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負の人選(短編小説)
『はげしく同意』
『はげみたまえよ』
『アハハハハハ〜』
昼休み中に喫煙所で同僚と楽しく会話をしていた。
パーテンションの向こうに禿げたZ部長が居る事にも気づかずに!
それから少ししてプロジェクトリーダーに俺は選ばれた。
成功すれば同期の出世頭になるだろう。
メンバーは俺を含めて6人。
作業を進めだしてメンバーそれぞれの人間性が明らかになってきた。
Aさんは『絶対このやり方の方が良いよ』とどんなに言っても指示通りに作業を進めてくれない。
Bさんは『結果が出ないじゃん』『このやり方じゃ数字が上がらんなぁ』とプランの実行途中から成果ばかりを気にしている。
Cさんは『絶対無理だよ』『上手くいくわけないよ』と指示の実行に消極的だ。
Dさんは『何しているんですか?』『何も』『あなたは私に何も指示を出してないでしょ』絶えず指示を出さなければ動いてくれない。
Eさんは『分かりました』『やります。やります。』返事だけで何も作業が出来ていない。
やつれて脱毛した俺のプロジェクトの進捗状況報告をZ部長は叱責することなく優しく聞いてくれた。
満面の笑みで聞いてくれていた。
『頑張れ』『君なら出来る』『信じているよ』
俺の肩をポンと叩きスキップしながら立ち去るZ部長の後ろ姿を、姿が見えなくなるまでずっとずっと見送っているのだった。