破局の予感②
彼が家にやってくる日が来た。私は朝から緊張と言うか、何故かそわそわして落ち着かなかった。それには訳があった。母に予備知識として、彼の人なりを説明していたのだ。勿論バツ2で、借金もあって、いづれ同棲したいと話を。母の聞いた後のリアクションはやはり悪かった。
「結婚2回も失敗してんの?」
「借金あるの?」
「ほんでまだ今勤めて3ヶ月なん?」
あ、これはダメだ。もう会う前から印象が悪くなってる。でも嘘をつく訳にも行かないし、取り繕うことはしたくなかったから、せめて真剣に将来は一緒になりたいことだけは、分かって貰いたい。それをどこまで頑張って出来るのか。彼はちゃんと話はしてくれるのだろうか?
彼がやった来た。私は出迎えて部屋に案内した。
「こんにちは。初めまして。」彼は挨拶する。
「こんにちは。ようこそ。」
「◯◯さんとお付き合いさせて頂いてます。◯◯と申します。これつまらないものですが、どうぞ」と手土産を机の上に置いた。
「それはどうもありがとうございます。まぁ足崩して楽にして。」
母はニコニコとして、彼に足を崩すように勧めた。
あれ?怒ってない?私はもうてっきりお説教が始まるのかと思ってたのに。何か拍子抜けしてしまった。
私の取り越し苦労だっただけか。
私はコーヒーと彼が持ってきてくれたケーキを3人分用意して、部屋に持ってきて、それぞれの席に置いて行った。
「あの、1つお聞きしたいんですが。」
「はい。」
「娘が今どういう状態かご存知ですよね?」
「はい。鬱病で会社を休職していると聞いてます。」
「そんな娘でも、いいの?落ち込んだり、泣き出したり、色々大変よ。そんなのに付き合っていく覚悟はあるの?」
「それは勿論です。僕なりに支えるつもりです。」
私は胸が熱くなった。彼はこんな私でも支えてくれると言ってくれただけで、嬉しかった。
すると、母はバンと机を叩いた。
「あなた、一体どうやって支えるつもり!?」
母の顔つきが変わっていた。鬼の首を取ったような感じに見えた。つづく
宜しければサポートをお願いします。サポートのお金は、クリエイターとしての活動費に使いたいと思っています。応援宜しくお願いします。