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カッコウの托卵(短編小説)

『いよ〜っと!!』

僕は重い石を斜めにずらし中から小さな壺を取り出した。

《バサッ》

蓋をとると壺の中身を近くの草むらに無造作に放り捨てる。

辺りには人っ子一人も無く、真っ暗な中での作業だ。

我が家には昔から特異な習慣があった。

曽祖父から祖父、父へと受け継かれてきた我が家だけの習慣。

そして今回習慣を僕が引き継いだのだ。

中身を捨てて空になった壺に懐から袋を取り出し、コロコロと中身を移しかえる。

『父さん、ここは掃除もお供えもお祈りもしっかりしているから、ゆっくりと休んでね!』

『長い間お疲れ様でした。』

カッコウは他の鳥の巣に卵を産み世話をさせるという。

父に別れの挨拶をおえた僕は、一人見ず知らずの墓地駐車場から車で走りだしていた。


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