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求愛行動あれこれ

たまに「デートの食事代を男が払うのはおかしい。男女平等にするべきだ」と言っている人がいます。それはそれでもっともな意見ですが、「求愛行動」という観点からこの現象を考えてみると、別の景色も見えてきます。

生物ドキュメンタリー番組などを観ていると、よく小鳥のオスがメスにエサをプレゼントしていることがありますね。それはオスとメスのあいだでエサを捕る能力に差がなくても(人間でいうと給料が一緒でも)、また飼育下であきらかにエサに不自由していなくても行われるので、「求愛の儀式」と解釈できそうです。これによりメスに「求愛スイッチ」が入ってオスを受け入れる準備が始まるわけです。

人間の場合も単にお金の問題ではないようで、「君の口座に食事代振り込んでおいたから」という人がモテるかというと、そうでもなさそうです。あくまで「おいしいものをご馳走される」という儀式を通じて「相手を恋人候補として考え始める」スイッチが入るのではないでしょうか。
もちろん人間は鳥ではないので、そんな儀式は合わない、という人もいるでしょう。それ以外にも求愛行動のバリエーションがいろいろあるので、一覧にしてみます。

A:アイコンタクト系
じっとみつめる。さりげなくちらちら見る。一瞬視線を合わせてすぐそらす。
B:グルメ系
おいしいお店に連れて行ってご馳走する。手料理をふるまう。
C:プレゼント系
アクセサリーや花などを贈る。
D:通信系
手紙やメールやSNSその他で想いを伝える。
E:芸術系
歌や詩を捧げる。求愛のダンスを踊る。
F:ファッション系
着飾って自分の魅力を強調する。
G:武闘系
ライバルと闘って強いところをみせる。
H:建築系
豪邸を建ててプレゼントする。

こう並べてみると、Aの視線だけで悩殺するのは神的な魅力の持ち主でないと無理そうですし、Eの芸術系もプロデビューできるくらいの才能がない限りかえって引かれそうですし(余談ですが作家の村上春樹氏が夫人に「自分のどこがいいと思ったか」と尋ねてみたところ、「手紙の文章がすごくうまかった」という答えが返ってきたというエピソードがあるそうで、文章力で妻を射止めるとはさすが作家、という感じがします)、Fのファッションも容姿に恵まれた人が有利ですし、Hの建築に至っては億単位の財力が必要ですし、Gの武闘系は治安上問題があるうえに怪我をすると痛いです。やはり普通の人間にはBをメインにA、C、Dを適当に織り交ぜるくらいが効率的なので、求愛方法として選ばれやすいのではないでしょうか。もちろんどの方法を選ぶかは自由なので合わないことを無理にする必要はないですが、求愛行動をしないで愛を得ることは、男女を問わずたぶんできないと思います。

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