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気持ちは分かる9(流行りについて)

自分で言うのも何だが、私は流行に踊らされない。
誤解されないよう更に言っておくと流行を否定はしていない。
ただ肯定もしていない。
まずファッション。
街を行き交う若者が、皆同じ格好をしていて恐くなった事がある。
その時、疲れもあったのだがSFの世界に紛れ込んだ錯覚に陥った。
それって個性が無い。とは言わない。
それが個性なのかも知れない。
ただ恐かった。
でも、それが個性って。
皆と同じという安心感なのだろうか。
目立ちたく無ければ、そうするだろう。
無難を良しとするなら、そうか。
気持ちは分からなくはない。
ふと、思い出した事がある。
中学時代、同級生にこう言われた事があった。
「おまえ、その服はどこで買っているの?」
そう聞いてきた理由に、ある意味目立っているからとも言った。
その前に
買う?
という素朴な疑問を得た。
何故なら、服を買った事が無いからだった。母に与えられた服を着る。
そこに何の疑問を持たずに生きていた。
その事を話すと、笑われた。そして衝撃的な一言をくらう。
ダサい。と。
ダサい?
また素朴な疑問を得た。
が、母をバカにされたような気がして大喧嘩になった。
未だに思う。
確かに私はダサかったかも知れないが、そいつよりモテたし、ダサい発言する方がダサいと。
着ている服なんて、どうでもいいじゃん!
ようは中身だよ中身!
でもまぁ、田舎の話だから、そいつの気持ちは今なら分かる。
何故なら大学に進学して、初めて自分で服を買った理由は、好きな彼女が出来たからだ。
要はピンポイントでモテたかったのだ。
中身が大事なのにね。
だから最近のファッションも没個性と言われているが、
着ている服なんて、どうでもいい。
中身が勝負だよ。
中身も同じだと、それはやはり恐い。

さて、流行り。
飲食にも流行りがある。
私の行動範囲内では
唐揚げ専門店が、おにぎり専門店に次々に変わっていて驚いた。
気持ちは分かる。
経営者は大変だもの。
ふと思い出す。
学生時代にお世話になっていた町中華屋さんの事を。
大学を卒業し引っ越して、年に一回訪れるかどうかの頻度になっても私を覚えていてくれて、
黙っていてもチャーハンは大盛り、ラーメンはチャーシュー1枚オマケに入れてくれた愛すべき町中華。
いや愛すべきは、そこを経営していた、おじちゃんとおばちゃんなのだけど。
そこが突然(訪れたのは二年ぶりだから、突然ではないだろうけれど)唐揚げ専門店になっていた時の衝撃は忘れない。
それは2年前の話。
おじちゃんおばちゃんは年齢が年齢だったので引退し、息子が店長を雇って唐揚げ専門店にしたと言っていた。
息子は継がなかったのか。
まぁ、人の人生だしね。
何となく、気持ちは分かるし。
今度、訪れてみようかな。
おにぎり専門店になっていたりして。
一周回ってタピオカミルクティー専門店になっていたら笑う。
いや、おじちゃん、おばちゃんの孫あたりが町中華を復活していたらドラマチックだね。
町中華も地味に流行っているし。

さて、人にも流行りがある。
私のブームはいつ訪れるのだろうか。
それでは、また。

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