素晴らしいリメイク作 韓国映画『死体が消えた夜』 ラストネタバレあり〜映画感想〜
監督イ・チャンヒ
脚本イ・チャンヒ
出演者キム・サンギョン キム・ガンウ キム・ヒエ ハン・ジアン イ・ジフン ソ・ヒョヌ イ・ミンジ
面白い。
純粋なミステリーなんですけど、冒頭がものすごくホラー演出。
それが「死体が消える」ことに信憑性を与えてる。
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ミステリーなので前半はとにかく情報を撒き散らしとかなきゃいけない。
いわゆる伏線を的確にはらなきゃいけない。
でも伏線を張ってる間は観客は意外と暇なので
この間に映画の面白さを担保するのが
会長とその夫の物語と
刑事たちのコメディ感。
とくに刑事たちのコメディ感は映画のリズムになってる。
今作はスペイン映画『ロスト・ボディ』のリメイク。
どっちの良さもありますね。
『ロスト・ボディ』は一切笑わすつもりのないスリラーです。
妻のキャラクターがとても面白いし、サイコホラー感もあってなかなかいいですよ。
『死体が消えた夜』は韓国映画らしい、ホラーコメディミステリー。
いろんな要素入れても混乱しないのが韓国映画のすごいとこ。
タイトルがダブルミーニングになってるのも韓国版のアイデア。
ダブルミーニングっていうか、消えた死体ってのはどの死体のことかってムニャムニャ…。
ぜひ日本でリメイクしましょうよ!
会長(殺された妻)……中山美穂
その夫……松坂桃李
夫の愛人……倉科カナ
刑事……内野聖陽
刑事の婚約者……芦名星
韓国版よりは会長(妻)の比重を重くして。
WOWOWでもいいからさ。
ネタバレと
ラストめっちゃひっかかるポイントの考えについては以下に。
この刑事は、大統領府から勲章をもらった過去があるほどの凄腕。
捜査力めちゃくちゃある人。
だから、
自分の婚約者を轢き殺して死体を遺棄した犯人が「夫」であることも突き止めることができた。
サッと逮捕しても良かったけど、
それでは懲役2年くらいだろうから、
もっと苦しめるために、
婚約者の妹(夫の愛人役)と組んで夫をハメることにした。
最終的には夫を殺す計画。
会長(妻)も婚約者を見殺しにしたので、夫に殺させる。
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刑事はこの夜、死体安置所に侵入して会長の死体を盗む。
停電させてこっそりやるつもりが、警備員が意外と活躍して死体安置所まで来てしまったので、仕方なく警備員を鈍器で殴り気絶させる。
(下手したら警備員は死ぬかもしれなかったわけだから、これは計画にはなかったことのはず)
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刑事、死体を車のトランクに入れとく。
何気ない顔で部下たちと合流。
取り調べをうけている警備員を
「犯人の顔じゃない。過剰捜査になる」として帰す。
警備員に自分のことを思い出されるのを恐れて、警備員を帰した。
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夫を現場に呼び、事情聴取。
刑事は最初、単独犯が会長の遺体を盗んだと主張。
その後、
刑事の古い友人でもあるチャ博士(監察医)が来て、
「会長は死んでいなかった」と主張。
刑事はチャ博士がこう言うと期待していた。
よく見るとここで刑事はちょっとニヤッとしてる。
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刑事は、
夫に愛人(婚約者の妹)がいることを暴いたり、
電気コードを水に浸けてまた停電させたりゴミ箱燃やしてスプリンクラー作動させたりして
夫に「妻が蘇った」と信じ込ませる。
(ちょっと無理がありますね。。)
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裏山に会長とおなじサイズの足跡を残したり
スプリンクラーを作動させたのは夫からもらったタバコだったりと
妻は生きてる
そして殺そうとした犯人は夫である
ってことを信じさせるために刑事はコツコツ頑張ります。
たまに婚約者の妹もかなりの演技力で夫を追い詰めます。
自分で自宅の写メ撮ったりと忙しい。
(雨夜の窓辺にワインが置いてあるのは、おれは夫が見た夢)
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デジタル時計が2007.07.20に。
これは夫が刑事の婚約者を轢き殺した日付。
夫は
「この日付は自分と妻しか知らない!すべては妻が仕組んだことだ!」と確信。
しかし
この日付を知ってる人物が他にもいる。
自分もひき逃げされた婚約者の妹と
婚約者を轢き殺された刑事。
会長も夫も、轢き殺した女性に妹や婚約者がいたとは知らなかった模様。
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夫が妻は生きてると信じたところで
刑事は夫に妻のスマホを発見させる。
そこにメッセージ。
「秘密の場所で待ってる」
秘密の場所とは刑事の婚約者が埋められてる場所のことだと夫は理解する。
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ここでちょっとわかんないのは、
夫はすぐにこの秘密の場所に向かおうとするわけ。
でも刑事は阻止。
取り調べを続けたりする。
で、署長が来て
「これ以上夫を拘束してられない。財閥の婿だし。」ってことで
夫は解放。
やっと夫は車で秘密の場所へ向かう。
刑事はそれを追う。
こんな手間を取らなくても最初の時点で行かせてやって単独で追いかければ良かったのでは。
署長があのタイミングで来るなんて相当な賭けでしょ。
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秘密の場所=婚約者を埋めた場所は
会長の自宅の裏山。
「こんなとこに隠されたら見つからないわなぁ」と刑事。
刑事はここで種明かし。
死体が消えた夜ってのは
2007年の7月20日の夜のこと。
一緒に撥ねられた婚約者の妹は
撥ねた車に製薬会社のロゴが付いていたことを思い出していた。
刑事は独自の捜査で夫を容疑者として断定。
婚約者の妹もそれを知る。
刑事と婚約者の妹は、夫をはめることを画策。
婚約者の妹は謎の美女学生として夫に近寄り、
愛人となり、
妊娠したと嘘をつく。
そして妻の殺害へと誘導する。
夫のベルトに発信器を設置。
「愛する人を失った者」と言う共通点をもっている刑事は夫を思い通りに操る。
会長に毒入りワインを飲ませた日の夜、
婚約者の妹は夫に毒入りの水を飲ませていた。
この毒は飲んでから8時間後に効いてくる。
夫、倒れる。
刑事、土を掘り返して婚約者の姿を見る。
そして、倒れている夫を見る。
夫に麻薬の注射を打つ。
これを打てば解毒されて夫はのちに蘇る。
10時50分
夫は蘇り、警察に逮捕される。
夫は刑事が掘り返した土の中に、自分が殺した妻がいるのを見る。
刑事と妹は、人気のない原っぱで車のトランクに入った婚約者(姉)の死体を見る。
青く輝くネックレスを掴む妹。
夕焼けが2人を照らす。
2人の計画は終わった。
これからこの2人はどんな人生を……。
おわり
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なんで刑事は夫を殺さなかったのか問題。
殺さなかったっていうかわざわざ生き返らせたのか問題。
刑事は掘り返した婚約者の姿を見ます。
何年も袋に入れられてたわけですから、まぁ普通に考えると、もんんんんのすごいことになってるでしょうね。。
10年くらい経ってるわけですから、いくら袋の中とは言え、骨になってますかね。。
そんな体になった婚約者の首には青く輝くネックレスが。
それを見て、
刑事は振り返って夫を見ます。
このとき刑事の表情は
「こんんんのやろー!怒りがまたこみあげてきたわぁ!」っていう顔じゃない。
逆にちょっと優しいくらいの表情。
そのあと刑事は夫を生き返らせる。
夫に生き地獄を味わせてやる!って思ったとは思えない。。
数時間後、
夫もハッと目が覚めて
「いっそ殺してくれたら!これから生き地獄じゃないかっ!うわぁぁぁ!」っていうリアクションはない。
結構淡々としてる。
自分が殺した妻の姿を見たリアクションも、「あぁやっぱ死んでんだ…」くらいの顔。。
そのあと妹が姉のネックレスをグッと掴む。
それがこの映画のラスト。
あのネックレスは姉の優しさであり希望。
刑事は
骨になった婚約者が無言で伝えるメッセージ、優しさと希望を受け取った。
「人を殺しちゃいけないんだ」という当たり前のことを思い出した。
(会長は殺しちゃったけど、、)
俺(私)が人殺しなんかしたら、婚約者(姉)は悲しむに決まってる。
婚約者(姉)はそういう優しい心を持った素晴らしい人間だった。
彼女のことを裏切れない。
コイツらを許すことは簡単にはできない。
でも、今、生き返らせることはものすごく簡単にできる。
それはおそらく彼女が望んでいること。
彼女の姿を見て、思い出したこと。
夫を殺さなかったことを何度も後悔するかもしれない。
彼女がいないこの人生が何度も辛く感じるかもしれない。
でも、いまはこの青く輝くネックレスが放つ「優しさと希望」のままに行動しよう。
という、ラスト、かな、と!