Amazonの米国本社に来てよかったなって思うこと
今回はAmazonのシアトル本社で働くようになってから「これは熱いぜ!」と思わず唸ってしまったあれこれについて書いてみる。ぼくはプロダクトマネージャーとしてエンジニアやデザイナーとセールの機能を開発している。なのであくまでプロダクトマネージャーとしての観点での"推しポイント"ということになるわけだけど、「いつかこういう仕事がしてみたい」と思っている人にはなにかの参考になるかもしれない。
あくまでぼくの個人的な意見として。されど一つのデータとして。
それではどうぞ!
開発環境がぜんぜん違うぞ
プロダクトを開発するとなると当然"リソース"というものが必要になってくる。このリソースはいわゆるヒト・モノ・カネというものにブレイクダウン出来るだろう。言いたいのはこのヒト・モノ・カネが半端ないレベルで揃っているということだ。
まず世界中から集まった凄いエンジニア、デザイナー、ファイナンス、リーガル(弁護士)なんかがゴロゴロいることを指摘しておきたい。エンジニアについては次項でもう少し書くとして、最初に述べたいのが「自分が調整しなくてもそこにはすごい奴らがいてくれる」ということだ。ぼくがプロダクトマネージャーとしてそこにいようといまいと、実力のあるエンジニアやその他スペシャリストがそこには常に一定数いるのだ(いつも必要な数だけいるとは言えないにしても)。
これは実は大きな違いなのだ。なにと比べて?
ぼくはアマゾンジャパンという会社で同じプロダクトマネージャーとして働いていた。けれど開発環境はアメリカとは比べようもないと言わざるを得ない。例えばだけど、アマゾンジャパンでエンジニアを2人確保してある開発案件を進めたいとなったときのことだ。たかがエンジニア2人でも社長まで徹底的に練り上げたプランを持って行って承認をしてもらわないといけなかった。しかも持って行ったところで承認される保証はなく、半年以上時間をかけてプランを作ってきたのにそれが水の泡になるということもザラにあった。これはなかなか辛い。
それに比べてアメリカの開発チームだと優秀なエンジニアチーム (5-6人) が最初からいてプロダクトマネージャーとして「エンジニアをそもそも連れてくる」というステップを抜かすことが出来る。これは雲泥の違いだ。
ヒトだけでなく、モノやカネも潤沢にある。AWS (アマゾン・ウェブ・サービス) の様々な新機能がどんどん使えるのはAmazonで働くエンジニアとして大きな恩恵のようだ。そして以前こちらの記事にも書いたけど、それでいて16時には大体みんな仕事をあがるといった労働環境も文句なしで良い。
リソースが揃っていると「自分がやりたいこと」に集中できる。言い換えればリソースを揃えるために自分であれこれ調整するという手間が省けるということだ。これは見過ごせないメリットだ。
すごい人材がいるぞ
手前味噌を並べるようだけど、ぼくが担当しているAmazonのセール機能はインパクトが非常に大きいプロダクトだ。このプロダクトを出品者に使っていただくことで文字通り〜百億のお金がガンガン動く。そんなプロダクトを開発しているエンジニアのほとんどが実は20代だったりする。例えばぼくのチームだと23~25歳が4人と30歳手前が1人といった感じだ。この若いメンバーでAmazonのクーポンを出品者さんが登録する機能を開発しているのだ。
やっぱりこれだけ大きなプロダクトを開発・維持していくとなると精鋭のメンバーが揃えられる。みんなついこの前まで大学・大学院生だったとは思えないような天才・秀才エンジニアが集まる。そんな輩が入った後も厳しい競争環境の中で鎬 (しのぎ) を削ることになる。その中でサバイブしていくエンジニアは一際優れている強者ばかりだ。
以下の記事にその昔書いたけれどもアメリカには「こいつには到底叶わないな」という人がゴロゴロいる。日本にもたくさん凄い人がいるし、アメリカでも凄くない人は当然いる。ただアメリカで、そしてぼくが働いているような開発環境には"ヤベぇエンジニア"がいるのは間違いない。イーロン・マスクまでいかなくても、そのミニ版とも言えるような奴ら(つまり技術にもビジネスにも両方精通している才人)がここアメリカにはいるなと毎日ひしひしと感じている。
グローバルなスケールだぞ
ぼくが働いているのはWW (ワールドワイド) の開発チームだ。つまりアメリカのオフィスがあるとはいえ、その対象はアメリカだけではなく、あくまで全世界だ。
こういうグローバルプロダクトマネージメントをリードするポジションに身を置くと本当に色々な国のチームと働くことになる。ぼくが今担当している国でも20カ国以上あってこんな国を含む --- アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル、ヨーロッパ(これだけで約10カ国)、日本、インド、シンガポール、オーストラリア、アラブ首長国連邦、エジプトなどだ。普段はオンラインでミーティングしたりメールやメッセージでやり取りすることが主だけど、折に触れて海外のどこかに出張して仕事をするということも当然出てくる。
ぼくはずっとこういうグローバルな仕事がしたかったのでその面ではとても満足しているし感謝の思いでいっぱいだ。「国境を越えて仕事をしたい」というモチベーションがある人にはきっと存分に楽しめるに違いない。
待遇はいいぞ
あんまりお金の話をするのは好きではないけれど、これをスルーするのも違うと思うので書くことにする。
同じポジションだとしても働く国によって給料は異なる。例えば同じプロダクトマネージャーというポジションでもアメリカで働くのと日本で働くのではいただくサラリーは変わってくる。これは各国の経済レベルやその国のそのポジションにおける標準サラリーなどの要素を踏まえた上で給料が決められるからだ。
アメリカでプロダクトマネージャーとして働くことになった時にその給料を見て驚いたことがある。Amazonの場合は給料が現金と制限付きストックオプション(いわゆるRSUというやつ)で構成されているが、現金額が2倍になっていた。日本でも同じプロダクトマネージャーとして働いていたにもかかわらずである。ちなみに補足すると日本が他の国に比べて極端に低いということではない。アメリカの給料水準が単純にとても高いのだ。
もらうお金の多い少ないで仕事の価値を決めるのはどうかと思うし、ぼくもそれが理由でアメリカに渡ったわけではない(アメリカに渡った経緯については以下の記事に書いたのでご興味あればどうぞ)。とはいえ、まあ同じように毎日あくせくと働くのであれば得るものが多い環境で働きたいと思うのは自然なことだろう。
いかがでしたでしょうか?読んでいただいた上でこういう仕事に興味がある方に「なんかやる気上がったぜ!」とか言われたら嬉しくて泣いてしまいそうです。なにかご意見・感想等あれば遠慮なくコメントに残していただければと思います。
今日はそんなところですね。ここまで読んでくださりありがとうございました。少しでも気に入っていただけたらスキしていただけると嬉しいです。
旅行で訪れたニューヨークにて。ブルックリンブリッジを渡りながら。
そういえばアメリカの色んな都市にサクッと旅行に行けるというのもアメリカで働く醍醐味かもしれませんね。
それではどうも。お疲れたまねぎでした!
おまけ
もし「これからAmazonの採用面接を受ける予定だよ」という方がいらっしゃたらぜひ下記の記事も参照されたしです。ぼくがアマゾンジャパン・Amazon米国本社で面接を受けた時に準備したこと、そして自分がAmazon内で採用面接官をたくさんしてきた上でのアドバイスをまとめました。面接で話すべきエピソードの参考例もガッツリ記載してあります。
有料記事ですがお値段以上の価値はあると自負しています。ぜひお手に取ってみていただければ幸いです。ご購入された方にもご好評いただいており感謝でいっぱいです。
よろしくお願いします!