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士業サミット延長戦「会計事務所が顧問先のCFOになるには?」

こんにちは、マネーフォワードの福岡です。7月に開催した「士業サミット2020」のnoteはお読みいただけたでしょうか?

今回のnoteでは、3部「不透明な時代に顧問先を導くCFOとしての役割とは」にご登壇いただいた税理士法人アーリークロス・花城さんに追加取材をしました!士業サミット当日に回答しきれなかった質問についてお伺いしてきたので、ぜひお読みください。

花城 正也氏(税理士法人アーリークロスCBO兼CPO)
2017年にアーリークロス会計事務所を創業し、クラウド会計を武器に創業4ヶ月で150件の関与先を獲得。2018年に経営統合を経て税理士法人アーリークロスを設立し、クラウド会計導入実績は九州NO.1を誇る。現在は、会計事務所向けのクラウド会計導入支援や「Manageboard」を活用した財務支援に注力している。
こちらのページからお申込みいただくと「士業サミット2020」のアーカイブ動画をプレゼントさせていただきます。

会計事務所が「外部CFO」になるために必要なスキル

――早速、3部のテーマでもあった「会計事務所が顧問先にとって“外部CFO”のような役割を担うには」についてですが、花城さんはどのようなスキルが必要になるとお考えですか?

財務の知識が必要なのはもちろんですが、コーチングのスキルが重要だと思いますね。価値提供をする前提として、顧問先がどこに向かっていきたいのかという方向性を理解する必要があり、それを引き出すにはコーチングの技術が必要になります。

その上でどんな財務戦略を取るべきなのか検討し、経営管理システム「Manageboard」を活用しながら事業計画のたたき台を作成して、具体的な提案をするようにしています。

――花城さんはどこでコーチングを学ばれたんですか?

26歳の時にコーチングのセミナーで学びました。当時は仕事をする中でどうしたら顧問先の方のやる気を引き出せるのか日々考えていました。そんな時に、関わっていたお客様がコーチングのコンサルティングをされており、セミナーを受講したのがきっかけです。

その時期は税理士資格の勉強に集中するべきとも考えていたのですが、今、目の前のお客様を幸せにするならコーチングが必要だと思いました。現在では、そのスキルを活かしながら、お客様のビジネスがどうしたら成長するのかを常に考えています。

また、コーチングスキルに加えて、MAS監査のスキルも必要だと思います。MAS監査というと高単価で失敗が許されない、難しいというイメージがあり、不安に思われる方も多いため、社内的には見せ方をシンプルにする工夫が必要です。

将来のキャッシュフローを予測して、「いつまでに何をどうするか」という目標を設定して、進捗を確認するプロセスを毎月回すことができれば十分だと思いますよ。

――「外部CFO」の役割を担う際に、難しいと感じられる点はありますか?

難しい点はサービスの設計の仕方です。本当のCFOのように資金調達、資金管理、経理構築など、本来CFOが担う役割のすべてを担うのは非常に難易度が高いですね。

提供するサービスの範囲を限定し、あらかじめ顧問先と合意しておかなければ、トラブルになる可能性があるので注意が必要ですね。

税務顧問、財務顧問、経理構築の3段階でサービスを設計しており、顧問先が望んでいるのであれば、適正な対価をいただいた上で提供するのがいいと思います。

顧問先に提案するアクションプランの具体例

――例えば顧問先が飲食店ならどのようなアクションプランを提案されていますか?

飲食店であれば、まずは現状の客単価、原価率、在庫管理などをきちんと実施することが最初のステップになります。

これらがきちんとできていれば、売上を客単価×客数×リピート率に要素分解して何にフォーカスするのかを決定し、目標と対策を考えてもらうようにしています。

具体的な事例では、原価のコントロールはできていたものの、人件費率が高いお客様がいました。詳細に分析すると、社会保険料の配賦ができていなかったり、月次の損益において賞与を考慮できていなかったことなどが原因だとわかったんです。なので、日次の管理表に社会保険料の月次配賦や賞与の毎月の積立を実施しました。

――アクションプランはネタ切れになりませんか・・・?

ネタ切れになるということは、目標を達成したということです。その場合は、多店舗展開や新商品の開発など次の展開を一緒に考えます

この段階においても、教えるというスタンスではなく、考える材料となるような情報(本やテレビなどで知った他業種の事例など)を提供したり、質問を投げかけます。考えたり、実行したりするのはあくまで経営者という立ち位置でPDCAを回していきますね。

このような時にもコーチングは役に立ちます。大事なのは種をまいてすぐ花が開くことを期待せず、長い目で見ることだと思います。

コロナ禍で先の見通しが立たない経営者へのアプローチ

――コロナにより打撃を受け、先の見通しが経たない企業や経営者に対してはどのような提案をされていますか?

まずは調達が最優先ですが、キャッシュリッチになるこの機会を逆にチャンスと捉えてもらい、ビジネスモデルの再構築など、見通しが立つような仕組みを作ることを提案しています。例えば、今の商品をフックに他の商品を提供できないか、などです。

個人で美容商材の卸売を営まれている方の具体的な事例があります。商品を仕入れて販売する卸売では利益率が非常に低くなりますが、支払い額が大きいために顧客は「こんなに払っているのに」という気持ちで要求がエスカレートしていくという構造になっていました。

そこで、コンサルタントとしてフィーをもらいながら、卸売業者が顧客経営者と一緒に原価で仕入を行う構造にしたのです。すると、顧客にとって、コンサルフィーを払ってはいても、安く仕入れているという感覚になり、両者のコミュニケーションも改善したという事例があります。

――会計事務所と顧問先のコミュニケーションにおいても難しい局面がありそうですね。

会計事務所と経営者は対立構造になりがちで、足元の数字ばかりに囚われると関係が悪化しがちです。

そこで、時には視座を上げるようなコミュニケーションを取るようにしています。このような情報提供をすることを想像しながら、顧客に何か活かせることがないかという視点で、日々インプットをすることが重要だと思います。

対立構造に陥らないためには、横に座って、未来を一緒に見ている感覚が必要です。

企業に財務コンサルを提案する方法

――税務顧問の契約をしている企業に、財務コンサルサービスを提案することもあると思います。その際の流れを教えていただきたいです。

前提として、当社は財務コンサルのツールとして「Manageboard」を活用しています。まずはManageboardの一般企業向けの料金(29,800円/月)を伝えた上で、当社財務コンサルの価格をManageboard利用料込みの料金として提示しています。

最初のうちは半年間無料で提供したり、成果が出なかったら返金といった形で実施するのもいいと思います。その期間の中で自信をもってサービスを提供できるようにすることが重要ですね。

契約の際には、何を達成したら成功になるのか事前に定義しておくことも重要です。

提案のタイミングはさまざまです。顧問契約を結ぶ際にセットで提案することもありますし、税務顧問先に提案をする場合もあります。

また、利益が出ている会社よりも赤字の会社の方が、課題や目標が明確なため成約率も高くなる傾向があります。同じ理由でビジョンがはっきりしている会社も契約に至りやすいです。

料金については顧問先の規模によって変えています。

マネーフォワード クラウドへの移行の提案方法

――顧問先のほとんどがマネーフォワード クラウドを導入されているとのことですが、どのような流れで移行を提案されたんですが?

契約の段階でマネーフォワード クラウドに切り替えることを前提にお話ししています。すでに自計化されているお客様については提案はしますが、特殊法人などでは切り替えずに契約するケースもあります。

そのような場合でも、クラウド会計のよさについては面談や世間話のタイミングで切り口やシチュエーションを変えながら、再三説明するようにしています。

それによって、お客様がクラウド会計の情報に対してアンテナを張るようになり、数年後に移行したケースもあります。押し売りはしませんが、未来を見据えた強い提案をすることが重要だと思います。

おわりに

事例も交えた非常に濃い内容をお話しいただきました。スキルや知識はもちろんですが、それ以上に顧問先のことを常に考え、行動されている姿勢が非常に印象的でした。

明日から皆さまにお試しいただけるような具体的な取り組みも多くご紹介できたと思いますので、ぜひ今日から普段の業務に活かしていただけますと幸いです。

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花城さんのTwitter:@Shinba038


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