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お世辞もいいけどお金〜もね!(笑・短編小説)

『いや〜部長ぉ〜今日もカッコいいですね〜』

いつも仕事を出してくれる某大企業の購買部長さんが打ち合わせスペースに顔を出してくれた。

僕はここぞとばかりお世辞におべんちゃらに滑らかに口を動かす。

部長は笑いながらも僕の相手をしてくれていたが、だんだん表情が険しくなってきた。

足をカタカタ鳴らし、上半身は前後に揺れて不機嫌そうだ。

(もしかしてお世辞が足らないか、、)

僕は更に舌を高速回転させて、お世辞をマシンガンの様に繰り出した。

部長は更に不機嫌になり、何やら親指と人差し指で輪っかを作っている。

《ん?、、部長は仏教に嵌っているのか??》

《片手は指で輪っか、もう片手は輪っかを作りながら、、こちらに差し出してきたぞ、、》

まさしくこれは•  •  •  •

【阿弥陀如来様の来迎印(らいごういん)/摂取不捨印(せっしゅふしゃいん)】だ!!

『部長〜阿弥陀如来様みたいですね〜来迎印、摂取不捨印ですか〜?』

とついつい知ったかぶりをしてしまった。

部長は(ハ〜)と一息つくと、呆れ顔でやっと本心を話し出してくれた。

『お世辞もいいけど金〜もね!』


『おせちもいいけどラジオもいいね』     タナカリヨウスケ(イラストレーター)さんの   作品から思いつきました。



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