晴明マスク(解説・短編小説)
『とうとう晴明もとち狂ったな!』
ここは流行り病が流行している都の一角。
晴明が全ての都の民に配ったマスクを顔に嵌めながら、升の国松がせせら笑っていた。
『こんなちゃちいマスクに(400金)も使ったそうだ。』
話し相手の仲の国松は頷きながらも青い顔をしていた。
仲の国松は都の市に出回るマスクを買い占め、製造元も押さえてボロ儲けをしていたからだ。
晴明マスクが出回ると安物マスクが高値で売れなくなるだけでなく、不良在庫も抱える心配もあった。
仲の国松は話もそぞろに手下の環の国松へ連絡してマスクを市に放出させだした。
また晴明マスクが出回る事で民用マスクから医者用マスクに作り替え、医者用のマスクも沢山作れる様になってきていた。
仲の国松はギリギリと顔を赤くして怒りが収まらない。
『糞ぅ〜晴明マスクのせいで(650金)を儲けそこねた。』
『この恨み、、晴明め、、いつか足元をすくってやる。』
そんなこととはつゆ知らず?升の国松が《小さい》《ちゃちい》と晴明マスクを馬鹿にしながら今日も都の大通りを叫び歩いていた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?