フロレアナ島③|ガラパゴス旅日記
水源地
にわかに湿度が高くなってきた。ガラパゴスでは12月から5月は雨季となる。生命にとって貴重な雨が降る。とはいえ、全体としてはそれほど降水量は多くない。この季節も寒くはない。しかし、赤道直下なのに決して暑すぎるということもない。それはガラパゴス諸島の近傍に太平洋から寒流(クロムウェル海流)がやってくるからだ。この寒流のおかげでガラパゴス諸島の気温は年間を通じて快適だ。雨が上がったあと、少し休憩をした。空気の清々しさと風の気配は、日本の高原で夏の終わりを過ごしているような、そんな気分にさせた。まだ3月だというのに。
私たちは山道を進んでいった。水が流れる音が聞こえる。水源地が近いのだ。そこは山の岩肌が露出したところにできた割れ目、ちょうど〝岩屋〟のような場所だった。山に降った雨が伏流水となり、地下で濾過されたあと、ここから溢れ出てくる。火山の風化が進み、土壌ができ、緑化が進み、地下に保水力が生まれないと伏流水を保持できない。火山島のガラパゴス諸島で、このような真水が得られるのは、古い時代にできた島だけである。それがこのフロレアナ島なのだ。
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【写真撮影】阿部雄介
*地図はジオカタログ社製世界地図データRaumkarte(ラウムカルテ)を使用して編集・調製しました。
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ガラパゴス諸島を探検したダーウィンの航路を忠実にたどる旅をしたい、という私の生涯の夢がついに実現しました。実際に行ってみると、ガラパゴスは…
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