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私的WBCその後について

WBCが日本の優勝で幕を閉じた先週の水曜日。
それ以来ロスである。いわゆるWBCロスである。
その間、選抜高校野球観戦などで気持ちを埋め合わせするも、ロスである。
私は父の影響で物心ついた時から野球小僧である。
少年野球では投手であった。
最上学年になって当然エースナンバーを貰えると思っていたが、物凄く剛速球を投げる下級生の転校生が現れ、屈辱の「11」番を貰った。
そんな事もあって、中学の野球部は坊主頭が必須だったので野球は辞めた。
でも野球自体はずっと好きだった。
今回のWBCでも熱狂し興奮し感動を覚えるなんて、つくづく私は野球の国に生まれ育って幸せだ。

ん?
野球の国?
そうだ、奥田英朗さんの紀行エッセイに『野球の国』(光文社文庫)があった。
急に再読したくなって本棚を漁ったら出てきた。

奥田英朗『野球の国』(光文社文庫)

私が買ったのは文庫本が新刊の時。奥付を見ると2005年とあった。
ガイドブックは情報が古いと意味を成さない。
だけど、紀行文は古くても楽しめる事を今回知った。
いわゆるノスタルジーを楽しむという事である(そういった意味ではガイドブックも意味を成す)。
小説は面白いのに素は嫌な感じだなぁ。
と、当時は奥田さんにそんな印象だったのだが、
今回読み返すと、免疫があるのか、当時の奥田さんに年齢が近づいたのか定かではないが、そんな嫌悪は抱かなかった。
時が過ぎてもこの本のコンテンツが好きだ。
私も奥田さんに負けず劣らず野球場めぐりが好きだし財力が許せば、
そうだな、今では、メジャーリーグも観戦に行きたい(WBCの熱冷めず)。
何より、この本には台湾編もあったりして当時トキメイたし、今もトキメク。
最初の章が「沖縄編」なので俄然トキメくのである。
でもこの本は古いゆえ、中日の立浪や福留、横浜の野村などが現役バリバリで登場したりして、古!懐かしい!のオンパレードで思わず遠い目をしてしまった。
また、奥田さんは旅先でも映画を観る趣味の人で、沖縄でも映画館に足を運んでいる。
「国映館」
「グランドオリオン」
「桜坂シネコン」
登場する映画館に、おお!となる。どれも閉館した映画館だからである。
当時は読み流していただろう。
でも今回は違う。
この本を初めて読んでから今日までの間、
私は沖縄の映画館に関して興味を持ち、それにまつわるスペシャリストの方々と幸運にも知り合いになれた。
そして沖縄編では私の悪い癖が発動してしまうのである。
上記の映画館について改めて深堀したくなり本棚へ向かう。

平良竜次+當間早志 『沖縄まぼろし映画館』(ボーダーインク)

『沖縄まぼろし映画館』平良竜次+當間早志 著(ボーダーインク)
ほほぉ、なるほど、と独り言ちしながら脱線したまま読みふける。
奥田さんが旅した時はギリギリ上記の映画館は存在していて、羨ましいと思うと同時に館内の感想など貴重な意見が見られて得した気分になった。
これだから、昔の紀行文を読むのは面白い。
そして『野球の国』に戻って一週間が過ぎた。

そう、WBCが日本の優勝で幕を閉じてから一週間。
私は野球小僧である事を再認識した。
そして、コロナ前に那覇の友人と交わした約束も思い出した。
いや、忘れてはいない。
「いつかキャッチボールをしよう」
そろそろ本格的な野球シーズン。
約束の地へ向かう日も近い。

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