「ふ~ん。私はもう同じようなことが起きないように願うし、そうなってもいいよにこれからも研究を続けるから。早いとこそっちも解決してくださいね~。」

真紀は立ち上がり俊を見て話した。


「あぁ。あの四人の命を無駄にせず。天国で見守ってもらおう。」


「そうですね。コーヒーごちそうさまでした!」

そう言うと真紀は笑顔で歩いて行った。


「拓・・・お前の彼女さんはほんとに立派だな。こうなることも想定してたんだろう。お前の頭の良さには頭上がらんわ・・・俺もがんばるかね。」


そういって残ったコーヒーをいっきに飲みほした。



もう二度と見えない敵からのテロを起こさせないために

多くの人が毎日戦っているとを忘れないために。



#8 「メッセージ」 

processing~記憶の部屋~ 完

======================

読者の皆様ありがとうございました。

processing~記憶の部屋~は完結といたします。

======================


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?