同監督『岬の兄妹』の比較 新作映画『さがす』 ~映画イラスト~
四コマ映画『さがす』
→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2790
「初めて見た。ホントに死にたい人」
ブラックコメディってのは日本ではあんまり浸透していなくて。
思いつく邦画のブラックコメディは『葛城事件』とか『生きちゃった』とか。
目も当てられないほど悪い方へ悪い方へ行ってしまう人物の様子を描いていると、なんか笑けてきちゃう、という映画。
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同監督の名作映画『岬の兄妹』(2018)もちょっとそんな感じでしたかね。
四コマ映画『岬の兄妹』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2268
人生詰んだ状況から微かに見えた光明をつかもうとするんだけど、残念ながらどんどん悪い方へ流れていっちゃって…という話。
微かな光明を掴もうとする人間のエネルギー。
そこからさらに堕ちた時に光だす人間の根源のエネルギー。
のようなものを描いた映画で、『岬の兄妹』も名作ですので、ぜひ。
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今作『さがす』と『岬の兄妹』の比較
前作と比較して
●血のつながりのある男女が主役
●割と人生が危機的状況
●笑っていいのか不安になるコメディ感
●中2男子レベルの下ネタ
●微かな光明を掴もうとするも逆に堕ちていってしまう
などが共通項かと。
佐藤二朗と伊東蒼のダブル主演(と言っていいでしょう)で、ネクストブレイク俳優の清水尋也が重要人物として出てくるわけですから、
かなりの商業映画なわけです。
商業化によって失われたものを確かにあると思います。
『岬の兄妹』のザラザラ感ギトギト感ウ○コ感はちょっと弱まってしまっています。
が、
猟奇サスペンス描写がなかなか残虐で変態チックなので、かなり興奮します。
佐藤二朗のスター感はやはりすごい。
佐藤二朗が演じるとどんなにクソでも愛せるし、「実はめっちゃくちゃ怖い人なのでは…」って感じもあるので、善悪揺れ動くこの映画にはバッチリのハマり役。
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佐藤二朗の奥さん役が成嶋瞳子。
なんか見たことある女優さんだなと思っていたら、橋口亮輔監督の『恋人たち』に出てた方。
俳優さんって「ただそこにいる演技」っていうものを目指してたりしてますが、成嶋瞳子は「いない」。
そこにいないくらいの演技。だいぶ前に死んでるんじゃないかってくらいの雰囲気。
こんな空気出せる俳優さんっていないんですよ。唯一無二。
今作『さがす』での役は、もうすでに死んでる人感がピッタリで、、、見ていて怖いし、絞り出すような咆哮が悲しすぎる。
悲しすぎると同時に、
生への希求というか人間の根源のエネルギーを見せられたようで、
やはりこの映画が露悪的なだけじゃない、プラスのエネルギーを発した映画になっていると思います。
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このラストシーンはすごいですよ。
「どうやって撮ったんだろう」というのも含めて結構長く語り継がれる名ラストシーンだと思います。
四コマ映画『さがす』 → http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2790