日本映画史の最高峰の1つ『昭和残侠伝 死んで貰います』--- 視線と視線でないものが織りなすドラマについて
12月1日の藤純子の76歳の誕生日を記念して、高倉健と藤純子主演のこの傑作について、詳細に論じたいと思います。
『昭和残侠伝 死んで貰います』(1970)
監督 マキノ雅弘
共演 高倉健、池部良、長門裕之
撮影 林七郎
【あらすじ】
東京下町、旧い暖簾を誇る料亭「喜楽」に生まれた花田秀次郎は、父親が後妻を娶り妹のお弓が誕生した時に、自分が身を引けばすべてがうまく治まると家を出た。しかし渡世人となった秀次郎が人を斬り受刑している間に、父親が急死し、関東大震災の犠牲となった妹も