超イイ感じは続いていく。ハロプロのように。映画『あの頃。』
あの頃。(2021年製作の映画)
上映日:2021年02月19日製作国:日本上映時間:117分
監督/今泉力哉 脚本/冨永昌敬 原作/劔樹人 出演者/松坂桃李 仲野太賀(太賀) 山中崇 若葉竜也 芹澤興人 コカドケンタロウ 大下ヒロト 木口健太 中田青渚 片山友希
原作『あの頃。 男子かしまし物語』読みました。
読んじゃいました。。。
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人として割とクソな言動を行なう男子グループのわちゃわちゃ感を映画として観れるレベルに抑えていたのは、
俳優陣の愛らしい演技と今泉監督の懸命な演出があってこそだった
というのがわかりました。。
時折「なんなのコイツら…」と訝しげに見る"女性"の視線が入ってくることで
別にこの男たちの全ても賛美してるわけじゃないよ、というのが伝わっていました。
しかもそれが"女性の視線"であることで
"男性性の暴走"を批判しているニュアンスも強まるので
映画版は嫌な感じが抑えられていたんだと思います。
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映画内のエピソードはほとんど原作通りなんですけど、
改めてエッセイとして読むと「ほんとにこんなことする人間いるんだ…」とちょっと引きながら読みました。。
決定的だったのは「ゲイ疑惑」。
ある登場人物について女っ気がないなどの理由で「ゲイ疑惑がある」と、書かれてまして。
本の中盤あたりなんですが、本閉じましたよね。
ゲイは不正でも犯罪でもないので、疑われるような存在でもないし
「暴かれるべき真相!」でもない。
もしかしたら後半のページでフォローがあるのかも知れないと思って
読み進めましたけど、ない。
それどころかこの人物は一切出てこない。。
「ゲイ疑惑があったけどほんとはゲイじゃなくて良かった〜」っていうのがなかっただけマシだったと思いますけど。
もしゲイだったらこの仲間からは除外されていくんでしょうかね。
ゲイであっても今までのなんら変わらない関係性だったのでしょうか。
だったら「疑惑」って何?
ギャグ?冗談?
笑われるような存在なの?
実際この映画版にはこの人物出てきませんしね。。
原作にもこれ以降一切出てこないし。。
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あと、
あの頃楽しかったなぁ、じゃなくて
今が一番楽しいよ
というメッセージがこの映画のいいところだし
感動したんですけど
この主役の人、映画では全然描かれてなかったですけど、、、
そりゃ楽しいでしょうよ!っていう状況にあるんですね。。
そりゃそうでしょうね。。と思って、シラけてしまいました。。。。。。
いい話としてほんわかと朴訥とした雰囲気で終わってるけど、、、
あぁそうでしたかぁ…みたいな気持ち。。
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映画版はうまく作っていました。
でも
うまく作ってたな〜ってのは
うまく隠してたな〜ってのにも似てるんで、、
映画自体もちょっと下がっちゃいました。。
読まなきゃ良かったなぁ。。。。
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原作読む前の感想。。楽しそうな文章。。。
↓ ↓ ↓ ↓
さすがの今泉監督。
濃い原作の方が今泉監督は輝きますね。
僕が若かった頃の邦画、
特にこういう「人気原作!」「人気俳優出演!」みたいな映画って
もれなく絶対100パーつまんなかったのに
今の邦画はちゃんと良い映画になるんだもんね。。
若手俳優の層の厚さが要因かなと思います。
20〜30代の俳優さんたちの芝居にかける本気度が昔よりはるかに上がってる気がする。
バブルの時代(僕はバブル世代じゃないですよっ!)に浮かれてはしゃいでて
映画とか文化とか全然吸収する欲求もなかった人たちとは違って、
世界の映画、文化を普通に吸収しまくってる俳優さんたちが
「自分たちだってあのレベルの映画作れるよ」ってな気合いで映画に臨んできてくれたおかげで
ほんと近年の邦画のレベルが上がってる感じすんのよね。
ほんとに楽しいですよ。誇らしいですよ。
ありがとうございますよ!
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ちゃんとコメディとして面白い。ちゃんと笑える。
映画の中で「○○かよっ!」っていうツッコミもなくてもちゃんと笑いが成立する。
ツッコミは観客ができるから。
若葉竜也が「夢芝居」を淡々と歌うだけでちゃんと笑いが起きてましたからね。
すごいことですよ。
ちゃんとそれまでに映画の空気と観客とか繋がっていたから成立する笑い。
嬉しい映画体験ですよ。
コカドケンタロウが普通に喋るだけでもう面白い。
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『花束みたいな恋をした』感がありましたね。
幸せの絶頂から始まって………という構造。
仲間たちとアイドルを推してる幸せな時間もいつかは終わる…。
コカドケンタロウがネクタイを締めるシーン、あ…終わるんだって思いましたね。
ってか、始まった時からもうすでにそう遠くないいつかの終わりが匂わされてましたね。。。
ずっと切なかった。
楽しければ楽しいほど切なかった。
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でも、違った!!!!!
この登場人物たちは常に今が一番楽しい人たちっ!
「あの頃、めっちゃおもろかったな。でもそう言うてるお前もめっちゃおもろいけどな!」
by 仲野太賀
仕事始めても
名古屋と東京と離れても
ずっとめっちゃおもろいままでいられる。
楽しい時間はいつか終わるなんていう呪いは、この映画にはない。
それは、ずっと続いてるハロプロのように。