番匠川の珪藻
川底には色々な藻類がおり、珪藻もその一つ。そして、珪藻の種類は川によって異なり、川の中でも流れの速い場所、淀んだ場所、それぞれの特性によって種類がことなります。
今回は、番匠川の中でも中流域の「わんど」と呼ばれる少し淀んだ場所の珪藻を11月に採取してきたので、紹介します。
(「わんど」とは、川の本川とつながっている水がよどむところ(死水域)です。https://www.nilim.go.jp/lab/rcg/newhp/yougo/words/103/html/103_main.html)
わんどの水の底には、こけのような、あるいは泥や澱のようでもある、ぬるぬるした生物とその分解した物(デトリタス)が付着しています。
今回の採取場所には珪藻類のPinnularia属(ハネケイソウ属)が多くみられました。
このPinnularia属は、付着珪藻としては大きい部類で、よく目立つのですが分類は難しいです。電子顕微鏡を使うと、より良いのですが、一般人には無理なので、パイプユニッシュ法で細胞の原形質を取り除き、プルーラックスでプレパラートを作成し、光学顕微鏡でみてみました。
細胞の大きさ、頭状に突き出す細胞端をもつ形状、10μmあたりの条線数、中心域の縦溝端の形状、軸域や縦走帯の形状などをみてみると、琵琶湖博物館HPに掲載されている、Pinnularia karelica Cleveに似ています。
(ただ、Pinnularia karelicaのバリエーション(変種)をみると、その外観はてんでばらばらですし、渡辺氏の淡水珪藻生態図鑑にも、ずいぶんと外観が異なる写真が掲載されているので、この種類についても検討していく必要があるのでしょう)
参考HP:https://www.biwahaku.jp/study/atlas/pinkarelica.htm
その他の珪藻類
河原の余り触りたくないような泥の中には、こんな綺麗な珪藻が息づいているのですね。