processing~記憶の部屋~#4「照合」
桃山は奥田に目が覚めてからの話、キーワード、失われた未来の話をした。
奥田は目を見開き今の現状と、自分の頭の中でさらに考えるように頭を抱えた。
「な、なんてことだ。皆さん僕の今から話すこと覚えてること全部話します。ただ混乱しないでください。僕もなぜそのような状態なのか、わかっておりません。もしかすると僕の話すことが、このモニターに映ってる写真の答えになるかもしれないので。」
奥田はモニターの前に立ち、皆の方向を見て話し始めた。
「これは僕の見解も踏まえてです。率直に話すと、皆さんは何らかの衝撃、または何らかの原因で”記憶喪失”になってると思います。」
「”記憶喪失”?」
槙野は首を傾げる。
「はい、まず確認なのですが、皆さんの生年月日を教えてください。槙野さんから順に。」
「俺は、1990年の1月10日だ。」
槙野の答えに浅倉と桃山が驚き浅倉が答え始める。
「わ、私は1993年の8月17日・・・」
「私は1996年の4月2日・・・」
桃山も話す。
その時槙野はみんなの年に差があることに気づく
「ちょ、ちょっ待てよ。俺たち大学4年だよな?俺は一浪もしてないぞ!」
「どういうこと?桃山さんと私が3つも離れてるなんて。」
場が混乱状態になってきているところ奥田が話を始める。
「はい!では続けます。まず私の知っている皆さんの生年月日はあってます。そして皆さんの今の記憶は大学4年生、僕は籠山メディカル理化学研究所に就職して約半年くらいまで覚えてます。」
奥田の話に皆、耳を傾かるように静かになった。
「そしてこの写真は2019年以降のものだと思います。」
「2019年!?」
三人は声をそろえた。
「はい、ただあくまで推測です。僕と桃山の入社が2019年で、そのすぐの配属チームがこのメンバーとあと真鍋部長と神島真紀さんの6名のチームです。僕も皆さんと同じでこの写真に身に覚えがないのです。ということは僕も記憶が何らかで無くなっていると考えると、この4人で撮った写真は新しくできた4名のチームじゃないかなと思います。」
槙野はモニターの写真を眺めながらつぶやく。
「じゃ・・・この写真が示してるのがもし、記憶を失う前の俺たちの最新の写真だとしたら、それが”失われた未来”っていうことか。」
「多分、そしてもっと怖い見解になりますが、この状況を作り出した首謀者はこの状況になることを想定した・・・いや計画していたのかも。」
浅倉が話だす。
「まって、ということは記憶を操作できるってこと?」
「可能性はゼロではないと思いますが、実際にそのような研究は僕たちはしていない。もし知っているとしたら・・・」
奥田は槙野に目をやった。
「え、どういうこと?槙野くんが?」
「槙野さん!槙野さんなんですか!?」
桃山と浅倉が問いかける。
「ま、まて奥田!俺は本当に何もわからない、なぜ俺なんだよ!」
槙野は立ち上がり奥田に声を上げた。
奥田は槙野の目を見て話を進めた。
「今は本当に記憶がないのでわからないと思いますが、あなたは当時研究所では部長の右腕でした。そしてこの写真のあなたのネーム札のストラップ・・・こちらは色によって役職と部署がわかるようにしている。槙野先輩の色は黒、僕らは緑。この色は”細菌感染研究本部”部長職を表します。」
「俺が部長?・・・」
「はい、槙野先輩は尊敬する優秀な先輩です。のちに真鍋部長の後継ぎといわれておりました。ただ、私たちはのチームは”生物化学DNA研究部”でした。それが”細菌感染研究本部”に代わってる。そしてこの施設はウイルスの研究をする施設です。もしその施設で何らかの新しいウイルスが意図的に作られていたとしたら・・・。」
その時スピーカーからMの声が出てきた。
『みなさん良く写真の真相にたどり着きましたね。その写真は2020年のものです。それでは次のお題を出します。』
Mは進めようとしたとき
「あ、あ、あ・・・あーーーー!」
槙野が頭を抱え込み倒れた。
「ま、槙野先輩!」
「え、え!?浅倉ちゃんと同じ!?」
「いや、違う。浅倉先輩はもともと持病の頭痛の持ち主だ。槙野先輩は違う。」
槙野はただうずくまり頭を抱え込んだ。
その時の槙野の頭の中で何かが浮かび上がった。
#4 「照合」 完
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記憶を失っていると話す奥田、
倒れる槙野、Mの次のお題
次回 #5 「M」
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↓#5「M」へ
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