令和の新下り酒「新川一番船」 龍力 特別純米 生酛仕込み
こんにちは、安井郁子です。
記事を読んでくださる方、応援してくださる方、いつもありがとうございます。
今日は、「新川一番船」という、日本酒のご紹介です。
令和の新下り酒
東京都中央区新川という場所をご存じでしょうか?
かつて、灘などの兵庫の下り酒は、最終ゴールの江戸まで樽廻船で運ばれ、小型の伝馬船で新川の岸に荷を揚げていました。
当時この一帯は、酒問屋街として繁栄しており、多くの浮世絵などにも、その描写が残っております。
こちらのタイトル画像の背景の絵は、幕末から明治時代にかけて活躍されていた浮世絵師一蕙斎芳幾(落合芳幾)氏による「新川番船入津繁栄図」の一部です。
弊社は、今でも、この新川の地で商売をさせていただいておりますが、他の問屋さんは、近隣に移転されたところも多く、お酒の神様「新川大神宮」そばのこの地で盛業の新川筋の酒卸業を営んでいるのは、加島屋さんと大星岡村となっております。
(そばには、日本酒類販売さんや東京都卸売酒販組合さんもおられます。)
新酒番船
西宮などからの下り酒は、水運を利用して一斉に江戸を目指しましたが、そのタイムレースを「新酒番船」とも呼ばれていました。
レースに勝った一番船は、賞金をもらえる他、今後の商売における優遇を受けることにもなり、またその年のお酒の値付けにも影響する重要な意味もありました。
弊社では新川のこのような逸話を込めて、「新川一番船」という、プライベートブランドを以前より、扱っておりました。
本田商店さんとの出会い
お酒は、兵庫県姫路の銘醸蔵・本田商店 龍力さんのものになります。
地方名酒創世期に、現在の会長岡村憲樹が全国を回っている際に、出会いがありました。当時の本田商店社長・本田武義様(享年86歳)がにこやかに笑顔で、「漸く新川問屋さんがお越しになりましたね」の第一声と共にお迎え頂けたとのこと。
「当蔵にて新川一番船の商標を登録してお待ちしておりました」とのご挨拶まであったそうです。
このように本田商店さんとのお付き合いは長く、龍力さんの商品を販売して参りましたが、このPB商品に関しては、このところ、うまくご紹介できぬままでおりました。
ここ数年にわたり、「下り酒のプロジェクト」等が、徐々に注目されるなか、今一度、この商品を復活させたいと、社内のなかでも気運が高まってまいりまして、であるならば、以前のままではなく、現在求められている姿へと、この度完全リニューアルをさせていただきました。
リニューアル後の「新川一番船」は特別純米生酛仕込み
酒質は、歴史を感じさせる商品でもあるので、醸造的にも、伝統的な生酛造りとして造ってもらい、酛だてに30日、醪日数23日で、じっくりと醸した特別純米酒としました。
今の段階では、まだ新酒のフレッシュさがありますが、粘度のある甘味と米の旨味があり、しっかりとしたお酒となりました。
中程度からボリュームのあるお料理にも対応いただけます。
ラベルも一新。「新酒番船入津繁栄図」の一部を使わせていただきました。
限定酒になり、どこの酒販店さんにも置いてあるわけではございませんが、謂れのあるこちらのお酒を見かけたら、ぜひ、一度お試しくださいませ。
PS
新川の歴史については、以下にも書かせていただいております。よろしかったらこちらもどうぞ。