processing~記憶の部屋~#2「キーワード」
天井につるされたスピーカーが鳴り出した。
スピーカーから女性が話しかけてきた。
『槙野、浅倉、桃山、目が覚めましたね。ようこそ”記憶の部屋”へ。』
槙野が先に口を開けた。
「だ、だれだ!なんで俺らをここに閉じ込めた!?」
「お願い!出して!ここから出して!」
桃山が声をあげた。
『あなたたちにはいくつかの問題を解いてもらいます。その問題を解くことによってあなたたちをここから出してあげます。』
「なんだよそれ!質問に答えろ!!」
槙野は叫ぶ。
『・・・・・・・私の名前は・・・・・』
『・・・・・M・・・・・これからあなた達がここにいること、これから何が起こるかは問題を解けばわかるわ・・・・・これからあなたたちに訪れる未来も・・・・・』
ここでMからの発信は途絶えた。
「どういうこと!?なに!?一体これから何が起きるの!?」
浅倉はくずれ落ちるように叫んだ。
浅倉、桃山は状況にパニック状態となりしばらく泣き崩れる。
その時部屋にあるモニターから映像が映る。
”この部屋にある「キーワード」を探せ”
「キーワード・・・なんのこと?この部屋に何かあるの?」
浅倉はしゃべりながらあたりを見渡した。
「キーワード・・・とりあえず探そう。ここを出るために。」
三人はあたりを探し始めた。
「ねぇ!!これってキーワード!?」
浅倉がソファーの下に出てきた紙を見つけた。
三人でそれを見る。
”失われた未来を取り戻せ”
「どういうこと?・・・失われた未来って・・・」
浅倉は険しい顔でつぶやく。
「俺たち未来を失ったってことかな?でもどういうことだ。」
槙野は考え込む。
「将来のことなんて考えたことないよ!!!就職も決まったばっかだし!!!それだけで精一杯!!!」
桃山は困った感じで話す。
「私も・・・そんな先のことなんて考えてない・・・何か失ったとかも感じない・・・」
浅倉も困った感じで話す。
「そもそもこの状況が俺たちの未来を奪ってるよ・・・何が言いたいんだよ・・・いったい何が目的なんだよ!!!」
槙野はカメラをにらみつけるように叫んだ。
・・・・・・・・・・
しばらくたったが、Mからの連絡が来ることもない。
「ねぇ・・・みんな就職どこの内定受かったの?」
浅倉が問いかける。
「なんだよこんな時に・・・」
槙野が睨みつけるように口を開いた。
「ご、ごめん・・・よくわからないけど・・・少しでも何か手がかりがないか考えてて・・・とりあえず何か話してでもしないと気が狂いそうで・・・」
「うん・・・私もおしゃべりしたい・・・このまま静かなままだとどうかしちゃうよ!!!」
体操座りで顔を埋めなていた桃山が口を開いた。
「まぁ・・・そうだよな・・・ごめん・・・。」
「ううん大丈夫。私がちゃんと説明してなかったから。私こそごめんなさい。」
「・・・俺は、籠山メディカル理化学研究所だ。」
「 え?私も籠山メディカル理化学研究所だよ。」
浅倉は目を開き驚いた。
「籠山メディカル理化学研究所!?私もだよ!みんなそうなの!?」
桃山は立ち上がった。
「・・・みんな籠山メディカル理化学研究所の内定なんだ。やっと共通点があったな。」
「籠山メディカル理化学研究所が関連してるってことかな?」
「浅倉ちゃんすごいね!まさか一発で共通点見つけたね!私たち同期になるんだね!すごい!」
「桃山。そんな嬉しいそうに言うな。」
「別にいいじゃん!もしここ抜けたら私たち働くんだよ!入社前にもうお友達ってことじゃん!」
「う、うん。そうだね。」
その瞬間まだ目を冷ましていなかった男性が目を開けた。
「う・・・う・・・・こ、ここは・・・。」
#2「キーワード」 完
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三人の共通点は籠山メディカル理化学研究所
そしてもう一人の男性が目を冷ました。
果たしてこの男性もまた同じ共通点はあるのか?
次回 #3 「四人」
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↓#3「四人」へ
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