バルセロナ対ナポリ 感想文
1.スターティングイレブン
図1
2.ナポリのボール非保持
この試合の面白さは圧倒的にナポリのボール非保持です。
ナポリの美しいゾーンディフェンスが堪能できます。
ナポリのボール非保持は潔いの撤退守備1-4-5-1です。
一時期プレミアでマンチェスター・シティ相手によく見かけたやり方です。
(今もやっているかもしれませんが、あまりプレミアは見ていません。)
バルセロナ相手にセンターフォワードをアンカーにつけるのは、スペインではアウェイのチームはよくやってきますが、チャンピオンズリーグのホームでやってくるのは面白いですね。
図2
MF-DFライン間をコンパクトにすること。
センターフォワードがアンカー番としてプレーをすること。
バルセロナのセンターバック(もしくはハーフレーンに降りた選手)がボールを持つと、インサイドハーフがプレッシャーをかけること。
MFのセンターライン(インサイドハーフ・ディフェンシブハーフ)がしっかりとスライドすること。
そういった基本ができているので、1-4-5-1⇔1-4-4-2の可変が凄くスムーズです。
また日本でよく見るアンカーと違い、ナポリのディフェンシブハーフは他のMFラインから一段下がって、ラインの段差を作るわけではないので、急所であるアンカー脇というのはそもそも存在していません。
図3
サイドに展開すると、インサイドハーフは素早くMFラインに戻ります。
そしてサイドバック-センターバック間にはディフェンシブハーフがスペース管理を行います。
中盤の選手に身体的にも、精神的にもすごく負荷のかかる守り方ですが、ガットゥーゾ監督のナポリは上手く実行していました。
図4
当然ですがMF-DFライン間をコンパクトに守っているので、ポジティブトランジションで脱出することは非常に困難です。
特にバルセロナはスペースを捨ててでもボールを奪い返しにいく、突撃ハイプレスを行うので、ナポリはただでさえスペースがないのに、時間もないという状態でした。
スローインなどのセットプレーで、配置を整えることができるのがナポリのポジティブトランジションの現実的な狙いだったように思えます。
この試合、バルセロナは横パスが多い(=U字攻撃になりがち)だったことや、奥行きを作る動きがない事を嘆く意見をよく見ました。
逆にバルセロナは配置さえ崩さなければ、ずっとボールを握れる、もしくは奪い返せる状態だったので、アウェイでの戦いとなったキケ・セティエン監督は無理に自分たちの配置を崩す気がなかったように、僕は感じています。
(もっともそういったボール保持はキケ・セティエン監督も言葉にしている、クライフイズムとは違うので批判?に近くなることも同時に理解できます。)
結果的に、ナポリは上手く得点をあげることができるのですが、同じ戦い方の場合、何試合やれば1点とれるのか予想できないので、セカンドレグも同じ戦い方をしてくるとは思えません。
多少リスクを負った戦い方をしてくると予想できます。
3.ナポリのエラー
バルセロナの美しい同点ゴールでしたが、ナポリのエラーが印象的でもありました。
1-4-5-1にしっかり帰陣したナポリ。
ハーフレーンに降りたインサイドハーフにプレッシャーをかけるのはインサイドハーフのはずですが、なぜかセンターフォワードが寄っていってしまいました。
アンカーにいく役割はセンターフォワードが担っていた為、ボールサイドのインサイドハーフがいくべきなのか、ディフェンシブハーフがいくべきなのか。規準がなくなります。
図5
ブスケッツにはボールサイドのインサイドハーフが何となくプレッシャーにいくのですが、次はハーフレーンでプレーする選手を見る選手がいなくなります。
ハーフレーンへ降りるメッシへはサイドハーフがついていくのですが、そうなるとこの試合はじめて、アンカー脇のスペースが生まれます。
芋づる式ですべて規準が崩れました。
図6
規律的にみえたナポリの守備でしたが、あくまでも守備規準のはじまりはセンターフォワードのアンカー番で、ボールサイドでプレーする選手を限定することからです。
失点シーンははじまりがあやふやとなり、後列の選手がボールや選手の引力に負け、引き付けられたことで崩れてしまいました。
4.まとめ
ナポリのボール保持についての感想でした。
失点シーンまでは本当に美しい1-4-5-1⇔1-4-4-2可変の守備でしたね。
左右のインサイドハーフを前列に出して守るやり方は、ナポリの元監督、サッリもやっていました。
僕が見ていたのはチェルシー期だったので、あまりいい守備には見えませんでしたが、今回のナポリは失点をしないということにおいて、良い守備に見えました。
セカンドレグに関してはナポリは得点が必要となります。
そのため、ファーストレグ同様の守備はしないでしょう。
失点をしないということにおいては良い守備ですが、ポジティブトランジションからの得点の道筋がないからです。
ファーストレグでも失点以降は1-4-5-1⇔1-4-4-2を維持できず、インシーニェが前残り気味になる1-4-4-2となっていました。
セカンドレグは得点を奪うためのナポリの立ち振る舞い。
そしてホーム、カンプノウでのバルセロナの立ち振る舞いに注目です。
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