マンチェスター・ユナイテッドvsパリ・サンジェルマン~CL決勝トーナメント 1st leg~
1.はじめに
fukuharaです。
今回はCL 1st leg マンチェスター・ユナイテッド vs パリ・サンジェルマンの試合を観ていきます。ユナイテッドホームです。
ついでに買ったばかりの作戦ボードも使います。これで遊びたいのがメインです。
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2.スターティングイレブン
<マンチェスター・ユナイテッド>
GK デ・ヘア
DF ルーク・ショー、リンデロフ、バイリー、アシュリー・ヤング
MF ポール・ポグバ、マティッチ、エレーラ
FW マルシャル、ラッシュフォード、リンガード
<パリ・サンジェルマン>
GK ブッフォン
DF ベルナト、キンペンベ、チアゴ・シウバ、ケーラー
MF マルキーニョス、ヴェラッティ、ディ・マリア、ドラクスラー、ダニ・アウベス
FW ムバッペ
3.互いの状況から考える
チャンピオンズリーグの決勝トーナメントはホーム&アウェイの試合です。
アウェイゴール方式が採用されています。
なので普段とは少し戦い方が変わりますね。
例えばアウェイでは勝てなくてもいい。1点とれれば十分とか。ホームでは絶対に失点しない戦い方をするとか。
そういった互いの状況からまずは考えます。
PSGは4-2-3-1。ユナイテッドは4-3-3。
中盤が互いにガッチリ噛み合います。
(実況解説曰く)事前情報によればユナイテッドはエレーラを1つ下に落としてポグバをトップ下に置いた形もできたようですが、敢えてマッチアップする形にしたようです。
ホームという会場の雰囲気も生かして序盤からハイプレスで前で奪いたいという狙いがあったのだと思います。
ハイプレスをかけるという事は若干離れているSHをSBが捕まえにいかなければなりません。
したがって実際はこうなります。
プレス回避能力が優れたヴェラッティ・マルキーニョスを生かして十分に引き込んだ相手を置き去りにし、SB裏にムバッペのスピードを生かして勝負させる。1点とれればOK。
アウェイのPSGからすれば、これはプランの1つだったと思います。
開始~10分ほどはそういった試合展開でした。
4.ユナイテッドのボール保持
PSGの守備規準
①2トップがDHを規準に立ち位置をとる。
②CBからSBにパスが出たらプレスのスイッチ。
③SHが縦を消しながらプレッシャーをかける。
④リセットのバックパス。
⑤リセットがかかってもジャンプで2度追い。
⑥ボールサイド側ではないFWが横パスを切る。
ボード上は強そうなPSGの前プレスですが、実際はFWの守備強度がイマイチだったり、即座にDH脇をとるわけではないのでそれなりにはかわされています。ただ2トップの目的はあくまでもカウンターにあると思うので、特に問題はないというのが僕の予想ですね。むしろ運んでほしい?
一方、その守備規準に対してのユナイテッドのボール保持。
ユナイテッドのボール保持
①IHがCB-SB間に降りる。
②IHが元いた位置へWGが降りる。
③DHにIHについていくか、WGをみるかの2択を強いる。
これによりユナイテッドはクリーンにボールを運べていました。
ただ崩しの局面の工夫といったものは特に見えなかったので、リーグではどうやって点をとっているんだろうなという疑問はあります。
5.PSGの可変システム
攻撃を防がれ、ハイプレスに対しても徐々にPSGのプレス回避が成功してくるとユナイテッドは4-1-4-1のブロックを組みます。
それに対してPSGは3-4-2-1に可変してボール保持を狙い、押し込んでいきます。
そこまでボールを持たせてくれるなら攻めますよというプランBだと思います。リードされるか、ホームでやるはずの戦いだったのではないでしょうか。
特別特徴がある3-4-2-1ではないですね。普通だと思います。
なのでユナイテッドの守備規準を観ていきます。
ユナイテッドの守備規準
①WGはカバーシャドウで大外の選手を消す。
②IHはDHを捕まえる。
③SBはSHを捕まえる。
④DHはOMFを捕まえる。
①についてはWGの選手はあくまでもカウンターを狙っています。
ホームですからそりゃあ勝ちたいですよね。勝つ為には点を取るための布石が絶対必要です。
その為にWGは意地でもカバーシャドウ。貫き通していました。
何回か抜け出しかけていた場面もあったので割と勝算のあるプランだったのかもしれません。
②はマッチアップの都合上分かりやすいのもあるでしょうし、実際にゲームを作っていたのはPSGのDHです。しっかり見ていたと思います。
③④これがこの試合の最大の面白さだと僕は思っています。
アンカー脇を使われるというのはあまり珍しくないです。スペース空いてますからね。
でもなんで使われたのか。なんで守れなかったのか。そこが凄く大事。
6.本当に規準を破壊されたのは
なんとなくアンカー脇を攻略されるとアンカーが悪い気がしませんか?
スライドが間に合わないだとか、立ち位置が悪いだとか、そもそもアンカー置くなだとか。
しかし実際に規準を破壊されているのはアンカーの選手なのでしょうか。
PSGはあくまでも可変システムです。
元々のシステムのマッチアップだったらSBはSHをみますし、DHはOMFをみます。
つまり右サイドバックのアシュリー・ヤングはアンカー脇に入るディ・マリア(SH)を迎撃しに前に出ます。
しかし左サイドバックのルーク・ショーはドラクスラー(OMF)を迎撃しにはいかず、代わりに遅れてマティッチがいきます。
ユナイテッドからしたら、もしかしたらあくまでも4-2-3-1のチームと戦っていた印象もあるかも?
試合をこの意識で見るとすごく面白いと思います。
大外の攻略
①少し降りた位置で受けるDHに対してはマッチアップのIHがプレス。
②空いたアンカー脇に降りる選手にヤングがついていく。
③IHがパスを受けてヤングの裏へパスを通す。
これは何度かあった再現性のあるプレーだと思います。
ヤングがアンカー脇に釣りだせることが分かっているからこそ、左の大外でフリーになる場面がありました。
しかしムバッペはクロスからヘディングで決めるのが強みの選手ではないので、このような形では得点に繋がりませんでした。
そこでムバッペは立ち位置を変えます。
ムバッペの立ち位置
①WGは大外をカバーシャドウで消す立ち位置。
②ムバッペがCB-CB間ではなく、CB-SB間に立ち位置を取る。
③ディ・マリアが空いたアンカー脇に降りる。
④ヤングはピン止めされて動けない。
ムバッペがCB-SB間に立ち位置を変える事でヤングに3択を強いてピン止めします。これは前半の終わり頃から変わりましたね。
このあたりからヤングの規準を狂わせてPSGは自由自在に左側のアンカー脇を使い始めます。
左脇で自由に受けることによって、本来は動いてはいけないマティッチを釣り出し、右脇でドラクスラーを完全にフリーにする。
そんな攻撃でした。本当に上手いし面白い。
7.まとめ
今回はマンチェスター・ユナイテッドとパリ・サンジェルマンの試合の中でも特に"アンカー脇"と言われるエリアのユナイテッドの守備規準とPSGの攻略について書きました。
この前もシティvsチェルシーでもシティのアンカー脇の突き方について書きましたけど、別にアンカーシステムが悪いわけではないです。個人的にはフラットな3枚の方が状況によってディアゴナーレする方が好きですが。
ハーフスペース使えているからいいとか、チャンネルつかえているからいいとか、アンカー脇使えているからいいというのを僕のTLだと見かけます。でも140字以内という制限もあって、具体的にどう使えているかとか、相手がどういう規準でやっているから使えているという話が抜けていたりします。そうなると言葉の一人歩きにそのうちなってしまうんだと思います。
それは恐らく相手を見ているとは言えないと思うので、僕自身気を付けていきたいところです。
試合に話を戻すと1st legはパリ・サンジェルマンが2-0で勝ちました。
1点目はアンカー脇の攻略から得たCK。2点目はSB裏のスペースにカウンターを仕掛けてフィニッシュ。実際どうかは分かりませんけど狙い通りだったと思います。
ホームのユナイテッドとしたらかなり厳しい戦いになりました。
なんといってもポール・ポグバがレッドカードで退場。マルシャル、リンガードが負傷交代と攻めなきゃいけない時に攻撃の選手を失っています。
特にリンガード。結構いい選手になっていましたね。いないのは厳しい。
2nd legに間に合うといいですけど・・・。
有利な状況であるパリ・サンジェルマンからすると、ユナイテッドがボール保持を防げていないので引きこもるよりも、ボール握る試合になると思います。
ユナイテッドが2nd legまでの間に、まずはボール非保持を立て直すことができるかがカギになりそうです。楽しみですね。
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