見出し画像

ミネラルの枯渇

栄養と身体の疾患の関係について

西洋医学の発達の過程で栄養学が医学教育で十分に教えられない状況が続きました。栄養学が初めて公衆衛生政策や医療政策に大きな影響を与えた米国での動きとその経緯に触れておきます。
1977年アメリカ農務省はアメリカ上院栄養問題特別委員会(Select Committee on Nutrition and Human Needs United State Senate)に「米国の食事目標:Dietary Goals for the United States(原本)」という報告(付属資料原本はこちら)を公表しました。この報告は、特別委員会の委員長がジョージ・マクガバン(McGovern, George Stanley)上院議員であったため「マクガバンレポート」と呼ばれています(マクガバンレポート、解説している日本語の資料はこちら)。
当時の米国人の平均的な食事を分析して「大幅に脂質を減らして、糖質の摂取を増やす」食事目標(6つ)を提案しました。当時も(現在に至っても)米国人の死因の1位が心疾患であることから、マクガバンレポートは多数の医師・栄養学者からの意見を集積し「心疾患増加の原因が食事中の脂質である」との結論を導いたのでした。

米国人の死因別死亡率推移;CDC

ところが、マクガバン特別調査委員会が1977年2月に最初の報告を提出すると直ちに、畜産業界、一部の科学者、そして(意外にも)医師団体から猛烈な反発がありました。食事→心疾患死の因果関係を直接立証した臨床データが当時も今もないことから、1977年12月にマクガバンレポートは改訂版に差し替えられ、 肉や脂質の消費についてはより穏やかな(マクガバン上院議員にとっては不本意な)表現にとどめられました
一方日本では、栄養学が医学教育で十分に教えられない状況が長い間続いていました。近年では栄養学の重要性が再認識され、カリキュラムの見直しや専門家との協力が進められています。
現在、医師監修の医療情報サイトでは、ミネラルなど栄養摂取の大切さ、ならびに具体的な症状や対策について記されています。例えば栄養を基盤として様々な健康課題解決に努めているMetaHealthという企業サイトでは「ミネラル不足は体調不良の原因に?症状と対策について詳しく解説」しています。

農作物のミネラル枯渇のために生じるミネラル欠乏

化学肥料と農薬で合理的な農業を実現し、大量の農作物を生産し、食糧として利用してきた現代の農業は行き詰っています。 とうとう土壌のミネラル含有量は50年で約80%と減少し、 その土壌で育った農作物のミネラル含有量もどんどん減少傾向にあり、現代人はミネラル不足に陥っています。 合理的な農業を続けた経済発展国ほど、ミネラル不足による健康問題が発生しています。
1992年アースサミット・レポートで、約100年前と冒頭図の割合で世界各地の農地のミネラルが枯褐していると報告しました。この土壌ミネラル枯渇報告によると、北米の土壌枯渇が85%で、世界で減少率が最も高い結果になっています。
日本食品標準成分表によると、過去50年間における食物の鉄分減少率は、ほうれん草で約85%、トマト約96%、 りんごは100%と大幅に減少していることがわかっています。

ミネラル枯渇の根本原因は農業が営まれる土壌にある

1936年、Rex Beach氏は米国の土壌の一般的なミネラル枯渇に関するCharles Northen博士の研究について議論した文書(第264号)「MODERN MIRACLE MEN」を米国上院に提出しました(Rex Beach氏は上院議員でなく作家として提出したものでした)。北米の土壌はミネラル含有量が非常に不足していると推定され、当時既に、アメリカ人全ての年齢層の99%がミネラル不足と見なされていました。
この報告には「何百万エーカーの土地で耕作されている食物にはある一定量のミネラルが含まれておらず、それをいくら沢山食べたとしても、我々はその栄養素を摂ることはできない。食べ物の価値には大きな開きがあり、あるものは食べ物としての価値がない程である」と書かれています。
「すべての病態、すべての疾病、すべての病気を追求するとミネラル欠乏にたどりつく」これは、量子化学者でノーベル賞2回受賞しているLinus Pauling博士の言葉です。
日本でも1980年代に、中嶋 常允氏が日本で同じ指摘をしていました(はじめに土あり: 健康と美の原点、1992/11/1発行にアトピー性皮膚炎の原因はミネラル不足と明記してあります)。

健全な土壌からとれるミネラル豊富で健全な農作物が人を健康にする;中嶋農法

中嶋農法は、土壌診断を基本にしたミネラルバランスを十分に考えた土づくりと、生育コントロールを駆使し、美味しくて安全な農作物をつくる優れた農法です。

ミネラルの枯渇を回復するために

古来より江戸時代まで農家で営まれていた米・野菜作りの方法に習うことでミネラルの枯渇を止めることができます。そのためには微生物が人間を含む地球の動植物を分解・再生する腐食連鎖を利用するしくみが必要になります。ここでは”生命の循環”再生プラントと呼ばせて頂いています。

ミネラル枯渇の回復には生命の循環を取り戻すしくみが必要;セルフ健康プログラム資料

いいなと思ったら応援しよう!

JinseiDohraku
人生は宝石箱をいっぱいに満たす時間で、平穏な日常は手を伸ばせばすぐに届く近くに、自分のすぐ隣にあると思っていた……