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悲しみは時の彼方へ(短編小説)

『私・・・』

私って何だったんだろう、、思い出せそうで思い出せなくて、、

《思い出す》って何?だんだん分からなくなる。

頭では何も分からないが、身体が勝手に小学校に向かう。

知らないのに《懐かしい道》

知らないのに《懐かしい景色》

懐かしいって何?景色って何?

目が勝手に桜の花びらを追い、涙がどんどん溢れてくる。

《どうして水が出てくるんだろう?》

水って?何だったっけ?

学校の認識が無いまま門をくぐる。

身体が勝手に小走りになり、涙は更に溢れてくる。

鉄棒の棒を何故だか掴む。

私?には分からないが、手?は覚えているんだろう、、

玄関?で靴?を脱ぐ。私?には分からないが、足が覚えているんだろう、、

《何故?》覚えているんだろう?

廊下?を歩く。

無意識に、身体の赴くままに教室?に入る。

手が勝手にイスを引き、身体が勝手にイスに座る。

引き出しから何故か本を出し、机の上に置いて開く。

何故だか分からない。自分が何かも分からない。

《自分?》《私?》何なんだろう、、、

すると目からは涙が溢れ出て、涙で潤んだ景色には、

【私?】と同じ【ゾンビ】が沢山沢山、、涙を流しながら教室に座っていた。



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