大気を調べる仕事
大気・化学物質研究グループで調査・研究を行っている研究員Oです。今回は私たちのグループの活動を紹介するよ! グループの活動の中から、大気を調べる仕事についてお話ししますね。
大気汚染について
さっそく 衛犬ちゃん&環犬ちゃんに質問です! ふたりは大気汚染っていうと何を思い浮かべますか??
おぉ! よく知っているね。じゃあ、私たちのお仕事の紹介をする前に、光化学オキシダントとPM2.5について少し掘り下げてみますね。
光化学オキシダントって何?
光化学オキシダントは、自動車や工場などから出た煙の中にある窒素酸化物(NOx)や揮発性有機化合物(VOC)などが、太陽の光を受けて反応してできる物質です。これらの主な成分はオゾン(O3)です。
光化学オキシダント濃度が高くなると、空全体に白くもやがかかったようになります。こうした時には、目がチカチカしたり、のどが痛くなったり、せきがでるなどの健康被害が起きたりもします。
福井県内では、春から夏にかけて高くなることが多いです。
PM2.5(微小粒子状物質)って何?
PM2.5は、大気中に浮遊している2.5 μm以下の小さな粒子です。とても小さいため(髪の毛の太さの1/30 程度)、肺の奥深くまで入りやすく、呼吸器系や循環器系への影響が心配されるものです。
PM2.5は、自動車や工場などの人の活動で出てくるものと、土ぼこりなど自然由来のものがあります。
そのとおり。つまり、普段から大気の様子を調べておくこと(常時監視)が重要なんだ!! それから、大気の問題は光化学オキシダントやPM2.5だけじゃなく、ほかにも酸性雨やアスベストなどいろいろあるんだよ。
私たちはそんな大気の健康を調べる仕事をしています!
大気を調べる現場
では、実際にしている常時監視をいくつか紹介しますね。
自動測定機による常時監視(テレメータシステム)
まず、県内各地の大気を24時間監視しているテレメータシステムについて紹介します。
県内各地には大気の測定局があって、大気中の窒素酸化物(NOx)やPM2.5などさまざまな物質を365日・24時間、自動測定機で測定しています。このデータは通信回線ですぐにセンターに送信されて、大気の変化をいち早く探知することができるすごいシステムなんですよ!
でも、測定局がない場所は大丈夫か心配になりますよね。そんな測定局がない地域は測定局と同じように大気観測ができる大気環境測定車「みどり号」で監視しています。
PM2.5の常時監視
自動測定機を使った監視だけでなく、前回の記事にあったような分析を行う監視もしています!
例えば、PM2.5の中に何が含まれるか分析する場合、観測局の採取装置にフィルターを付けて、大気中のPM2.5を採取した後、センターに持ち帰って、そのPM2.5を様々な分析機器を使って分析しています。
※PM2.5の成分分析:硫酸イオンなどのイオン成分、鉄などの無機成分、炭素成分
今回はPM2.5を紹介しましたが、私たちのグループでは、それ以外にも大気中のさまざまな成分を調査しています。そちらはまたの機会に紹介しますね。
大気の汚染で健康に被害が出そうなときには?
光化学オキシダントやPM2.5によって人の健康に被害が出そうなときには、関係機関と連携し、「光化学オキシダント注意報」や「PM2.5注意報」などを発令します。テレビやラジオ等を通じて、不要不急の外出を避けることや自動車の利用を控えるなど、広く県民にお知らせします。
最近では、令和元年に二州地域(敦賀市、美浜町、若狭町)で光化学オキシダント注意報が発令されました。県内で同注意報が発令されたのは、平成14年以来 17 年ぶりのことでした。
高濃度注意報・警報発令時には、屋外での激しい運動は避け、できるだけ外出を控えるなどしてください。目やのどに異常が出た場合は、洗眼やうがいを行いましょう。
もっと詳しく知りたいときは?
もっと詳しく知りたいときは、下記のサイトで各地域での注意報等の発令状況や大気汚染物質の分布状況の情報を発信しているから見てみてね。
・「福井県 大気汚染情報 (pref.fukui.jp)」
・「環境省大気汚染物質広域監視システム(そらまめくん) (env.go.jp)」
・「環境GIS|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア (nies.go.jp)」