仕事始めのご褒美
新年の仕事始め。朝から夕方までの長い一日がやっと終わり、私は職場を後にして深い息をついた。冬の空気は冷たいが、心はどこか温かかった。新しい年の始まりを、憂鬱な気持ちで過ごしてはいても、心の奥底には小さな火を灯していたからだ。
帰りの駅へ向かいながら、私は自分へのご褒美のことを考えていた。。あの甘く、香ばしい香り。子供の頃から変わらないあの味。「マネケン」のワッフルだ。
店に着くと、私は迷わず「ハニーカスタード」と「アーモンド」のワッフルを注文した。その瞬間から、待ちきれない気持ちでいっぱいになった。今、この場で食べたい気持ちを抑えて、急いで自宅へと向かった。
自宅に帰ったら、手を洗うことも忘れて一直線にトースターに向かってワッフルを温め直していた。トースターの中でワッフルが温めらるにつれて、甘い香りが徐々に徐々にトースターから漏れ出してくる。
そんな甘い香りに酔いそうな気持を抑えて、手を洗い、トイレを済ませて、そしてコップに暖かいココアを注いで気持ちを落ち着かせる。その数分後、トースターから合図が鳴る。私は心躍らせながら、自分の部屋へと向かった。
「ハニーカスタード」のなめらかなハチミツの味、それでいてほんのりと口の中で広がる香り。くどくないちょうど良い甘さは、暖かいココアと一緒に口にすることで、冷え切った私の心と体を奥底からじんわりと温めてくれる。
「アーモンド」は何といっても、その香り。店で買った直後でも香り豊かだが、家で温め直した後のアーモンドの香ばしい香りは、何度嗅いでも辞められない。味は少し甘ったるい気もするが、仕事始まりの憂鬱な気分を吹き飛ばすには最高の味わいである。
私の心は明るく輝いていた。小さなご褒美が、こんなにも心を満たしてくれるなんて。ワッフルを食べ終えた時、私は新しい一年への希望と、さらなる挑戦への準備ができていることを感じた。
これが、仕事始めを終えた後の小さな幸せ。マネケンのワッフル一つで、日常が少し特別なものに変わる。それが、私にとっての完璧なご褒美だった。