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横浜での本格焼酎・泡盛 大試飲会 其の2
こんにちは、安井郁子です。
記事を読んでくださる方、応援してくださる方、いつもありがとうございます。前回に引き続き、今回も焼酎のご紹介になります。
芋の種類、酵母、熟成方法等で進化中の薩摩焼酎
前回に引き続き、本格焼酎・泡盛 大試飲会 でのテイスティングメモを記していきます。
岩川醸造 様
大隅半島の中央に位置する岩川醸造さんは、焼酎の他リキュールも含め6種類の出展でした。
「ハイカラさんの焼酎安納芋」。安納芋は、実がオレンジ色で非常に甘いサツマイモで、焼き芋などにも使用されているお芋です。お酒にしても、その特徴の甘くまろやかな香味が感じられます。
「薩摩 邑」シリーズには、黒麹で、黄金千貫の芋を二種類の蒸留方法で造られた焼酎を飲みやすくブレンドした「薩摩 邑」の他、紅芋を使用した適度に甘い赤いラベルの「紅芋薩摩 邑」、甕仕込みのマイルドさが表現できている「甕壺熟成薩摩 邑」とがあります。また、芋だけでなく、麦焼酎も金色のラベルでご用意がありました。
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田崎酒造 様
薩摩半島の北西部に位置する田崎酒造さんは、芋焼酎を6アイテムご出展。
白麹仕込みで黄金千貫を使用した「薩摩七夕」、黒麹仕込みで黄金千貫を使用した「薩摩くろ 七夕」。白麹の方が芋の存在感があり、黒麹の方が甘みにほのかな苦みも加わり、深めでコクのある味わいに。
白麹で焼き上げた鹿児島県産紫芋を使用した焼き芋のようなスイートな甘みの「鬼火」、黒麹と白麹のブレンド「薩摩 蔵酔笑」との比較。
そして原酒を3年間熟成させた「千夜の夢」も試飲させていただきました。
熟成により角が取れたふくよかで滑らかな味わい。じっくりと食後にロックで飲むのがお勧めです。
香り系焼酎いろいろ
小正醸造 様
バナナのラベルの「小嶋 the Banana」は、
白ワインの「ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)」由来のワイン酵母とさつま芋(黄金千貫)を組み合わせることで、バナナのような甘く柔らかな香り、甘みと酸味のバランスの良い爽やかな本格芋焼酎が生まれたそうです。
マスカットのラベルの「小嶋 The Muscat」は、熟成させたさつまいも(黄金千貫)を黒麹で醸し、鹿児島の香り系酵母を使うことで、マスカットの様なフレッシュでフルーティーな香りが生まれているようです。
日本酒の場合は、スペック確認の際に、「酵母は何か?」と聞かれることがよくあり、蔵元も公表していますし、また実際に、香りをきいた時点で、
「これは、協会9号で、こっちは香り系の1801とのブレンドかな?」等と、気づいたりもします。
焼酎の場合は、使用酵母情報を伏せていることが多いようですが、少し焼酎酵母に関しても、調べてみたいところです。
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ここまでは、バラエティー豊富な、鹿児島・薩摩の焼酎でした。
・GI球磨焼酎(平成7年6月30日認定)
こちらは熊本県にあるお蔵 房の露 様 です。球磨焼酎は、米焼酎が主流で、GI球磨の原料は米になりますが、、、
まずは、芋焼酎の「紅はるか」というサツマイモを用いた「紅福」からテイスティング。薩摩焼酎でよく使われている黄金千貫よりもはるかに甘いさつま芋の特徴が出ています。
「倉岳」は、地元倉岳町の特産品であるミネラルやビタミンの多い「しもん芋」を用いた焼酎。こちらには、黒麹で味わいを深めた「黒 倉岳」もあります。お芋の特徴は、黒麹よりも白麹の方が感じやすいようにも思います。
「黄金郷」は、原料はお米で、王道の球磨焼酎をシェリー樽で長期熟成させたもの。バニラのような甘い香りと滑らかな触感でバランスの良い香味になっています。これで、1562円とは!
・GI琉球泡盛(平成7年6月30日認定)
琉球泡盛では比嘉酒造 様が参加されていました。
14年ものクースも飲ませていただきました。「残波プレミアム14年古酒」です。30度とアルコールは高めですが、パワフルで豊潤なコクとなっていますが、熟成によりまろやかで、バランスよく練れた味わいが楽しめました。
長期熟成していて、これで、3636円か…。
焼酎・泡盛は、庶民の味方ですね!!
・GI壱岐焼酎(平成7年6月30日認定)
壱岐焼酎は、米麹を用いた麦焼酎というところがポイントです。
ウイスキーとは違って、米の旨味と甘みも感じつつ、麦の香りもあり、伝統的な壱岐焼酎らしさが出ています。
壱岐の蔵酒造 様
特に、本日出展の「壱岐の島」(25%)は、スタンダードな食中酒。壱岐の蔵酒造さんでは、ほかに「IKIKKO DELUXE」(25%)という商品もあり、こちらは、スペインのシェリー樽に長期間寝かせたもの。発売より30周年を記念して「壱岐っ子デラックス」の名称からパッケージリニューアルされています。
「二千年の夢 四捨五弐度」(42%)も頂きました。こちらはシェリー樽で長期熟成をしたもので、琥珀色色合い。骨格はしっかりボリューム感がありますが、熟成を経てトロットした滑らかな口当たりで、オークのバニラや、かつて寝かせていたというシェリーのニュアンスも彷彿とさせ、奥深い味わいになっています。
ウイスキー好きのお父さんの「父の日ギフト」にも良さそうです。
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コストパフォーマンスの優れた、日本の蒸留酒「本格焼酎・琉球泡盛」
今回、全体を通して感じたのは、焼酎・琉球泡盛のお酒の特異性とともに、蒸留酒としてのコストパフォーマンス良さです!
伝統的な焼酎の良さと、最近の香り系の焼酎、そして、シェリーやウイスキー樽で熟成をさせたものなど、バラエティーも豊富で、TPOや食事に合わせて選択肢も多く、そのうえ、ストレート、ロック、お湯割り、水割り、ソーダ割り、最近では、紅茶や、緑茶、中国茶割り等も注目されています。
その時のシーンに応じて飲み方にも多様性があります。
樽熟成をさせた物は、長期熟成酒が多く、他の商品よりは、少しお値段は高くなりますが、それでも、だいたい3,000円台で収まっています。
日本産ウイスキーが一部の店では、定価ではなく、異常な値段で売られていることから考えますと、樽熟成の焼酎は、同じ蒸留酒として代替するのには、かなりお得感があり、日常的に家飲みとして気軽に楽しめます。夏場の常温保存でも品質劣化をそれほど気にしないでいいのも安心です。
最後に、その他のエリアで、注目されたものとして…
喜界島酒造 様
奄美諸島の中で最も東部、奄美から飛行機だと約20分に位置する喜界島。
奄美同様黒糖焼酎の産地ですが、ラムと異なるのは、米麹が使われているところです。
島でよく飲まれているというスタンダードの「喜界島」は、オイリーな味わいの、昔ながらの少し癖のある香味でした。
この変わらぬ味わいが、地元の味付けの濃いお料理や、炒め物、揚げ物、野性味のあるヤギ料理などとは、相性が良いそうです。
最後には、アルコール43度の黒糖焼酎「キャプテン キッド」を頂きました。常圧蒸留、43度原酒。7年間樫樽貯蔵。
こちらは、洗練されています。
琥珀色に輝く外観、バニラのような樽熟成感は、ウイスキー樽で寝かせたことからくるもの。味わいも、年代物のラムのようで、濃厚です。熟成により練れた味わいではありますが、ボリューム感はしっかり、複雑味もあり、最後の〆にふさわしい味わいでした。(上質のラム酒のような香味)
食後に、ロックでじっくりと愉しみたい黒糖焼酎。
寒い冬には、寝酒にホット・バタード・ラムのような飲み方もできそうです。
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黒糖焼酎 キャプテン・キッド
(希望小売価格¥2,811)
日本産ウイスキー人気のおり、海外でも※日本の蒸留酒である「焼酎」も、注目されだしています。
今回、多くの焼酎を試飲することができ、改めて、2000年代初頭の焼酎ブームからは、かなり激変している焼酎の今を再認識しました。
日本人であるわたしたちは、進化する自国の蒸留酒「焼酎」を、常に追いかけ、もっと魅力を発信していかなくちゃですね!!
※日本の蒸留酒の酒税法上の扱い
日本の酒税法上では、蒸留酒の中でも、焼酎カテゴリーが別に設けられており、”連続式蒸留焼酎”と、”単式蒸留焼酎” に区別されています。
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2018/pdf/006.pdf
◎スピリッツとは
https://www.yoshu.or.jp/pages/88/#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%85%92%E7%A8%8E%E6%B3%95%E3%81%A7,%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%84%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
(日本洋酒酒造組合より)