2020年リメイク版との比較 映画『真夜中のパーティー』
2020年のリメイク版(https://note.com/fukuihiroshi/n/n658196a608f3)よりも、1970年版の方がいいかも。
真夜中のパーティーThe Boys in the Band
監督ウィリアム・フリードキン
脚本マート・クロウリー
原作マート・クロウリー
製作マート・クロウリー
公開1970年3月17日
上映時間118分
製作国アメリカ合衆国
やっぱ元の話が面白いんですね。
1968年に同名舞台があってヒットして
1970年に映画化。
2018年に新キャストで舞台が再演。
2020年に2018年のキャストで映画化。邦題は『ボーイズ・イン・ザ・バンド 』。
**
2020年版を先に見て
ラストはたぶん元のやつとは違うだろうと思いまして
確認の意味で1970年版観ました。
2020年の方がラストが長いですね。
ひとりひとりのその後が描かれてる。
1970年版はその前に終わる。
一応ラストのことなので、ネタバレは下の方に。
石投げられないし殺されないから差別はない?
あと1970年版ではピザの配達人がパーティーの様子(男たちがワーキャー騒いでる様子)を聞いて「うえ、こいつらオカマ??」っていうリアクションをする。
2020年版では、他にもストレート夫婦や家族などが部屋の様子を怪訝な表情で見る、というシーンが差し込まれます。
2020年版の方が、ストレートの圧力ってのをさりげなく繰り返していて、これは良い追加だと思います。
石投げられたり殺されたりしないところにも差別はある。
「石投げられないし殺されないからこの国には差別がないんだ」と思ってる人がほんとに多くいるということがここ数日でわかってしまったので、、この描写にはものすごく意味がある。
1970年版も2020年版もほとんど同じ。
セリフまで同じ。
もとの舞台のセリフや構成やキャラクターが面白いからってのもあるだろうけど
50年前のものをそのままやるってのは
かなりの意思があってのことでしょう。
推察するに
「50年経ってるけど、、そんなに変わってなくない?50年前のセリフ、刺さっちゃわない?」
ってことでしょうね。
ここ50年で進んだ進んだ変わった変わったと言われてきたし
そう思っていたけど、、、
50年前の話をしてそのまま2020年にやって、、
おんなじメッセージ発せちゃうなんて、、
変わってないことを証明しちゃってんじゃんね。。。。
**
1970年版の方がスリリングでスピード感があって面白かったですよ。
カメラワークも2020年版より舞台感が少ない。
舞台の映画化というよりは、ちゃんとワンシチュエーションの映画として観れました。
1970年版を観ちゃうと
2020年版はなんかほのぼのしてたんですよね。。
それは画面の明るさとかもあるだろうし
あとはキャストがスター過ぎたんでしょうね。。。
1970年版のキャストにも
ゲイを公表した俳優さんがいたようなのですが
当時失職する覚悟で臨んだ役なわけです。
その切実感、命懸け感が1970年版にはあったし
これはこの映画には必要な要素。
マイケルが悪魔化していく様子とか
アランか電話をかけるシーンとか
結構なサスペンス演出でかなりハラハラしました。
ハンクには泣かされるし。
**
ま、
後半の電話ゲームがずっと怖いとか
ラストに救いがないとか
の問題があるので
2020年版では調整があったのかと思います。
ラストネタバレは以下に。
自分がゲイだと受け入れられずに苦しんでいるマイケルは
幸せそうにしてたり
安定してたり
自分を隠さずに生きてたりするゲイが憎い。
友達であっても憎い。
全員が不幸、もしくはクソであることを証明しないと生きた心地がしない。
なぜなら自分がコソコソ生きてる不幸なクソゲイだから。
からの電話ゲーム。
パーティーを地獄の雰囲気に陥れて、マイケルは自滅。
パーティーは解散。
マイケルに優しくしてもらうもそれさえもそんなに素直に受け入れられない。
マイケルのこじらせはかなりのもの。
で、真夜中のミサへ行く。
ハロルドから
「ミサヘ行こうが、カウンセラーを何人受けようがアンタは死ぬまでゲイだ」
とあれだけ残酷に告げられたのに。
それでもミサにすがるマイケル。
扉を閉めて家を出る。
おわり
**
2020年版では、
ここからそれぞれのその後がチラチラと描かれます。
そんなにそれぞれ救いがある描き方ではないけど、
マイケルに関してはかなり一歩進んだ感のある描き方に変えてますね。
あとはドナルド。
ほとんど活躍してなかったドナルドですが、2020年版のラスト、ソファで読んでる本に大きな意味があります。
2020年版の『ボーイズ・イン・ザ・バンド』の方をぜひ。